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0158★時空神様も自重できなかったようです
しおりを挟むユナのおねだりに、リアはにこにこしながら、冷凍うどんのひとつを取り出して、サッと茹であげる。
勿論、冷凍うどんに付いていた専用のつゆをほどよく希釈して、味が良くしみるようにうどんを少しだけ煮る。
ユナ用の器に、でき上がったうどんを入れる。
そして、その上にそっとかき揚げを乗せて、つゆを回しかける。
勿論、ユナが望んだオハシもちゃんと添えて出す。
「はい、かき揚げうどんの出来上がりよ」
リアの言葉に、ユナがにこぉ~っと笑う。
「わぁ~……凄い良い匂い……なんか…こころひかれる匂い? 凄く美味しそう」
そう言って、差し出された木製のどんぶりから立ち昇る匂いに鼻をヒクヒクさせて、大きな耳をフルフルさせて、尻尾をファッサファッサと振る。
それでも、ホコリを立てたくなくて、ソッと尻尾を振るユナだった。
そんなユナが、差し出されたオハシを手に取り、愛らしく小首を傾げているのを見て、リアはふふふふっと笑って言う。
「ユナ……オハシはね……こうして…紙袋から出して、左右にちょっと引っ張ると割れるようになっているのよ」
そう言って、目の前でやって見せれば、ユナは真似してオハシを紙袋から抜いて、綺麗に割る。
「そう、上手よぉ…ユナ……あと、持ち方はこうねぇ……」
そう言いながら、片方を親指と薬指の側面で押さえ、もう一方を人差し指と中指で動かしてみせる。
ユナはリアの手の動きをジィーっと見詰めて、おっかなびっくり動かしてみて、思うように動いたので、にこぉ~っと笑って頷く。
「えへっ…できたぁ~……リアお姉ちゃん…こうであってるぅ~……」
リアの目の前で、人差し指と中指でピコピコと器用にオハシの片方を動かしてみせるユナの頭を撫でてやる。
「うん…上手よぉ~…ユナ……それじゃ、うどんがのびちゃう前に食べちゃおうか」
「うん……改めて、いただきまぁ~す」
そう言って、嬉しそうにうどんをなんとか掴んで啜るユナに、リアはニコニコしながら自分の分のかき揚げうどんを食べ始める。
と、初めてのキンキンのビールに揚げ物三昧を堪能していたグレンとルリが、かき揚げうどんを堪能するリアとユナに気付き、声をかける。
「おや、なんか美味しそうなモノを食べているねぇ~……アタシにも欲しいなぁ~……ねぇ~グレン…食べたいよねぇ~……」
ルリに声をかけられたグレンも、コクコクしながら言う。
「ああ…俺も…その……かき揚げうどんって言うの食べたい……オハシっていうのも挑戦したい」
ちょっと酔いが回っているらしく、素直な気持ちを口にするグレンに、リアはクスッと笑って頷く。
「良いよぉ~……それじゃ…今作っちゃうねぇ~……」
そう言って、空中に冷凍うどんを浮かべたリアは、ユナの時同様に、ちょいちょいと軽く茹でて、希釈したつゆでちょっと味がしみるように煮てから木製のどんぶりへと入れる。
そして、ルリの分とグレンの分に分け入れ、かき揚げを乗せてつゆを入れる。
ついでに、オハシも差し出した。
ルリもグレンも、どうやらビールは飲み終わっているらしいコトをみてとり、リアはちょっと呆れる。
あらあら…もう飲み終わっちゃったのねぇ~……
ただ、昼酒は効くっていうから、これ以上はダメよねぇ~……
それにしても、揚げ物もだいぶ無くなっているわねぇ~……
なんで思っているところに………。
ーーいいなぁ~……ボクも……食べたいなぁ~……ーー
ーー……神託……降ろしちゃおうかなぁ~……ーー
ーー美味しそう……うどん? どんな味なのかなぁ~……ーー
ーー異世界の食べ物って…美味しいんだよねぇ~……ーー
ーー……色々な…野菜や魚介類の揚げ物…美味しかったぁ~……ーー
ーーキンキンに冷えたビール……のど越し最高だったし……ーー
ーー捧げられたエールとは…全然…味が違ったもんなぁ~……ーー
ーー……ああ~……やっぱり食べたいなぁ~……ーー
ーーよし……リアちゃんに…ねだろう………ひっく……ーー
脳裏に聴こえて来た、時空神様の本音に、リアはちょっとだけ肩を竦める。
あららら……もしかして、時空神様ってば酔っぱらっちゃったのかしら?
異世界の食品にはそういう効果が有ったりするって、ラノベで定番だものねぇ~
きっと、この世界のアルコールと前世の異世界のアルコールは効きが違うのかもしれないわね
いや……ちがう……そもそものアルコール度数が違うのかもしれないわね
エールってモノによっては…その…酸っぱいモノもあるようだしねぇ~……
じゃなくて、時空神様もかき揚げうどんをご所望なのね
私に続いてユナが美味しそうに食べているところに、ルリとグレンも食べたがったし
見れば…ハフハフしながらも、猛然とうどんを啜っているものねぇ……あははは
そんなモノ(美味しそうな異世界の見たことない料理)を見たら、食べたくなるわよねぇ
リアは本音を駄々洩れしている時空神様の為に、さっと冷凍うどんを取り出し、手早く茹でて希釈したつゆをしみこませて、木製のどんぶりへと盛る。
そして、かき揚げを乗せてつゆを注いだら、サッと時空神様専用りテーブルを出して、そこに乗せてオハシを添えて捧げる。
ほとんどテーブルに置いたと同時に、どんぶりとオハシが消えたのを見て、リアは肩を竦める。
今回の冷凍うどんには、希釈ようのつゆが個数分付いてたけどねぇ~………
普通は冷凍うどんだけで、つゆが付いて無いタイプばかりだから、つゆが買えるようになったら、昆布出汁とカツオ出汁の…出来れば3倍濃縮が欲しいわね
なんとか、異世界ネットショッピングのレベルを上げないとね
そうすれば、買えるモノも増えるはずだしね
あとで、スーパーユウヒも、何が買えるか確認しないとね
いや、その前に……なんやかんやで…すっかりと忘れきっていたけど
こっちのレートを、今度こそグレンに聞かないとね
ルリでもいいだろうけど…ちょっとあやしそうだからねぇ
あの時、年齢までは視れなかったけど……
しばらく人族の生活から離れていたみたいだものねぇ
グレンは、奴隷堕ちしたといっても、ずっと人族の中に居たんだから大丈夫なはず
いやいや……それより、ホームセンターニャンで何が買えるかよねぇ~……
シロムラメエは、アレよね…衣類系が基本のお店
そうよ、せめて人前に出ない時くらい、前世のジャージとか着たい
フリーサイズとか有れば良いなぁ~……
特に下着類がキツイのよねぇ………
履き心地なんて、最低だものねぇ
はぁ~……時空神様じゃないけど……本音が駄々洩れで…自重できそうにないわ
なまじ前世での快適生活を知っているだけにねぇ~………
ごはんにしたって、自炊よりも買い食いの方が多かったからねぇ
実は、私のレパートリーって少ないのよねぇ
料理本とか買えたら良いんだけど……はぁ~………
取り敢えず、時空神様の希望は最大限に叶えるわよ
この夢のような、異世界ネットショッピングを授けてくれたんだから
その為には、さっさとレートを覚えて、異世界屋(買い取り専門店)も活用しないとね
前世の貯金なんて、節約したってあっという間に使い終わっちゃいそうだからね
そんなコトを思いながら、リアは自分の席に戻り、残りのかき揚げとうどんをつゆごと綺麗に食べたのだった。
本当はねぇ~……つゆを飲みきるのはねぇ~……
でも、前世食なのよ……つゆとか残すのもったいないもの……
ダイエットの敵だとしても、お残しはしません…キリッ
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