私は聖女になります、性女(娼婦)にはなりません

ブラックベリィ

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第11章 訓練開始

155★やっぱり、オスカーは心配性?

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 エリカは、前回と違って遠乗りを楽しんで、緑魔の森に着いた。
 アルファードは、ミカエルとラファエルの隊の騎士達の動きの確認をしていたりする。
 愛しいエリカを、昨日サントマドラーヌに攫われたことを、しっかりと気にしていたから…………。

 そんなアルファードを心配して、オスカーが強引に仕事をマクルーファに押し付けて付いて来ていたのは言うまでもない。
 聖女候補の少女達に、魔法についての講義をする為に、クリストファーを残しただけで、他の側近はすべて連れてきている過保護?なオスカーである。
 あまり口にしないが、意外と心配性なのだ。

 オスカーの優先順位は、聖女で守るべき姫君のエリカが1番。
 そして、親友に頼まれた大切な皇太子アルファードが2番。
 とりあえず側近として、ギデオンとレギオン。
 という感じで、割とはっきりしていたりする。

 側に居なければ、アルファードの実の弟のアルバードを守ることは出来ないので、優先順位からあっさりと削っているオスカーだった。
 勿論、親友のマクルーファも、その優先順位は変わらない。
 キデオンやレギオンに対する扱いは、他の団員である騎士達よりマシ程度という、ちょっと、いや、かなり冷たいユキヒョウのオスである。

 猫科のオスは、自分以外のオスをすべて排除する性質を持っているので、その獣人マクルーファは、基本オスに冷たい男なのだ。
 なお、猫科のオスは、子育てしない性質を持っているので、メスというか女性を抱いているときは、優しいけど、その側から離れれば冷たいという性質(たち)の悪い習性も持っている。

 だから、アルファードを貴族や皇族の姫から、身体を使ってでも守るという無茶ができるのだった。
 俗に言う抱き捨てを平気でする男が、マクルーファなのだ。
 が、ユキヒョウの獣人に、誠実なお付き合いを求める方が、間違っているという認識で押し通しているのだった。

 それなのに、マクルーファは、エリカだけは愛しくて堪らないと思っている。
 それをわかっているから、オスカーは、エリカとマクルーファの接触を減らすように努力しているのだった。
 エリカの性格が、寵愛の聖女に近い気がしていたから……。

 慈愛の聖女や聖母な聖女や微笑みの聖女に近い、流され易い性格だったら良かったのにと思いながらも、オスカーはマクルーファの恋路の邪魔をせっせとしているのだった。

 今回、連れてきているミカエルとラファエルは、側近(将来の副団長候補)として鍛える予定にしていた男達だったので、オスカーとしても人物を見極める為にも良いと思っていた。

 エリカに対する態度をじっくりと見てみたいと思っていたのだ。
 まさか、エリカに完璧に叩きのめされていたとは思っていなかったオスカーだったりする。
 エリカという強者に叩きのめされ、オスとして……。

 『姫君、私は、貴女に負けましたので
 これからは、貴女に従います
 (=あねさん、俺は、アンタに負けた
 アンタについて行くぜ、イエーイ)』

 という状態になっていた、ミカエルとラファエルは、もはやエリカの忠実な犬でしかなかったりする。
 ミカエルとラファエルの隊に所属する騎士達も、エリカの強さに惚れ込み絶対の忠誠を心から奉げている。

 彼らの1番は、聖女で姫であるエリカで、次に魔法騎士団の団長で皇太子で
あるアルファードであった。
 こんな忠誠心に溢れる騎士達を従えて、果物とハニーベリーとバニラビーンズを採取して、魔魚の回収だけで終わるなんてことは無かった。

 緑魔の森は、エリカに試練とたぁーっぷりの収穫を与えるのだ。

 昨日と同じ場所から森に入るのは詰まらないと、アルファードは少し離れた場所から森の中に入ることにした。
 それは、果物の採取の都合もあったから……。

 「エリカ、今日は、こっちから緑魔の森の
 中心部に向かう」

 「昨日と違うけど?」

 「モモやブドウやリンゴも欲しいって
 言っていたよな?」

 「えっ、もしかして?」

 期待に瞳をキラキラさせるエリカに、オスカーが説明する。

 「こっち側に、以前、モモとリンゴが
 なっていたのを見たことがあります
 それと、ブドウも数種類なっている
 場所があります」

 その説明の声に振り返ったエリカは、オスカーを見て小首を傾げる。

 「オスカーさんが付いて来てくれたのって?」

 「ええ、案内しようと思いまして」

 その言葉に含まれる意に気付き、エリカはうっとりとした表情で作りたいデザートを無意識に口にする。

 「うっ……アップルパイ、焼きリンゴ
 それに、リンゴのシャーベット

 モモのコンポートにモモのゼリー固め
 モモのシャーベットにモモのアイスクリーム

 ブドウのシャーベット、ブドウゼリー
 ラムレーズンアイスにチョコのレーズン
 コーティングとか色々と作れますねぇ~」
 
 エリカの発言に甘いモノに餓えていたアルファードは、蕩けるような笑顔を見せる。
 愛しいエリカの作る甘いお菓子にアルファードの心はトリップしてしまう。
 そんなアルファードを笑う者は、誰も居なかった。

 騎士達は、魔物討伐をするか訓練に明け暮れる日々を送り、ひたすら食事を取るという日々を送っているので、美味しいモノを食べれると思うとそれだけで幸せになれる。

 その大変さは、シンクロナイズドスイミングの選手を超えるほど。
 なお、シンクロナイズドスイミングの選手の皆さんは、1日に5000~6000キロカロリー超えるぐらい食べる必要が有るんです。
 ちなみに、一般成人女性の1日に必要なカロリーは、1800~2000だったりします。

 水中で演技する為に、必要な筋肉と浮かぶ為の浮力としての脂肪を必要とする為に。
 現役を引退した選手は、もう必死になって、食べなくて良いんだと涙したと某選手のインタビューが印象に残っています。

 そう、騎士達は、直接魔物を叩き斬る筋肉の為に大量のたんぱく質を取り、持続して戦う為の脂肪を維持する為に脂肪を取り、魔法を使う脳の為に、糖分をある程度取る必要があるのだ。
 戦闘直後には、魔法を使ってエネルギー不足になっている脳に、糖分を素早く与える必要があるのだ。
 タイミング悪く糖分の摂取が出来ないと《魔力》枯渇になったりすることもままあるのだ。

 だから、美味しいスイーツ(甘味)を作れるエリカの人気は、騎士達にとって不動だったりする。
 どんなに他の聖女候補が美少女でも、実戦に出ている騎士達にとっては意味が無かったりするのだ。
 隣りで戦える上に、とぉっても美味しい料理(スイーツを含む)を作り、癒しの手(隔絶した治癒魔法の使い手)を持つエリカほどの姫君は存在しないから。

 できれば、自分の嫁にしたいというのが、騎士達全員の本音ですが、エリカの方が強いので、強引な手段に出られないのも、また事実だったりする。
 そう、エリカを攫ってどうこうしたいなら、マクルーファやオスカーやアルファードクラスの《力》が必要なので……。
 ギデオンやレギオンでは、エリカに返り打ちにあってお仕舞いだったりするのだ。




 ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

 と、いうことで、次の話しは絶対の強さを誇るエリカに……。
 そう、どうやっても、嫌な敵を出そうと思っています。
 書いているデューもラズもイヤですね。
 でも、アルファードにしがみつくエリカが書きたいので。
 台所出現率高しのアレを予定してます(笑)



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