281 / 446
第5章 一難去っても、また一難
280★今欲しいプリンがソコに………お持ち帰りは出来る?
しおりを挟むそんなコトを考えながら〈カオス〉を抱いて歩いていた和輝は、目の端に立ち並ぶ飲食店のディスプレイが飛び込んで来る。
それも、今ちょうど1番欲しいなぁ~と思っているようなプリンが………。
おっ…理想的なモンが…こんなところに…ちょっと値段は張るけど
このプリン………食べさせてやりてぇ~………
和輝のそんな思考を感知したのか、腕の中の〈カオス〉はそのディスプレイを見て、無意識ピースピースと小さく鼻を鳴らす。
和輝という絶対安心の腕の中にいて、やっとこころから落ち着いたコトで、余裕が出来た〈カオス〉は視覚から刺激されて、お腹が空いているコトを自覚しての反応だったらしい。
そんな〈カオス〉の様子に、和輝はちょっと唇を噛んで考える。
これから1時間どころじゃなく車に乗るコトになるからなぁ………
帰る前に、少しでもイイから体力になるモノ食べさせてやらないと
この際、多少の添加物には目をつぶっちまうか………
って、へぇ~無添加なのか………なら、良いかな
本当に完全無添加かどうかは、流石に判らないけど
とりあえず、お持ち帰りできるか聞いてみるか?
もしお持ち帰りできるなら、駐車場で車の中で食べさせてやろう
移動前に食い物を食べさせるのはちょっと問題はあるんだけど
消化に良いプリンなら直ぐに胃液の温度で溶けるだろうし
溶ければ、直ぐに栄養として吸収されちまうから平気だろうし
〈カオス〉を抱えたまま、ちょっと立ち止まって、ディスプレイの前で首を傾げていると、店の中から、どうみてもアルバイトらしい可愛らしい女の子が出てきて、和輝に声を掛けた。
「失礼ですが、ウチのディスプレイが、どうかしましたかぁ?」
好感を感じる様な明るく柔らかい口調で問いかけられ、和輝は振り返る。
「ああ………悪い……ちょっとディスプレイ見て考えてたんだ
いや、なんでココに、こんな痩せこけているのか、まるっきり
わからないんだけど、少し前に知り合いの犬を拾ったんだ
ほら…見てくれよコイツ………こんな酷い状態だからよぉ………
消化吸収のイイもんで、栄養補給が早急に必要だって思ってな
そんで、ここのディスプレイされているプリンが目に入ったんだ
コイツに食わせてやりてぇーなぁーと思ってさ
お持ち帰りとか出来るんなら、買いたいなぁ~………って
そしたら、駐車場に連れて行って直ぐに食わせてやりたいんだ
こんな酷い状態のコイツを、駐車場の車ン中に置いたままで
ショッピングモールで買い物するってーのも気が引けてよぉ
なんかちょっとでも目を離したら、ヤバイ気がしてな
このままキュッてあっさり逝っちまいそうで………
そんで、あの辺りの持ち帰りは出来るのかな?」
腕に抱きかかえられているガリガリの〈カオス〉と和輝を見て、女の子はにっこり笑って頷く。
「はい、お持ち帰りもできますよぉ
では、早急にお持ち帰り用を用意しますね
黄金とろとろプリン………に、トッピングはどうしますかぁ?
オプションに、この辺りとか、この辺りも付けられますよ」
そう言って、女の子はディスブレイのふわっふわっスフレケーキと書かれたモノと、極上ミルクアイスを指差す。
その女の子は、見るからに犬好きだと判る視線で、やせ細ってしまった〈カオス〉に憐憫と同情の籠った瞳をしていたので、和輝はちょっとだけ甘えさせてもらうコトにした。
「それじゃ、ふわっふわスフレケーキと極上ミルクアイスも頼む
黄金とろとろプリンは2つ頼めるか?」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
373
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる