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第16章 そして、パーティーが始まる
339★やっと、こころのままに………
しおりを挟む「はい。エリカは私の番です」
「そんな顔をするな
そなたの母キャロラインは、私の番だ」
父上の言葉によると俺は悲痛な顔をしていたらしい。
けど、父上の発言に驚いた。
母上が父上の番だなんて………母上からそんな話は聞いていない。
「えっ?」
よほど驚いた表情をしていたのだろう。
父上が本当に楽しそうに笑っている。
「キャロラインが、番とバレたら
皇妃に何をされるかわからない故に
私の魔法で隠してある
キャロラインにはすまないと思うが………」
父上は、発言の途中で暗い表情になった。
塩ババアから母上を守る為にと言っても、最愛の母上を騙しているようなものだからだろう………たぶん、きっと。
でも、番に出会えた幸運を、何故、伝えないのだろうか?
父上の魔法に掛かっている母上が、可哀想になってしまう。
「何故?」
俺の問い掛けに、父上は切なそうな顔で言う。
「私は、皇帝病を患っていた
番を亡くした者達は
ひどい嘆きのうちに気が狂い死ぬ
そんな不幸をキャロラインに
味あわせたく無かったのだ
だが、聖女殿の作る
料理を食べるようになり
皇帝病の進行が止まった
そして、治ってきている」
初めて聞く嬉しい言葉………。
父上の皇帝病が、進行していないどころか治ってきているなんて………嬉しい。
それも、エリカの作る愛情たぁ~っぷりの料理の効力だなんて………でも、俺の身長も目に見える程に伸びている。
それと同じように、父上の病にも効いている可能性は、高いと思った。
それでも、確かめてみたくなる。
「本当ですか?」
「くすくす…お前に…
嘘を言ってどうする…
それ故に…聖女殿の言うとおりに
塩が手に入ったなら…
皇妃と離婚し皇太子を廃嫡する
そして、キャロラインを皇妃にする
そして、同じ時を一緒に生きる」
「やっと、父上は
そのこころのままに動けるのですね」
「アルファード
私は1000人にひとりぐらいしか
出会えないと言われている番に………
キャロラインに出会い婚姻できた
その上で皇帝の色彩を纏ったお前と
それに近い色彩を持つアルバードを得た
容姿だけは、キャロラインに似ている
キャサリンも得た
それに、私やキャロラインに
素直に甘える
ギデオンやレギオンも得て
その成長も見た
子供の成長を、ほとんど見るコトなく
逝ってしまった父上と違ってな」
「お祖父様ですか?」
俺達が生まれる前に、この世を去ったお祖父様のコトを言われて、首を傾げてしまった。
そんな俺に父上は、切なそうなそれでいてどこか遠くを見ているような瞳をしてから、俺に優しく言う。
「父上は、母上との間に
私とアスランと
マゼラン王国王妃の
マリナテレジア・エルファを作った
そして、父上は、生きるコトに
力尽きて眠るように逝ってしまった
私達のコトをオスカーと
マクルーファに頼んで……
どんなに切なかったのだろうと…
今なら思える
最愛の女と、幼子を3人も残して
逝くのは辛かったと思う」
父上の言葉に、お祖父様の辛い人生を思う。
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でも、俺に出来るコトは無い…何も出来ない。
せめて、お祖父様という存在がいたコトを覚えておこうと思う。
今の俺が生きているのは、お祖父様が父上を生み出してくれたお陰だから………。
そんな俺に父上は、苦笑しながら声を掛けてくれた。
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