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第1章 幼少期
20話 悪友のその後①
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ネオニールはジハナを連れて城の中を簡単に案内していた。忍び込む常習犯とはいえ城内の浴場や使用人用の食堂までは把握していなかったようでジハナはきょろきょろとあたりを見回しながら私の後ろをついてきている。
側近は城に住み込みで働く。これからジハナが使う部屋へ入り扉を閉める。途端、人の目がなくなったからか、ふふふ、とジハナから笑いがこぼれた。
「王子達が随分驚いていたな」
「はい、最初、俺だと気が付いていないようでした。3人の驚いた顔と言ったら!あはは!」
ネオニールは楽しそうに背中を丸めて笑う小さい側近を眺める。
まだ子供だ。この側近も王子達も。一般的に、本格的な王子教育は150を過ぎたころから始まる。ただでさえ長寿のエルフ族だ。王もまだ若く、あと1500年は現役で職務を全うされるであろう。
私自身もいずれジハナを側近にするのも悪くないとは思っていたが、通常400歳を過ぎなければ王子に側近はつけない。そんな中こんなに早く彼を囲うように登用するとは、彼に感じる何かがおありなのか、王子達への影響を見越しておられるのか……。
今は聞けずとも、きっとそのうち陛下自ら教えてくれるのだろう。
ネオニールはジハナにいう。
「あまり笑ってやるな、あとで王子達が拗ねてしまうぞ」
「ふふ、はい。でも、ふふふ」
よっぽど3人の顔が面白かったらしい。ジハナはいつまでもけらけらと笑っている。
「ここがこれからお前が住む部屋だ。好きに使うといい」
「え、ここ、俺の部屋……?」
「そうだ。私の部屋は二つ隣にある。家族も一緒に住んでいるが、いつでも訊ねてくるといい。ほらここに座りなさい」
「ありがとうございます」
ジハナはこれから自分の住処になる部屋をぐるりと見回した。机と椅子、ベッドに棚。壁の端と端を繋ぐように太いロープがかけられ、持ってきた服はそこに吊れるようになっていた。
ネオニールはジハナを椅子に誘導すると彼の髪を触る。普段城に忍び込んでいた時はボサボサとした髪でそこら中に擦り傷やら痣やらをつけていて、まさに遊びまわる子供そのものだったが、昨日しっかり整えたのだろう、驚くほどまともになっている。
「王族のお側にいるためには、それなりの格好をせねばならない。わかるな?」
「はい、でもあの、俺昨日きちんと川に浸かりました。まだ汚いですか?陛下が磨くとおっしゃっていました」
「いや、昨日とは見違えている。お母上もお父上もお前を磨き上げたのが分かるよ」
「よかった。その、俺は金細工師の息子だから、たぶんどれだけ磨いても城の皆みたいにはならないと思います」
ジハナは振り返って私をみる。その顔は決して自分を卑下している訳でなく、単純に城のエルフたちを自分とは違う生き物として話すような、例えれば魚は空を飛ぶことができないと説明するような顔だった。
「なにをいう。城の者は特別な香油やら葉の水やらを使ってそれはもう努力しておるのだ。かけている時間が増えればお前も皆と同様に、いやそれ以上に輝くだろう」
「そう、でしょうか……?」
今まで身なりを気にしていなかったのだろう、あまりピンと来ていない様子だ。
私の手には負えなさそうだが、今回は心強い美容の専門家を呼んである。私はジハナの部屋から顔を出し、自分の部屋の方へ向かって声をかける。
「アルエット、いるか?」
「はい、父上、伺ってもよろしいですか?」
「ああ、来てくれ」
私の娘、アルエットだ。
我が娘ながら美しいエルフで、それはもう自分を磨くことに余念がない。ここ数百年で香油の調合にまで手を出してしまったのでアルエットの部屋は扉を閉めていても香りが漂ってくる程だ。
アルエットは大きな籠に香油の瓶やら櫛やらよく分からないクリームやらを沢山積んでジハナの部屋に入った。
側近は城に住み込みで働く。これからジハナが使う部屋へ入り扉を閉める。途端、人の目がなくなったからか、ふふふ、とジハナから笑いがこぼれた。
「王子達が随分驚いていたな」
「はい、最初、俺だと気が付いていないようでした。3人の驚いた顔と言ったら!あはは!」
ネオニールは楽しそうに背中を丸めて笑う小さい側近を眺める。
まだ子供だ。この側近も王子達も。一般的に、本格的な王子教育は150を過ぎたころから始まる。ただでさえ長寿のエルフ族だ。王もまだ若く、あと1500年は現役で職務を全うされるであろう。
私自身もいずれジハナを側近にするのも悪くないとは思っていたが、通常400歳を過ぎなければ王子に側近はつけない。そんな中こんなに早く彼を囲うように登用するとは、彼に感じる何かがおありなのか、王子達への影響を見越しておられるのか……。
今は聞けずとも、きっとそのうち陛下自ら教えてくれるのだろう。
ネオニールはジハナにいう。
「あまり笑ってやるな、あとで王子達が拗ねてしまうぞ」
「ふふ、はい。でも、ふふふ」
よっぽど3人の顔が面白かったらしい。ジハナはいつまでもけらけらと笑っている。
「ここがこれからお前が住む部屋だ。好きに使うといい」
「え、ここ、俺の部屋……?」
「そうだ。私の部屋は二つ隣にある。家族も一緒に住んでいるが、いつでも訊ねてくるといい。ほらここに座りなさい」
「ありがとうございます」
ジハナはこれから自分の住処になる部屋をぐるりと見回した。机と椅子、ベッドに棚。壁の端と端を繋ぐように太いロープがかけられ、持ってきた服はそこに吊れるようになっていた。
ネオニールはジハナを椅子に誘導すると彼の髪を触る。普段城に忍び込んでいた時はボサボサとした髪でそこら中に擦り傷やら痣やらをつけていて、まさに遊びまわる子供そのものだったが、昨日しっかり整えたのだろう、驚くほどまともになっている。
「王族のお側にいるためには、それなりの格好をせねばならない。わかるな?」
「はい、でもあの、俺昨日きちんと川に浸かりました。まだ汚いですか?陛下が磨くとおっしゃっていました」
「いや、昨日とは見違えている。お母上もお父上もお前を磨き上げたのが分かるよ」
「よかった。その、俺は金細工師の息子だから、たぶんどれだけ磨いても城の皆みたいにはならないと思います」
ジハナは振り返って私をみる。その顔は決して自分を卑下している訳でなく、単純に城のエルフたちを自分とは違う生き物として話すような、例えれば魚は空を飛ぶことができないと説明するような顔だった。
「なにをいう。城の者は特別な香油やら葉の水やらを使ってそれはもう努力しておるのだ。かけている時間が増えればお前も皆と同様に、いやそれ以上に輝くだろう」
「そう、でしょうか……?」
今まで身なりを気にしていなかったのだろう、あまりピンと来ていない様子だ。
私の手には負えなさそうだが、今回は心強い美容の専門家を呼んである。私はジハナの部屋から顔を出し、自分の部屋の方へ向かって声をかける。
「アルエット、いるか?」
「はい、父上、伺ってもよろしいですか?」
「ああ、来てくれ」
私の娘、アルエットだ。
我が娘ながら美しいエルフで、それはもう自分を磨くことに余念がない。ここ数百年で香油の調合にまで手を出してしまったのでアルエットの部屋は扉を閉めていても香りが漂ってくる程だ。
アルエットは大きな籠に香油の瓶やら櫛やらよく分からないクリームやらを沢山積んでジハナの部屋に入った。
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