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第3章 蓬莱家で住み込みのお仕事

198★可愛い形のお菓子は、必須アイテム?

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 冷蔵庫にしまい終わった和輝は、桜を振り返って言う。

 「桜‥おやつは時間を書いて
  冷蔵庫に入れたからな

  一応、お昼用の弁当も作ったから
  本邸で料理人に作ってもらった
  昼食を食べる気が無いなら

  こっちで、レンジでチンして
  きちんと温めてから食べろな

  さて、つーことで俺達も
  朝食を食べちまうか?」

 ひとりで先に食べる気も、本邸に行って食べる気もない桜は、さっさとテーブルにちょこなんと着いて、和輝が用意する数々のお菓子やおかずの群れを楽しそうに見ていたのだ。

 和輝に、朝食をたべようかと声を掛けられ、桜はコクッと頷いて、洗面所へと消える。

 だぁ~‥‥‥桜のヤツ
 なんか寂しくなっちまって

 寝起きの顔も洗わずに
 ここに座り込んでいたのかよ

 はぁ~‥‥昨日来た
 白夜さんからの電話で
 寂しくなっちまったんだな

 まっ‥しゃーねーか‥‥
 って、あれ?‥‥そう言えば‥‥

 桜が、あの紅夜と婚約している
 つーのは聞いたけどぉ?

 桜って、いくつくらいなんだぁ?
 小学校5年生の優奈や真奈よりは
 見かけ的に、年上だろけうけど‥‥‥

 せいぜいが中学生くらいかな?
 って姿だけど、実際年齢は?
 いったい、いくつなんだろうな?

 そんな埒も無いコトを考えながら、和輝の手だけは意識に関係なく動いていた。
 洋菓子をたっぷり作ったので、今度は新たに和菓子を作り始めた。
 和輝は器用に色々な餡を作り、その短い時間で可愛い形や綺麗な形のモノを次々と作って行く。

 紅葉を象(かたど)った葉モノや、栗などの木の実を象ったモノを幾つもの小皿にそれぞれ乗せてる。
 そして、和輝は和菓子の表面が乾かないようにと、作り上げては小皿乗せて、ラップするを繰り返す。

 そんな中、顔を洗面所で洗って戻って来た桜に、和輝は何の気なしに聞いて見た。

 ふむ、桜の姿はどう見積もっても
 俺よりは年下だよなぁ‥‥‥

 そう思いたいけど‥‥‥
 もしもってコトもあるしな

 「なぁ~‥桜ぁ~‥そう言えば
  聞こう聞こうと思いながら

  聞きはぐってたんだけどよぉ~
  桜って、いくつなんだぁ?」

 和輝に聞かれた桜は、一瞬だけ悩んだが、公式年齢をさらりと答える。

 「えっ‥‥‥桜の年?
  言わなかったかしら?

  18歳ですわよ
  それがどうかしましたか?」

 桜が小首を傾げながら、和輝に問い返す。
 が、ちょうど綺麗な餡で菊の花びらをハサミで作っているところだったので、下を向いていた為に、桜から和輝の表情は見えなかった。

 うげっ‥俺の予想、大ハズレじゃん
 見かけよりも、年齢がいってても

 せいぜいが、15歳か16歳が
 イイところだと思っていたのに‥‥‥

 俺より‥‥まさかの年上‥本当かよ?

 内心ではそうぼやくが、女性は小さかろうが高齢になろうが、年齢には敏感であるコトを思い出して、和輝は素知らぬ感じて答える。

 「あ~‥たんに、気になったんで
  聞いてみたかっただけだ

  あれ? そう言えば年齢を
  聞いてなかったなぁ~
  なんてって思ってさ

  って、ことでどうだコレ?
  力作なんだけど?

  朝飯を食べ終わったら
  お茶にどうかな?」

 和輝から皿に乗った、黄色い菊の花と緋色の梅の花と、赤目の白うさぎと白黒ブチのうさぎに、黄色い頭の茶色羽根のひよこという、五つの和菓子が乗っている皿を受け取り、桜は喜ぶ。

 「うわぁ~‥とても可愛いわぁ
  特に、このうさぎさんが‥‥‥」

 そう言って、赤目の白うさぎと白黒ブチのうさぎを、ツンツンする。  

 ふ~ん、言っているだけあって
 本当に、うさぎの形が好きなんだな

 ふむ、これは使えるな
 なんか機嫌が悪くなったりしたら
 うさぎ型のお菓子で騙せるな

 こういうアイテムで、桜が簡単に
 騙されてくれるならば、助かるな

 あとで、もっと色々なうさぎ型の
 お菓子を用意しておこうかな?

 昨日みたいなコトになった時に
 ひょいっと簡単に可愛い形の
 お菓子が出せるように‥‥‥

 なまじ、双子の妹がいるため、ついつい、和輝はそういう扱いと考え方(対処方)をしてしまう傾向があるのだ。

 「ああ、季節感は関係なく
  可愛いのをと思ってな

  四つだと縁起が良くないって
  よく言うから、五つにしたんだ

  それは食後のお茶ようだから‥‥‥

  それ以外にもいっぱい作ったから
  ラップかけて冷蔵庫に入れとくよ

  他にも、葉モノ系を象った紅葉や
  木の実を象った栗なんかもあるぞ
  栗鼠とかの小動物とかな

  とりあえず、朝飯をたべちまうか?
  もう、用意は出来ているぞ
  温かいうちに食べちまおうぜ」

 そう言って、他の小皿に乗せてラップした和菓子を冷蔵庫にしまい、和輝は桜を振り返るのだった。

  








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