私は聖女になります、性女(娼婦)にはなりません

ブラックベリィ

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第7章 帝都にて、それぞれの時と思い

075★聖女候補の困惑とエリカの疲労

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 その自分達を鵜の目鷹の目で狙う、どこかねっとりとした視線を感じた聖女候補の少女達6人は、眉を顰めてお互いに見詰めあうのだった。

 そして、撫子がぽつりと言う。

 「ねぇ~なんか変な視線感じない?」

 そのセリフに、牡丹が応じて言う。

 「うん、感じる…ゾクゾクする」

 と、蘭がその視線に含まれるモノと良く似たモノを味わった時のことを思い出して言う。

 「……んぅ~とぉ~……あっ…ストーカー
 そう、ストーカーにまとわり付かれた時の
 いやぁ~んな感じに近いよ」

 それに対して、桔梗が長い髪を揺らしながら、納得という表情で頷いて言う。

 「ああそうね、この妙に気色悪い視線って
 ストーカー視線なのかぁ~……そっかぁ~……」

 桔梗が納得する側で、鈴蘭がふと気付いたように言う。

 「ねぇ~……この視線が強くなったのって
 美少年にお姫様抱っこされた彼女が………
 ここから、消えてからだよね」

 その言葉に、うつむかせた顔を上げて、百合は思いきって言う。

 「確かに、彼女がいなくなってから……」

 全員の気持ちが一定方向になったところで、やはり撫子が先導するように言う。

 「だったら、彼女の側に行ってみようよ」

 その言葉に、やはり牡丹が1番に飛びついて言う。

 「確か、彼女をお姫様抱っこで連れて行った
 あの美少年って、魔法騎士団の団長だって
 言ってたよね」

 不安を押し隠して、鈴蘭が賛成の意見を口にする。 

 「うん、そう言ってたよねぇ
 そんじゃー魔法騎士団の本部に行って
 みればイイんじゃないの?」

 鈴蘭の言葉に頷きつつ、蘭が小首を傾げて素朴な質問を口にする。

 「その本部って、どこにあるのかな?」

 蘭の言葉に、あちこちキョロキョロと視線を彷徨わせていた桔梗が指差しながら言う。

 「あの建物じゃないの?」

 百合は、不快な視線から逃げたくて、つい言ってしまう。

 「それじゃ行ってみようよ」

 その百合の言葉に、残りの聖女達が頷いて、声をハモらせて言う。

 「「「「「サンセイー」」」」」

 そんな聖女候補の少女達の会話を聞いていた、皇子達や各騎士団の副団長達は、内心で思いっきり困ってしまう。
 そう、このまま第1皇子でもある、アルファードの元に行かせると、聖女候補達に、余計な知識と情報を与えられてしまうと思ったのだ。

 だからといって、無理に止めると聖女候補の少女達に警戒されてしまうというジレンマに駆られる。
 そして、皇子達や副団長達や騎士達は、お互いに顔を見合わせて黙っていた。

 そんな彼らの思いなんぞ知らない聖女候補達は、目標の建物に向かってスタスタと迷い無く歩いて行く。
 自分達の身の危険を感じているだけに、その足取りに迷いは無い。
 
 その後を、諦めの滲んだ表情のまま、彼等は付いて行くのだった。

 聖女候補の少女達とそれに付き従う騎士達や魔法使い達や神官達が、それぞれに苦悩している、その頃。


 エリカは、アルファードの部屋に到着して、ソファーに座らせられて居た。
 なんとなく、ホッとしてぼぅーっとした状態のたいエリカを、これ幸いと自分のテリトリー(団長用の部屋と兼自室)に連れ込んでいたのだ。

 なんで、エリカがぼーっとしているかと言うと、今回の馬での移動にエリカは自分で魔法を掛けていなかったセイだった。
 エリカに身体強化の魔法を掛けたのは、アルファードだったので………。

 その為に、基礎体力が、獣人やドラゴニアンやハイエルフと違って、純粋な人間だとわかっていても、身体強化魔法の《力》が足りなかったのだ。

 この世界の純粋な人間達よりも、遥かにエリカ達は体力が無かった。
 それも当然と言えば当然なのだ。

 《召還》される前のエリカ達は、移動に徒歩を使うことがあまり無い生活をしていたから………。

 日常の移動手段は、電車や車(バス、タクシー、自家用車、バイクなど)、飛行機、船(フェリー)、たまに自転車などで、自分の身体をそこまで使わない生活なので、基本体力には格段の差が最初からあるのだ。

 それ故に、ドラゴニアンや獣人を基本とした、身体強化では防衛力などが足りなくて、人間(エリカ)の体力を確実に削っていたのた。

 どんな生き物でも、使わない能力は、必要ないものとして、斬り捨てられてしまうのだ。
 これがいわゆる退化というものである。
 結果、体力の無い、抵抗力も無いという人間が出来上がるのだ。

 普通の女子高校生より、遥かに体力があろうとも、騎士になるような鍛錬はしていないので、そんな体力は無い。
 まして、エリカは普通の人間であって、獣人でもドラゴニアンでもないのだから…………。

 その為に、アルファードの身体強化の《力》が足りずに、エリカは疲労してしまったのだ。

 アルファードもオスカーも、この世界の貴族の姫君を嫌っているので、彼女達に身体能力を強化する魔法なんぞ掛けたことは無い。
 騎士達やせいぜい下働きの者達にしか掛けたことは無かったのだ。

 ソファーでぼーっとおとなしくしているエリカの疲労の原因を考えていたオスカーは、しばらくして、やっとそこに気が付いた。

 そして、そのことを教える為に、エリカとアルファードに話し掛けるのだった。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
PCのアルファさんの画面をあけたまま寝落ちしてしまいました。
今ちょっと前に目を覚まして、びっくりしてます。
あうう~……21時に予定していたのに……(泣)
やっぱり子ヤギの哺乳で睡眠不足しているセイかな?
とりあえず、今日の分の更新を…………。
誤字脱字多いかも知れません。
お気づきになったかたがおりましたら、ご指摘お願いします。
感想はもらえると凄く嬉しいです。
では、お楽しみ下さい。




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