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0249★馬達は、休憩後もイイ子でした
しおりを挟む丁寧な物言いに、神護は首を傾げる。
おや? 身体の成長に伴って、少し言葉遣いが変わったか?
………まっ…いっか、白夜であることに、なんら変わりないしな
「ふぅ~ん……つーと、じょじょに成長するんじゃなくて
こうやって、段階的に成長する種族なのか?
それとも、転生した白夜が特別なのか?」
そう言いながら、神護は探し出して用意しておいた着替えを出す。
勿論、下着もである。
「本来の飛翔族の成長に こういうのは無かったと思います
普通に ゆっくりと全体的に成長しますので………」
白夜は神護にそう答えながら、手渡された下着類を自分で身に付けた。
その間に、神護は白夜の服となるモノの調整をする。
神護が白夜に出した着替えは、ローマ風のモノだった。
これだと、一枚布を簡単に身体に巻いて、全身を隠すことが出来る為だ。
この上に、フード付きマントを被ってしまえば、翼があることを隠すのは容易だからである。
神護は、白夜の大きくなった翼を隠すように、綺麗なドレープを入れて、肩布を優雅に巻く。
勿論、成長したててで過敏になっている翼の根元に触らないように整えて………。
白夜の状態を考えたら、マジで休養が必要だ
アルデが言っていた、彩湖王国の東の端にあるって言う
美里街で、少しゆったりとするかな?
どうやら、白夜の弟の1人がソコで捕まって見世物になって居るようだし
ついでに、このファンタジー世界の情報も欲しいしな
考えてみたら、俺ってこっちのことをほとんど知らないんだよなぁ………
白夜の種族以前に、こっちには獣人が居るくらいしか知らないしな
見たコト無い動物や、ファンタジー小説やマンガに出て来るような
剣と魔法り世界ダトイウコトぐらいしか知らないし………
内心を綺麗に隠し、神護は白夜に優しく言う。
「まだ、翼の根元も身体も痛てぇーだろう、白夜
もう少し、このベットで休んでいろ
俺は、馬の様子を見てくるから………リオウ、白夜を頼むな」
そう言って、少し成長した幼児姿の白夜の頭を軽く撫で、リオウに命令した後、神護はちょいっと幻獣【カーバンクル】の鳥籠の中を覗き込む。
と、その中ではスヤスヤと雛が寝ていた。
ふむ、水の精霊の加護が縫いこまれた布のお陰かな?
見た感じ、健やかな眠りに入っているようだし………
とりあえず、起きるまでコイツはこのままでイイかな?
幻獣【カーバンクル】の雛の様子を確認した神護は、馬達の様子を確認する為に、御者台へと向かった。
白夜は、神護の後ろ姿に少し寂しそうにしながらも、急成長したことによる気怠さに負けて、ベットへと再び逆戻りした。
背中には、まだ灼けるような痛みが残っていたので、神護が置いていったマントを抱き締め、うつ伏せに眠る白夜だった。
上質な馬車故に、砂漠の砂塵混じりの風に煽られても、微かなカタカタという軽い振動しかない為、白夜はその振動に身を任せ、微睡みへと素直に入ったのは言うまでもない。
白夜が柔らかい眠りに浸り始めた、その頃。
「さて、まだ陽が高いからな、もう少し頑張ってくれな」
神護は、馬車の御者台から降りて、休憩している馬達を呼び寄せ、1頭ずつ馬車へと繋ぎ直して行く。
馬達も、神護の姿を見て、嬉しそうに自分の定位置へと戻る。
そう、軍馬達は神護が飼い主になってくれたことが嬉しいのだ。
「良い子だな、頼むぞ」
そう馬達のリーダーに声をかけ、3台分の馬車に馬達を繋ぎ直した神護は、1台目の馬車の御者台に戻り、軽く合図を送る。
と、心得ているリーダーの馬が他の馬達へ出発を知らせる嘶きを上げて、ゆっくりと走り出す。
「お前達のちょうど良いペースで良いからな」
そう言って、神護は街道へと乗せた馬車を、グレンが捕まって見世物になって居る彩湖王国にある、東の端美里街に向かって走らせる。
そして、馬車をたび商人・アデル手に入れた神護は、お気楽な気分で彩湖王国の東の端美里街を目指した。
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