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第3章 蓬莱家で住み込みのお仕事
205★《光珠》を作るのは大変なんです
しおりを挟むはぁ~…結局、俺に八つ当たりしたいのね……
まっしゃーねーか
ゴネゴネしながら懐きたくても、その対象になる
兄貴も恋人もそばに居ないんだから………
でも、そのキラキラする《光珠》の結晶は
今日、俺も初めて作ったモノなんですけどぉ
って言っても、聞く耳なんて無いもんなぁ………
「あのなぁ~桜、アレは
今日初めて成功した技なの
それにいっぱいになるほどは
流石の俺でも、そう簡単には
作れないぞ
《光珠》を結晶化させる事に
慣れてねぇ~からな
まっとりあえずはやってみるけどな
出来てもひとつだけで勘弁してくれ
早くしないと、大滝さん達が
食料を持って来るからさぁ~………」
和輝がそう言うと、桜はにっちゃりとわらってのたまう。
「大丈夫よ、爺やに言って
もう今日の分の食料品は
運ばせてあるから………
それに、あの2頭のトイレと水も
やっておいたから、平気よ
だから、今日の和輝は
桜の相手をするだけでイイのよ
そうすれば、学校に帰る時間に
余裕がでるでしょう」
いたずらが成功した子供のように、嬉々としてそう言う桜に、和輝はふかぁ~い溜め息を零して言う。
「あのなぁ~桜
俺の仕事は、ペットシッターなの
はぁ~……わかったよ、桜
とりあえず、先に《光珠》をやるよ
それを吸収したら
デザートを食べろよ
その間に、結晶を作るからさ………
まずは…《光珠》な」
和輝の言葉に、コクコクと頷いて、早くちょうだいと両手を和輝にのばす。
「うん…わかったわ、和輝
早く早く欲しいわ」
桜の言葉に肩を竦めた和輝は、丹田に《気》を集約させて丹念に練り上げ、腹腔に出来上がった《光珠》をゆっくりと胸から喉へと持ち上げる。
そして、慎重に口腔へと運び上げた。
集中力が欠けたりすると、ここまで持ってきても、あっさりと《気》の塊はほどけてしまうコトもあるのだ。
それを結晶化するのは至難の業だったりする。
《気》を練り上げて結晶化した《光珠》が出来るようになったのは、ひとえに深夜に忍んで来た白夜からもたらされた、ひとしずくの《真血》なのだが、和輝はあずかり知らないコトだった。
まさか、桜も白夜が、いざという時に和輝を支配する為に注いだ、ひとしずくの《真血》が要因だとは夢にも思わなかった。
が、桜には、そんな裏事情など、些細なコトでしかなかった。
重要なのは、純粋な《気》の塊を、和輝が無条件で自分に供給してくれるコトだけだったから………。
和輝は、慎重に口腔へまで持ち上げた、まだ気体に近い《光珠》を、より固める為に、舌の上で丁寧に転がす。
そして、最後の仕上げとばかりに、舌と口蓋で撫でるように転がして、
球状の半物体まで精製してから、桜を手招きそっとその唇へと運ぶ。
桜は嬉々として和輝に抱き付き、その唇に唇を合わせて、半物体化した《光珠》を受け取る。
《光珠》を桜へと口移しで渡し終えた和輝は、ひとつ嘆息する。
「ふぅ~………」
その和輝の嘆息を聞きながら、桜は口腔ですぅ~っと甘く蕩けていく《光珠》にうっとりしながら言う。
「やっぱり、和輝がくれる
《光珠》の方が
紅夜や白夜兄ぃ様のくれる
混じり気の多い《気》よりも
はるかに美味しいわぁ~………」
頬を緩ませて、嬉しそうに言う桜に、和輝は自分の労力が、そのひと言で報われるのを感じながら、視線をチラリと滑らせる。
その滑らせた視線の先では、和輝からの視線を感じた2頭が、お気に入りのソファーに寝そべって、お尻尾をパフパフと振って見せていた。
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