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009★回収し終ったので、アースを連れて旅立ちます
しおりを挟むそして俺が、翡翠色の卵を台座から抱き上げると、ガゴッと音がして扉が出現する。
あっやっぱり………つーと後は砂漠かな?
そう思って扉を潜れば、予想通り砂漠だったよ。
ただ、運の良いコトに灼熱の大地、熱風に熱砂の砂漠では無く、夜の砂漠だった………マジ、助かった。
いや、寒いんですけどね、かなり
それでも、昼間の砂漠よりも何ぼかマシってのは確かだ
熱砂の砂漠なんて、すぐにドライアップしちまうじゃん
俺が暑いのに慣れているって言っても、その暑さは湿気のある暑さだから
乾燥しきった砂漠で、乾いた熱風なんてごめんだぜ
寒いは、冬が普通に寒いから………それに近年は異常な寒さもあったし
だから、まだ寒いのほうがマシだ
そんなコトを思いながら、感覚を頼りに歩いていたら、肌感覚で温度が変わって来ているコトを感じて、慌てて瞳を開けば………。
うっすらと明かりのカケラが滲み出してきていて、蒼紫色のいかにも黎明色になっていたりするし………マジか。
どうやら、この砂漠は昼夜を繰り返すらしいコトを知り、俺は慌てる。
熱砂の砂漠を歩き回るなんて冗談じゃない。
だから、俺は慌てて完全な夜明けになる前に、その空間にあるだろう卵を捜し出した。
じわじわと温度が上昇して来るのを肌で感じながら、俺は再び双眸を閉じて感覚だけを頼りに、卵のある場所を探る。
ただひたすら、違和感を感知した方向に歩き続けたら、足元が歩きにくい砂漠から、岩盤へと変わったのを足の裏で感じる。
硬い感触に、俺は瞳を開いてちょっと後悔した。
だって、岩盤の上のいたるところに、火トカゲらしきものが徘徊しているんだぜ。
いや、スライムが居たんだから、そういうのが居てもおかしくないけどな。
まぁそれでも、幸いだったのは卵を守る【守護者】が居なかったコトかな。
俺は周囲を徘徊する火トカゲを無視して、岩盤の中央だろう場所に聳える卵の台座に向かう。
ちなみに、ここの卵の台座は軽く12メートルはあったと思う。
それを、ジャックと豆の木よろしく、一生懸命によじ登って天辺にまで辿り着いた。
卵が鎮座する天辺は、暑くも寒くも無かった。
1番上の台の中央に、卵はあった。
まるで、ガラスのような球体の中央に浮いていた。
コレってどうやって、中の卵を取るんだ?
もしかして、このままこの中に手を突っ込めばイイのか?
まぁやってみるか
一瞬だけ躊躇ったが、時間は刻々と暑い日中に向かっているので、俺はガラスもどきを無視して、中の卵だけに集中して両手を出す。
勿論、視界に入る情報が邪魔ななので、双眸を瞑ってだ。
こころを落ち着けて、感覚で卵を手にすると、なんの障壁も感じなかった。
どうやら、卵を時の劣化から守るだけのモノのようだった。
だって、卵を掴んだ瞬間、手の平の中で確かにドクンッと脈打ったからな。
ちなみに、ゲットした卵はルビーのような、赤い紅い卵だったりする。
俗に言うピジョンブラッド?とか呼ばれるような赤々とした卵。
笑えるコトにスターまで入っていたりする。
大きさは、先にゲットした卵達とほぼ同じくらいだった。
3つ目の卵をインベントリに放り込んだら、ポンッと外へと出された。
そう、あの断崖絶壁の中間に、ちょっと出た突起の上に。
『それで全部です 我等が精霊の神子姫ビクトリアさま
この後はどうなさいますか?』
不安定な足場に強制転移された俺だが、別にそれに不満は無い。
というか、ラッキーとか思っていたりする。
あの卵の為の部屋を戻るのは、はっきり言ってしんどいと思っていたから………。
「城下町をちょっと確認したら、このまま旅にでようと思っている
勿論アースも連れて行くよ、だからちょっと待っていてくれ」
そう言って俺はアースの器が入っている無色透明の《魔晶石》に《魔力》を込めて行く。
ほどなく、綺麗な七宝焼きモドキへと変化する。
「これでよし、アース器の中に入れよ
これで、お前を連れて行ける」
『はい ありがとうございます これで付いていけます
我が主 精霊の神子姫ビクトリアさま よろしくお願いします』
七宝焼きモドキの中に浮かぶタツノオトシゴがつややかな琥珀色へと変じ、生き生きとした色合いで《魔晶石》の中で動く。
が、ひさし振りの実体に馴染んでないので、アースは《魔晶石》の中からは出てこなかった。
「さて、それじゃ城下町に降りてみるか
兄上を毒殺し、俺が死んでから、民の生活はどうなったかな?」
そう呟いた俺は、フードを深くかぶりなおして、城下町の外れへと《転移》する。
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