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第6章 野営地にて………
062★皇帝の色は、銀髪で紫紺の瞳だそうです
しおりを挟む後半のセリフは無意識なので、小さく呟いていたが、オスカーはそれをしっかり聞きつつも、話しの内容に食いついたエリカに大きく頷いて言う。
「はい、その為に、皇子様方は
全員、ハーフトランスが出来ました」
ここで重要なことを、そうでもないように含ませて、さらりと答えるオスカーは、本当に腹黒だった。
〔ふわぁ~…ハーフトランスかぁ……
うっ…ちっちゃい羽根とかパタパタさせて
『かあさまぁ~…だっこぉ~……』
なんて、言われたら……たら……
可愛すぎるわ…きっと何人も欲しくなる
寵愛の聖女様…とてもうらやましいです
……じゃなくて……何人産んで
皇帝の色の子は、何人いたのかな?〕
が、そんなことに気付く余裕のないエリカは、もうひとつの重要なことを思い返して聞く。
「あっ…えぇ~と…その、髪と瞳の色は?」
どうだったんですか?というエリカに、文献の類いを熟読しているオスカーは、ちょっと肩を竦めて言う。
「皇太子のみが、銀髪紫紺の瞳で
他の皇子様達は、白金髪碧眼
金髪紫眼、銀髪紺眼、黒髪紫眼でした
皇女様達は、金髪茶眼でした」
オスカーからの言葉に、エリカは小首を傾げる。
〔ここでも、7人なんだ…じゃない
同腹で、7人いても1人かぁ……
皇帝の色って、銀髪紫紺の瞳で……
アルがソレを纏っているのかぁ……
なんか、ソレを聞くと………
アルの立場って可哀想だったりする?
現・皇妃と仲が良いとは思えないし……
だから、オスカーさんがぎっちりと
付いているんだぁ………
現・皇妃の子供の色って何色なんだろう
結構、気になるかも…………〕
「7人の子供がいたの?」
確認するエリカに、オスカーが答える。
こういう話しは、オスカーの方が理解(わか)り易く説明できるので、アルファードは口を挟まない。
そのかわり、そっとエリカを抱き込む。
が、しかし、お兄ちゃんやパパに常日頃から抱き込まれていたエリカは、そういう行為に違和感を感じないので、抵抗なく素直に抱き込まれていた。
「はい…そして、寵愛の聖女様の子供達は
新しい大公家や公爵家を作ったり
婿として、辺境伯家に入ったりしました
皇女様達は、それぞれの辺境伯爵家に
嫁いだという記録があります」
エリカは、帝国の防衛に必要な辺境を重視した政策に頷く。
なまじ、パパが海自で、侵略を企てる赤いアレやら、妄想に耽ったコレやらに領海を侵食しようとするソレなどで頭を悩ます姿を知っていたので………。
防衛の大事さ(家庭も含め)を理解しているだけに、無意識なまま喉を゛キュッと鳴らして聞く。
「辺境伯爵家は幾つあるの?
もしかして4家で、皇子様と皇女様も4人
婿に入ったり、嫁いだの?」
おおよその予測を立ててのエリカの発言に、オスカーは良く出来ましたという優しい笑顔で頷いて言う。
「はい、東西南北の辺境伯爵家に……
それぞれ皇室の血が降りました……」
エリカはオスカーの言葉に、感服の溜め息混じりに呟く。
「う~ん、寵愛の聖女様って
本当に優秀だったんですね
これは、私も頑張らなきゃいけませんね」
無意識の対抗心を現す言葉に、アルファードはとても嬉しそうにしながら言う。
〔くすっ…エリカってば可愛いなぁ~………
少しは、俺を恋愛対象として
意識してくれていると思って良いのかな?
俺が恋愛対象として好意をもっているって
一生懸命、アピールしないとな
ここは、俺の支配力が効いているから良いが
王城に戻ったら、きっと、エリカを狙う輩が
掃いて捨てるほど出るに決まっている〕
「エリカは、エリカだから
無理する必要は無いんだぞ
側にいて笑ってくれるだけで
俺は、とても嬉しいから………
エリカが笑っていてくれるだけで
いくらでも、頑張れるよ」
アルファードの蕩けるような表情での甘ぁ~い言葉に、エリカは気恥ずかしさから、つい本音混じりで言ってしまう。
「うっわぁーアルってタラシだわぁ~……
もう…一瞬…惚れちゃったじゃないの……
優しくて美少年で、強くって……
その上で皇子様なんて…最強すぎるよ」
〔今までのエリカだったら、絶対にパスぅ~
って、言っていただろうけど、ここは異世界
誰も、エリカを知らないからイジメは無い
そして、一生懸命に努力すれば
きちんと、認められる世界なのは判ったわ
だったら、アルの側に居られる権利を……
聖女という資格を手に入れて………
可愛い子供をいっぱい産んでみたいな
パパやお兄ちゃんみたいに、身内贔屓で
目が腐っている人なんて、そう居ないと
思っていたけど……居たわ
それも、美少年で……ここは逃す手ないわ
アルとだったら、愛し愛されの暖かい家庭が
手に入るかもしれないんだから…………
その為には………
う~ん、容姿をどうこうは無理だから
もう少しこのぽっちゃりを何とかしないと〕
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