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第11章 訓練開始
149★剣に魔法を纏わせる練習をしましょう1
しおりを挟むそんなちょっと、いや、かなりのコンプレックス持ちのエリカに、ベタ惚れしたアルファードは、魔法騎士団でも美形隊長として争っている、ミカエルとラファエルに視線すら向けないことに、ジーンとしていた。
そう、アルファードは何時まで経っても、普通に成長しない美少年のままの自分にコンプレックスを持っていたのだ。
それは、きちんと成長して大人になっている者達すべてに、嫉妬するという暗いものだった。
だが、エリカと出会い、自分が成長していなかった為に、その心に同世代という気安さでするりと入り込めたことで、そのコンプレックスはほとんど昇華されていた。
エリカは気が付いていないが、既にここ数年、完全に成長が止まっていたアルファードの身長が、エリカの作る食事を食べて、2cmも伸びたのだ。
このままエリカの作る愛情と《魔力》を含んだ食事をとれば、きちんと成長できるという希望が、その事実を知ったアルファードに芽生えたのだ。
だから、アルファードは、貴族の姫達を平気で食べる剛毅な美形ミカエルとラファエルに対するコンプレックスをポイッと捨てることが出来た。
そのため、何時もだったらちょっと嫌そうな表情を浮かべて2人を見るのだが、今日のアルファードは静かに微笑みすら浮かべて2人を見詰めることが出来たのだった。
〔さてと、この2人の隊は、中央騎士団の
街道定期巡回に参加していたよな
提出された報告書によると
ほとんど魔物討伐はしていないから
気力体力ともに充実しているはず
なら、多少の無茶をしても良いだろう
見た感じも疲労感は無い
良し、俺が魔物役でガンガン襲ってやろう〕
機嫌の良くなったアルファードは、極上の笑顔でミカエルとラファエルの隊の騎士達を地獄に落とす宣言をする。
「報告書によるとお前達は、この1週間
ほとんど魔物討伐をしていなかったようだな
ゆえに、疲労は無いと判断し、戦いの勘が
鈍らないように
俺とギデオンとレギオンなどが、魔物として
お前達を襲うから、存分に抵抗しろ」
ご機嫌なアルファードに、エリカが突っ込み?を入れる。
「アル、私に剣に魔法をまとう方法を
教えるついでに、魔法剣同士の戦いを
見せてくれるって言ってたけど……
それは、何時なの?」
厨二病を持つオタクなエリカは、剣に魔法をまとわせる方法を早く習得したくて堪らなかったのだ。
だから、平気でアルファードの予定をぶち壊す。
が、しかし、予定を壊されたこことよりも、愛しいエリカに、自分を優先して欲しいと我が儘を言われて、アルファードは満開のバラが綻ぶような艶やかな笑顔を浮かべる。
「ごめん、エリカとの約束を、後回しに
してしまうところだったな
ミカエル、ラファエル、剣に魔法をまとい
戦う訓練をしろ。俺はエリカに教えるから」
「「はい」」
そのセリフを聞いた瞬間、アルファードに襲われるという恐怖が、無くなったので、ほっとした顔で2人は返事をする。
勿論、訓練を受ける立場になっていた騎士達も同じようにほっとしていた。
それを見たアルファードは、ギデオン達副官および側近に命令する。
「ギデオン、レギオン、お前達は
騎士達の訓練を見ていろ。始めろ」
アルファードの命令に従って、騎士達は、一斉に騎士の礼をとり返事をする。
「「「「「「「「「「はい」」」」」」」」」」
こうして、騎士達は予定通りの訓練を始めたのだった。
訓練を始めた騎士達は、アルファードの直接訓練を受けずにすんだことをエリカに感謝していた。
もちろん、アルファードが魔物役=魔王?となることを恐れていた騎士達からは、絶大な支持を受けるのだった。
魔法騎士団の騎士達は、美味しいものを作ってくれるし、回復魔法の使い手で、聖女候補の姫君としてエリカを慕っていた。
が、今回の魔王?魔物?怪物?アルファードに唯一対抗できる、否、好き勝手できる存在として女神のごとく崇められるエリカだった。
そんなエリカは、アルファードと一緒に、騎士達が、得意な魔法を剣にまとわせる様子を見ていた。
剣を抜き、その剣にツイッーと指を這わせる者。
剣を抜き、その刃に口付ける者。
剣を抜きながら、優雅に円を描く者。
剣を抜き、唇に指を付ける者。
剣を抜き、呪文?を唱える者。
色々な方法で剣に魔法を付与していく騎士達の姿に、エリカは厨二病を全開にして見ていた。
それは、自分がどんな決めポーズをするかを考えているためだったりする。
〔ふぇー魔法をまとわせるって
人それぞれなんだ
アルやオスカーさんやマクルーファさん達は
どんな方法で、剣に魔法をまとわせるのかな?
後で見てみたいな
きっと綺麗なポーズなんだろうなぁ~
うふふ……わくわくしちゃう
魔法をまとった剣も綺麗だわぁ〕
エリカの視線の先では、炎をまとう剣、雷をまとう剣、流れる水をまとう剣、
凍気をまとう剣など色々な形状の魔法をまとった剣同士がぶつかり合っていた。
アルファードは、愛しいエリカの視線を確認していた。
〔クスクス……エリカは、本当に剣に魔法を
まとわせる方法に興味があるんだな
騎士達の魔法の発動の仕方と
それによって起きる剣の変化しか見ていない
エリカは、魔法を簡単に使っているが
剣にまとわせるという方法は
何度かやってすぐにできる者と
一月はかかる者と色々だからな
今日、習得出来なかったら、習得できるまで
付き合うって言ってやろう
むしろ、その方が楽しいかも?〕
エリカとベタベタしたいアルファードは、内心でちょっと黒いことを考えながらも、表面上はとぉっても優しげに話し掛ける。
「エリカ、剣にまとわせる魔法は
考えているのか?」
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