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第1章 幼少期
15話 王子と印象問題
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あれから、私の日常に城からの脱走が戻ってきた。弟はたまに着いてくるが、毎回ではない。アイニェンも背が伸びてきたので一緒に外に出ていたが、1回転んで泥だらけになってからは何度誘っても着いて来なくなってしまった。
見張りにも何度か見つかっていた。なぜか私たちの行く先々に必ず見張りが現れるのだ。隠れられる時もあれば、それぞれ親の元に連行される時もある。
父も母もネオニールも、私たちが抜け出すことに慣れてきたのか一言二言叱るだけだ。
連日見つかってしまったときなんて、父は「次はもっとうまくやれ」とネオニールに聞こえないようこっそり言ってきたのだ。私たちの悪癖に放任主義になったというよりは、私とジハナがどこまでやれるのかを見極めているような、そんな風に見えた。
半年もたつ頃には護衛や見張りの兵士の中で、私たちが悪ガキ扱いされるようになり、よい子な王子だった私の評判は、手のかかる王子くらいまで落ちた。良い王子でなくなる事と、周りの反応が心配ではあったけれど身近にいる父と母が今までと変わらなかったので大丈夫、なんだと、思う。
見張り達に1、2回見つかってから彼らは日々の仕事中でも私たちがいないかを熱心に探すようになった。結果、脱走成功率は著しく下がり、あのジハナでさえ私の部屋にたどり着く前に度々捕まるようになったのだ。
父の話だと、見回りの日報の中に私たちの脱走ルートやよく隠れている場所、捕獲方法の情報共有の欄ができていて、毎日更新されているらしい。
また、見張り達と追いかけっこをするうちに、自然と彼等と顔見知りになった。城内ですれ違う時に挨拶をするくらいの仲になった人も多く、城の中が賑やかになった気さえする。
謹慎期間中に一緒にいたウェオルドやニンソスは特に仲良くなった2人で、たまに雑談もする。もちろん脱走中ではなく、普段の見張りをしている最中に私が話しかけるのだ。ジハナもたまに城下で会うと話をすると言っていた。まぁ、どれだけ仲良くなっても抜け出すのを見逃してはもらえなかったし、私たちも彼らに脱走ルートを教えたことはなかったけれど。
見張り達は私たちをどうにか城の中へとどめておこうと必死だ。
最初は見回りの順序が頻繁に変わるようになり、そのうち"風見鶏"なんて名前の見張り番ができた。特に持ち場が無く、城内と裏庭を好きに歩き回るのが仕事の見張りだ。こればっかりはどこにいるか予想ができないし、足の速い兵ばかりが風見鶏に抜擢されたので、見つかったら一貫の終わりとして私もジハナも警戒していた。
脱走対策の極めつけは城壁に登るためによくお世話になっていたクヌギの枝の切り落としだ。これには私もジハナも参ってしまった。伐採は城外に脱走している間に行われたので、帰ろうと城壁に登って枝が無いと気が付いた時はジハナと2人でしばらく呆然としてしまった。(そして仕方なく正面の門から帰って父のもとへ連行された)
しばらく城外に出ることができず、ジハナと2人で城壁の下に穴をいくつも掘った。時間をかけて少しずつ掘ったおかげで3つの脱出経路は今のところ1つも見張りにバレていない。
見張りのやる気に加え、私たちの体が大きくなっている事も脱走がうまくいかない一因だった。単純に、隠れられるような隙間が少なくなったのだ。
1年、2年と時が経つにつれて私もジハナも背が伸びた。私は乗馬や剣術の稽古が始まったこともあって筋肉がついてきたような気がする。背も伸びて、母上の肩をもう少しで追い越しそうだ。
髪も伸びて、顔も父に似てきた。トレバー先生にはよく「絵にかいたような王子ですねぇ」と褒められているのか馬鹿にされているのかよくわからないことを言われる。
ジハナは相変わらず細長くて、私より背が高い。ネオニールはジハナの事をよくトカゲと呼んでいて、トレバー先生はジハナを栄養のないところに間違えて生えてしまった木に例えた。2人ともちょっと酷いと思う。
「ジハナはもっと恰好よくて、かわいくて、素敵なエルフなのに」
「かわいい?あのジハナ君がですか?」
トレバー先生がジハナを木に例えた時、私が反論すると笑いながら聞かれた。
「可愛くありませんか?笑った時とか、照れた時とか」
「城の者からすると彼は王子に悪影響を与えた憎きガキンチョですからねぇ」
「でも、悪い奴じゃないのは先生も知っているでしょう?」
「まぁね、問題行動は多々ありますが、君を思ってのことですし。そういう意味では可愛いと言えるかもしれません」
「そうなんですよ、とっても私の事を気遣ってくれるんです。一緒にいて楽しいし、疲れない」
「ほうほう、レンドウィル王子はジハナ君に随分と惚れ込んでますねぇ」
「えへへぇ」
私が照れてニヤけるとトレバー先生は少し驚いた顔をして、小さい声で呟いた。
「うーん、これはどっちかなぁ」
「どっちって、何がですか?」
「いえ、気にしないでください。状況がさらに面白くなりそうなので、まだまだこの国を離れられないなぁと思っただけですから」
私がよくわからないでいるのを見てトレバー先生は「可愛いですねぇ」と笑う。
「ジハナが可愛いという話であって、私は可愛くありませんよ」
「いえいえ、王子への可愛いで合っていますよ、この場合はね」
「?? トレバー先生はたまによくわからないです」
更にちんぷんかんぷんになって言うと、トレバー先生は更に笑った。
見張りにも何度か見つかっていた。なぜか私たちの行く先々に必ず見張りが現れるのだ。隠れられる時もあれば、それぞれ親の元に連行される時もある。
父も母もネオニールも、私たちが抜け出すことに慣れてきたのか一言二言叱るだけだ。
連日見つかってしまったときなんて、父は「次はもっとうまくやれ」とネオニールに聞こえないようこっそり言ってきたのだ。私たちの悪癖に放任主義になったというよりは、私とジハナがどこまでやれるのかを見極めているような、そんな風に見えた。
半年もたつ頃には護衛や見張りの兵士の中で、私たちが悪ガキ扱いされるようになり、よい子な王子だった私の評判は、手のかかる王子くらいまで落ちた。良い王子でなくなる事と、周りの反応が心配ではあったけれど身近にいる父と母が今までと変わらなかったので大丈夫、なんだと、思う。
見張り達に1、2回見つかってから彼らは日々の仕事中でも私たちがいないかを熱心に探すようになった。結果、脱走成功率は著しく下がり、あのジハナでさえ私の部屋にたどり着く前に度々捕まるようになったのだ。
父の話だと、見回りの日報の中に私たちの脱走ルートやよく隠れている場所、捕獲方法の情報共有の欄ができていて、毎日更新されているらしい。
また、見張り達と追いかけっこをするうちに、自然と彼等と顔見知りになった。城内ですれ違う時に挨拶をするくらいの仲になった人も多く、城の中が賑やかになった気さえする。
謹慎期間中に一緒にいたウェオルドやニンソスは特に仲良くなった2人で、たまに雑談もする。もちろん脱走中ではなく、普段の見張りをしている最中に私が話しかけるのだ。ジハナもたまに城下で会うと話をすると言っていた。まぁ、どれだけ仲良くなっても抜け出すのを見逃してはもらえなかったし、私たちも彼らに脱走ルートを教えたことはなかったけれど。
見張り達は私たちをどうにか城の中へとどめておこうと必死だ。
最初は見回りの順序が頻繁に変わるようになり、そのうち"風見鶏"なんて名前の見張り番ができた。特に持ち場が無く、城内と裏庭を好きに歩き回るのが仕事の見張りだ。こればっかりはどこにいるか予想ができないし、足の速い兵ばかりが風見鶏に抜擢されたので、見つかったら一貫の終わりとして私もジハナも警戒していた。
脱走対策の極めつけは城壁に登るためによくお世話になっていたクヌギの枝の切り落としだ。これには私もジハナも参ってしまった。伐採は城外に脱走している間に行われたので、帰ろうと城壁に登って枝が無いと気が付いた時はジハナと2人でしばらく呆然としてしまった。(そして仕方なく正面の門から帰って父のもとへ連行された)
しばらく城外に出ることができず、ジハナと2人で城壁の下に穴をいくつも掘った。時間をかけて少しずつ掘ったおかげで3つの脱出経路は今のところ1つも見張りにバレていない。
見張りのやる気に加え、私たちの体が大きくなっている事も脱走がうまくいかない一因だった。単純に、隠れられるような隙間が少なくなったのだ。
1年、2年と時が経つにつれて私もジハナも背が伸びた。私は乗馬や剣術の稽古が始まったこともあって筋肉がついてきたような気がする。背も伸びて、母上の肩をもう少しで追い越しそうだ。
髪も伸びて、顔も父に似てきた。トレバー先生にはよく「絵にかいたような王子ですねぇ」と褒められているのか馬鹿にされているのかよくわからないことを言われる。
ジハナは相変わらず細長くて、私より背が高い。ネオニールはジハナの事をよくトカゲと呼んでいて、トレバー先生はジハナを栄養のないところに間違えて生えてしまった木に例えた。2人ともちょっと酷いと思う。
「ジハナはもっと恰好よくて、かわいくて、素敵なエルフなのに」
「かわいい?あのジハナ君がですか?」
トレバー先生がジハナを木に例えた時、私が反論すると笑いながら聞かれた。
「可愛くありませんか?笑った時とか、照れた時とか」
「城の者からすると彼は王子に悪影響を与えた憎きガキンチョですからねぇ」
「でも、悪い奴じゃないのは先生も知っているでしょう?」
「まぁね、問題行動は多々ありますが、君を思ってのことですし。そういう意味では可愛いと言えるかもしれません」
「そうなんですよ、とっても私の事を気遣ってくれるんです。一緒にいて楽しいし、疲れない」
「ほうほう、レンドウィル王子はジハナ君に随分と惚れ込んでますねぇ」
「えへへぇ」
私が照れてニヤけるとトレバー先生は少し驚いた顔をして、小さい声で呟いた。
「うーん、これはどっちかなぁ」
「どっちって、何がですか?」
「いえ、気にしないでください。状況がさらに面白くなりそうなので、まだまだこの国を離れられないなぁと思っただけですから」
私がよくわからないでいるのを見てトレバー先生は「可愛いですねぇ」と笑う。
「ジハナが可愛いという話であって、私は可愛くありませんよ」
「いえいえ、王子への可愛いで合っていますよ、この場合はね」
「?? トレバー先生はたまによくわからないです」
更にちんぷんかんぷんになって言うと、トレバー先生は更に笑った。
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