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英国上陸篇
03.5:EPISODE DESTROY
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[2049.07.24 07:12]
ロンドン・某農園
力が欲しい。僕は昔から、そう強く願っていた。生まれつき体が弱い僕は、いつも何かに守られながら生きてきた。
喧嘩する時もあったけど、僕には仲のいい兄と可愛い妹がいた。父は農業を営み、母は遠くの都会まで行っては育てた華を売り飛ばした。
兄さんは父の手伝いを、妹は母の手伝いをしていたけど、僕は何も出来ない。農業の大半は力仕事で、都会まで行ける体力なんてない。
暮らしこそ楽じゃなかったけど、幸せだった。辛い仕事を終えた父と母、兄さんと妹は夜になると食事を揃えては笑顔で談笑する。この平和な時間がずっと続いていけばいいなと、心の奥底から願ってた。
でもある日の事。いつものように華を売りに行った母と妹が死んだという報告が入った。何でも権力者達に邪魔者扱いされていたものの、ビンタでやり返したらそのまま隠し持っていたナイフで刺されてしまったらしい。
最初は妹を。母を庇うために刺され、後に母もあとを追うように殺された。
それからというもの、僕らの生活は一変した。父は農業を放り投げ、毎日酒と暴力に溺れる毎日。標的は僕と兄さんで顔が腫れたり、痣ができたり、髪の毛を鷲づかんで引っ張ったりする毎日。
父は変わってしまったけど、兄さんは変わっていなかった。毎晩僕の部屋にやって来ると抱き抱え、優しく頭を撫でてくれる。
「大丈夫。何としてでも、お前を守ってやる」
その言葉だけで心が救われた気がした。何度も辛くて死にたくなった時もあったけど、僕には兄さんがいる。僕の体は病弱だけど、そんな僕でもやれることはあると信じて、兄さんに付き添うことにする。
…そう、決めたのに…。
…兄さんが死んだ。何でも、父の行き過ぎた暴力が兄さんを殺してしまったらしい。
騒ぎを聞き付けた警察官達が押し寄せる。父を取り押さえると手錠を掛け、どこか連れて行った。
この時、僕の中にある何かが壊れた。そうか、この世は弱いものだけが死に絶え、強いものだけが生き残る、そんな世界なんだと気付いた。
『………よ………』
それならどうするべきか。僕は病弱で臆病だ。このままだと強いものに食われるだけで人生が終わってしまう。
『…キよ…が…し…?』
だったらやることはひとつ。''僕が強くなればいい''。力をつけて奴らに復讐をする。そうすれば天国の兄さんや妹、母さんも報われる。
絶対にそうだ。母さんと妹が何をした?華を売っていただけじゃないか…。
兄さんが何をした?僕を慰めてくれただけじゃないか。
…許せない。許せない…許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない…!!
『おいガキ、力が欲しいか?』
…そうだ、殺してしまえばいいんだ。そう思うと気が付けば目の前に黒いライオンのような生き物がいた。
彼は人の言葉を理解し、同時に僕に語り掛けてくる。彼が言うには「何かを生贄として差し出せば、お前が望むものを叶えてやる」って言っている。
イケニエ…というのがよく分からなかったので僕はこう答えた。
「力が…欲しい…」
[2049.07.30 22:54]
ロンドン・某刑務所
この日、事件が発生した。刑務所に入れられた男性(54)の頭が潰されるというもの。
現場には大きく崩壊された壁に被害者の死体、そして血文字で「復讐」と書かれた文字が残されていた。
犯人は不明、ただ血文字から察するに犯行の動機は「復讐」で男性(54)との関係者だと思われる。
凶器らしきものは見当たらず、射殺というより誰かに握りつぶされたような後が残っているだけでこうと言った手掛かりが見当たらず…また警察官はこの事件を「悪魔によるもの」と断言し、政府は神威に出撃要請をして様子を___
[2049.07.30 23:46]
ロンドン・某所
はぁ…はぁ…はぁ…。今日、初めて人を殺した。あの黒いライオンのおかげだろうか、僕は人の頭を握るだけで潰せるほどの力を手に入れた。
頭蓋骨ごと粉砕出来る握力に驚きながらも僕は殺しを続ける。最初こそ気持ち悪かった、血生臭い匂いとプルプルとした感触、そして何故か昂る鼓動と呼吸に毎度襲われてしまう。
でも…悪い気はしない。全部死んでったやつが悪い。みんな弱いから…。
ただ僕は力を得た。漫画やアニメなどでよく見る超能力なんかじゃない、怪力で重い物すら軽々と持ち上げられる筋肉に鋼鉄よりも硬い皮膚…これだけさえあればいい。
けどタダで貰った訳じゃない。僕が奪われたのは''老い''。あのライオン…確かディアボロと言ってた…が言うには「力を求めるのなら老いなんて要らない」って…。
だから僕は不老。寿命では死なない事になってる。きっと僕は誰かに殺されるまで殺戮をやめないんだろう。
ならいい機会だ…。僕は…いや俺はやってやる。この世から権力と金、力に溺れた強者共をぶち殺し、人類みな平等の世界を作ってやる…。
俺はデストロイ。力の限り、全てを破壊する男だ。
ロンドン・某農園
力が欲しい。僕は昔から、そう強く願っていた。生まれつき体が弱い僕は、いつも何かに守られながら生きてきた。
喧嘩する時もあったけど、僕には仲のいい兄と可愛い妹がいた。父は農業を営み、母は遠くの都会まで行っては育てた華を売り飛ばした。
兄さんは父の手伝いを、妹は母の手伝いをしていたけど、僕は何も出来ない。農業の大半は力仕事で、都会まで行ける体力なんてない。
暮らしこそ楽じゃなかったけど、幸せだった。辛い仕事を終えた父と母、兄さんと妹は夜になると食事を揃えては笑顔で談笑する。この平和な時間がずっと続いていけばいいなと、心の奥底から願ってた。
でもある日の事。いつものように華を売りに行った母と妹が死んだという報告が入った。何でも権力者達に邪魔者扱いされていたものの、ビンタでやり返したらそのまま隠し持っていたナイフで刺されてしまったらしい。
最初は妹を。母を庇うために刺され、後に母もあとを追うように殺された。
それからというもの、僕らの生活は一変した。父は農業を放り投げ、毎日酒と暴力に溺れる毎日。標的は僕と兄さんで顔が腫れたり、痣ができたり、髪の毛を鷲づかんで引っ張ったりする毎日。
父は変わってしまったけど、兄さんは変わっていなかった。毎晩僕の部屋にやって来ると抱き抱え、優しく頭を撫でてくれる。
「大丈夫。何としてでも、お前を守ってやる」
その言葉だけで心が救われた気がした。何度も辛くて死にたくなった時もあったけど、僕には兄さんがいる。僕の体は病弱だけど、そんな僕でもやれることはあると信じて、兄さんに付き添うことにする。
…そう、決めたのに…。
…兄さんが死んだ。何でも、父の行き過ぎた暴力が兄さんを殺してしまったらしい。
騒ぎを聞き付けた警察官達が押し寄せる。父を取り押さえると手錠を掛け、どこか連れて行った。
この時、僕の中にある何かが壊れた。そうか、この世は弱いものだけが死に絶え、強いものだけが生き残る、そんな世界なんだと気付いた。
『………よ………』
それならどうするべきか。僕は病弱で臆病だ。このままだと強いものに食われるだけで人生が終わってしまう。
『…キよ…が…し…?』
だったらやることはひとつ。''僕が強くなればいい''。力をつけて奴らに復讐をする。そうすれば天国の兄さんや妹、母さんも報われる。
絶対にそうだ。母さんと妹が何をした?華を売っていただけじゃないか…。
兄さんが何をした?僕を慰めてくれただけじゃないか。
…許せない。許せない…許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない…!!
『おいガキ、力が欲しいか?』
…そうだ、殺してしまえばいいんだ。そう思うと気が付けば目の前に黒いライオンのような生き物がいた。
彼は人の言葉を理解し、同時に僕に語り掛けてくる。彼が言うには「何かを生贄として差し出せば、お前が望むものを叶えてやる」って言っている。
イケニエ…というのがよく分からなかったので僕はこう答えた。
「力が…欲しい…」
[2049.07.30 22:54]
ロンドン・某刑務所
この日、事件が発生した。刑務所に入れられた男性(54)の頭が潰されるというもの。
現場には大きく崩壊された壁に被害者の死体、そして血文字で「復讐」と書かれた文字が残されていた。
犯人は不明、ただ血文字から察するに犯行の動機は「復讐」で男性(54)との関係者だと思われる。
凶器らしきものは見当たらず、射殺というより誰かに握りつぶされたような後が残っているだけでこうと言った手掛かりが見当たらず…また警察官はこの事件を「悪魔によるもの」と断言し、政府は神威に出撃要請をして様子を___
[2049.07.30 23:46]
ロンドン・某所
はぁ…はぁ…はぁ…。今日、初めて人を殺した。あの黒いライオンのおかげだろうか、僕は人の頭を握るだけで潰せるほどの力を手に入れた。
頭蓋骨ごと粉砕出来る握力に驚きながらも僕は殺しを続ける。最初こそ気持ち悪かった、血生臭い匂いとプルプルとした感触、そして何故か昂る鼓動と呼吸に毎度襲われてしまう。
でも…悪い気はしない。全部死んでったやつが悪い。みんな弱いから…。
ただ僕は力を得た。漫画やアニメなどでよく見る超能力なんかじゃない、怪力で重い物すら軽々と持ち上げられる筋肉に鋼鉄よりも硬い皮膚…これだけさえあればいい。
けどタダで貰った訳じゃない。僕が奪われたのは''老い''。あのライオン…確かディアボロと言ってた…が言うには「力を求めるのなら老いなんて要らない」って…。
だから僕は不老。寿命では死なない事になってる。きっと僕は誰かに殺されるまで殺戮をやめないんだろう。
ならいい機会だ…。僕は…いや俺はやってやる。この世から権力と金、力に溺れた強者共をぶち殺し、人類みな平等の世界を作ってやる…。
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