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第15章 まずは小姑を片付けないと………
295★餌付けしましょう
しおりを挟むアルファードは、エリカの言葉に、皇位継承制度の違いを改めて感じて、今度は質問する。
それに、首を傾げ傾げ、エリカは、自分のわかる範囲で説明をする。
「えっとねぇ~………
過去に、少し争いはあったけどぉ
基本的には、皇位につく順位が
がっつり決まっているし………
今は、一夫一婦制になっているから
子供の数も少ないの
だから、そんなコトは無い
って言っても良いわね」
エリカの説明に、アルファードは頷いて言う。
「そうか、なるほど
俺達の方は、まぁ見ての通り
皇帝の色彩を持ってなければ
皇帝には成れないからな
皇太子位を争う意味は
実は、あまり意味は無いんだよな
その色彩を纏えないってコトは
その時点で資格がないからな
それを………ごり押しところか
勝手に皇太子を名乗ったんだから………
その罪は重い」
例え、それが母親たる皇妃と、その祖国の策略だったとしても、その行為になんの抵抗もしなかったアイツが悪い。
皇帝の色彩の意味を軽んじたのだから………。
アルファードは、1度、皇位継承順位が決まると変更がほとんどありえないというエリカの祖国の制度を、不思議に思う。
が、皇帝の色彩(いろ)と呼ばれる、銀の髪と紫紺の瞳を持たない者は、皇帝になれないという、この帝国の不文律も、実は余り変わらないモノだなとも思った。
また、エリカも、平時は皇位継承権って、ガチガチなくらいの方が国としては安定すると思う。
日本は、皇族が減っているという事実に目を背けているので、いずれは行き詰ると、エリカは思っている。
男だけではなく、女にも皇位継承権がある方が自然だと思う。
が、異世界に召喚された自分には、何も出来ないと思うのだった。
そして、その複雑な思いに蓋をして、エリカはアルファードに話し掛ける。
「そうだよねぇ~………
その皇帝の色彩って
フルトランスが出来るって
証しの色だと思うしね
この帝国でフルトランスする能力を
確実に持っているってコトは
膨大な魔力を持っているという
証明にもなるもんね」
2人が、皇位継承権の話をしていると、ジュリアスが、呆れるほどの量の塩の塊と共に現れる。
そして、エリカに得意げに話し掛ける。
「マスター…この付近にある…
塩の塊を…ほとんど持ってきました」
ジュリアスの声に、エリカ達は、その方向に視線を向ける。
すると、大小様々な塩の塊が、ジュリアスの後ろに浮かんでいるのを目にするのだった。
その量を見て驚きながらも、エリカはジュリアスにお礼を言う。
〔こんなに沢山持ってきてくれるなんて………
ドラゴンって、気に入った相手には
色々と貢ぎたいっていう体質なのね
まんま、ラノベに書いてあった通りね
でも、貰ってばっかりっていうのも
何か嫌なのよねぇ~………
あっそうだぁ~………
ジュリアスだって水属性だけど
ドラゴンの一種なんだから
お酒が好きなはずよね
ここは、アルやオスカーさん
マクルーファさん達に貰ったワインとか
そのワインを蒸留して作った
ブランディーをあげてみようかな?〕
「ありがとう、ジュリアス…
すっごく助かるわ
それと、ジュリアスは
人間の作ったお酒を飲めるかしら?」
褒められて嬉しいのぉ~…と、お尻尾を振っている犬のようなジュリアスが答える。
「はい、飲めます
………というか、私達は
人間達の作ったお酒は大好きです
たまに、シーサーペントを狩って
そのウロコや肉と交換して
お酒を飲んだりしています」
その答えに、お酒が好きだとわかったエリカは、次の質問をする。
レオニード達に、色々なお菓子や料理を食べさせているので、ジュリアスも食べさせたかったから………。
「それじゃぁ…ジュリアスは
人間の食べ物を、食べられるの?」
「はい、何でも食べられます」
エリカの希望通りに、何でも食べられると、ジュリアスの答えが返ってきた。
〔良かったわぁ………
これで、お塩を貰うだけって
関係じゃなくなるわ
いくら守護獣になったからって
タダでこき使っているようなのって………
なんかものすごぉ~く嫌なのよねぇ
守護獣が、単なる使役獣って感じに
なり下がるのは嫌だもん
ドラゴンと契約できただけでも
や○竜ぽくって良いって思うしね
ここは、餌付けしましょう〕
それでも、餌付けへと思考が傾くのは、エリカがオタク系故だったりする。
そして、その思いのまま行動するのがエリカである。
「そう、良かったわ
こぉ~んなに、たくさんの
お塩を取ってもらったんだから
ワインとかブランディー
その他のお酒を受け取って欲しいの
それと甘い物が平気なら
私の作ったお菓子も食べて欲しいの」
エリカの言葉とご褒美の提示に、ジュリアスはデレデレする。
「マスターの手作りのお菓子なんて
すっごく嬉しいですぅ
幾らでも食べられます
それに、お酒も嬉しいですね」
エリカの内心の苦悩を知らないジュリアスは、ご機嫌でにこにこしているだけだった。
エリカの望みが、お塩だけで、自分を使って人間を支配しようなんて思っていない………。
人間が、塩が無いと生きて生けないと知っているので、それは当たり前の行為でしかないとジュリアスは思っている。
ジュリアスは、エリカが純粋に自分に対する好意しか無いと、守護獣契約をするときにわかっているから………。
綺麗なこころ、澄み切った魂、甘く優しい性格、暖かい魔力に、ジュリアスはくらくらしていた。
ジュリアスは、エリカをマスターに出来た自分の幸運を、噛み締めていたりする。
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