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第7章 帝都にて、それぞれの時と思い
078★アルファードはそれでも愛されている皇子です
しおりを挟む「姫君、俺の母は、こんな感じでな
今も、何ひとつ変わらない
俺を自分の子供として慈しむ気なんか
サラサラ無いんだよ
『妊娠中はつわりで苦しかったし
身体は思うように動かないし
醜く太ったわ
お陰で、陛下のお渡りも無くなったわ
妊娠しなきゃ良かったって何度思ったか
でも、お前がアルファード様の弟として
可愛がられるようになったら………
陛下が言うのよ………
アルファードの我が儘で
そなたの子を取り上げてすまないな……って
今一度可愛い子をもとうと言って
お渡りになられるようになったから………
アルファード様にしっかりお仕えするのよ
お前は…名ばかりの皇子なんだから…
嫌われないでね』
って言う感じで、母は俺に興味もありません」
そんなギデオンの後には、やはりレギオンが自分の立場というモノを口にした。
「俺の母も変わらないです
あのひとの頭の中にあるのは、ただ
陛下に寵愛されたいという思いだけ
子供はどうでもイイんだよ
だから、母は、青薔薇の薬を飲むんだ」
微妙で嫌悪感を呼ぶ響きのある薬の名に、エリカは不快そうな表情で言う。
「レギオンさん、青薔薇の薬って
なんか嫌な響きなんですけど………」
流石、聖女様だと思いながら、レギオンはその薬の効能を口にする。
「それは、望まない子供を
孕まないようにする為の薬なんだ」
エリカは、不思議そうな表情で小首を傾げる。
〔えぇ~…なんでぇ~…子供は何人でも
欲しくない? 好きな人の子ならなおさら……
エリカだったら、アルの子なら多少つらくても
何人でも欲しいよ〕
本当に、その意味が理解(わか)らないエリカは、つっこんで聞きすぎかなぁ?と思いつつも聞いてしまう。
「どうして?」
「妊娠すると陛下がお渡りにならなくなる
それに、醜くなるからだって言ってたな」
〔もしかして、それ自分で聞いたの?
なんか、可哀想すぎるんですけど………〕
「それって…………」
どう言葉にしたら良いか困ってしまったエリカに、レギオンが肩を竦める。
「姫君、そんな顔をしないで下さい
母達が陛下以外に興味が無い状態だから
兄上を、暗殺しようとするのは
皇妃リリアーナだけなんですよ」
ギデオンも頷いて言う。
「そうそう、母上達は皇子達を
暗殺しようとしないですから
平和だと思っています
ただ、父上からの寵愛だけを
求めているんだから…………」
「…………」
「エリカ、人それぞれだろうってことで……
ドラゴニア帝国の皇帝の妃達は
1番を皇妃、2番から5番までを
東の妃(2番)、西の妃(3番)
南の妃(4番)、北の妃(5番)で現す
その下は、妾妃を青の妾妃(6番)
紅の妾妃(7番)、白の妾妃(8番)
黒の妾妃(9番)と呼ばれる
それ以下の者は、愛妾と呼ばれることに
なっている」
アルファードから、後宮の地位についてを教わり、エリカはなるほどと思い、納得するが、ついぽつりと言ってしまう。む
「へぇ~後宮物語りって感じねぇ~
血みどろの皇位争いが有ったなんて
歴史があったりして…………」
1番ありそうなパターンを口にするエリカに、アルファードは苦笑しながら言う。
「いや、それは無い
皇帝は、銀髪紫紺の瞳を持つ者以外は
なれないから………」
さらりと、口を滑らせるように、自分の置かれている立場を口にしてしまったアルファードは内心で脂汗をダラダラと垂れ流していた。
そして、やっぱり聞かれたく無い話しへと向かう。
「じゃあ、アルは、皇帝になるの?」
エリカに嘘を言いたくないアルファードは、どこか観念したような表情で答える。
「うっ…当分は…皇太子にもならないから…
た…たぶん…平気だ…と…思う………」
「ふうぅ~ん」
「あっとぉ~俺の母の話しの続きをするな」
「そうだね」
「俺の母は、他の妃や妾妃達が
皇妃リリアーナと揉めないように
行動している
また、皇妃リリアーナと東の妃が
衝突して騒ぎを起こすたびに
父上が介入しないですむように
無理矢理でも2人を話し合いの席に着けて
折り合いが付くように持っていくように
しているんだ
そういう意味では、皇妃リリアーナよりも
皇妃らしいって言われている
だから、父上の信頼は1番厚いと思う」
「へぇ~」
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