召喚されたのに、スルーされた私

召喚されちゃいました

３２６★もしかして、証拠隠滅できるチャンスかも

　うふふ………他国の王女達を慮外者と言いましたけど、フレデリカさんってば本当に慮外者として処分する気なんですね。
　もっとも責任は私にあるから、近衛騎士様達がどんな処分をしようとも受け入れます。

　私もかなりムカッとしたり、イラッとしましたからね。
　どうせ私に甘いアラン様がいますし、そのアラン様に甘い皇帝陛下がいますから、何があっても大丈夫でしょう………たぶんきっと。

　それでも、近衛騎士様達が今回のコトでキツイ処罰をされないかと、聞いてしまう小心者の私です。

　「緊急避難扱いなので
　　そこまでの処分にはならないでしょう」

　フレデリカさんの答えにほっとした私は、迷惑な王女達のコトを聞いてみます。
　ただし、言葉は選びます。

　「この慮外者達の避難は？」

　「宮の外に出して置くだけで良いでしょう」

　えっ？フレデリカさん、かなり王女達に怒っていたからって、魔族の襲撃があるのに外に放置って不味く無いですか？

　「危ないんじゃないかしら？」

　「魔族は《魔力量》の多い者にしか興味がありません

　　魔物は魔族の命令で《魔力量》の多い者達を襲いますから
　　大木の陰に纏めて置けば問題無いでしょう」

　あははは………このアルファルーラ帝国って《魔力量》が、少ない存在に対してマジで冷たい。

　まして、他国それも属国の王女達が、この行為で怪我しようとも死のうともどうでも良いって言っているも同然ですね。

　まぁ私やフレデリカさんを、馬鹿にしてくれた王女ですから………。
　って思うんですが、逆恨みされて呪われたらイヤなのです。

　「そう、では、私が作った《結界》を生じる
　　《結界石》を置いてあげ………」

　「姫様、《結界》を張っていたらかえって危険です
　　それは《魔力量》がある者が
　　ソコに居る証拠になってしまいますから」

　フレデリカさんから予想の斜め上な答えがかえってきました。

　「えっ？」

　「姫様は、桁違いの《魔力量》をお持ちですから
　　簡単に《結界》を張れます

　　が、普通の《魔力量》では
　　《結界》を張るコトが出来ません

　　まして、《魔石》に《結界》を付与するなんて
　　ありえませんから………」

　フレデリカさんは、私の《魔力量》と付与魔法に感動した顔でにっこり笑って説明してくれました。

　「そうなの？」

　「はい、ですからその《結界石》は
　　姫様がお持ち下さい」

　《結界》を張るって、意外と大変なんですね。
　この辺は、何時も読んでいるラノベとちょっと違います。

　ついでに、近衛騎士様達にも《結界石》は与えなくても良いって、冷たくないですか？

　「近衛騎士達は、この後どうするんですか？」

　「あの慮外者達を離れた場所から見張ります」

　「だったら、この《結界石》は近衛騎士に与えます
　　必要と判断したなら、使用して下さい

　　１個で高さ３ｍ半径２ｍの《結る界》を作ります
　　ただし、効力の確認実験はしていません

　　使わなかったら、近衛騎士団団長のザナンザ様と
　　皇宮騎士団団長のワルトランス様に
　　半分に分けて同じ数を手渡して下さい

　　何かの役に立つと思いますから」　

　「姫様の言葉は聞きましたね」

　「はっ」
　
　フレデリカさんと近衛騎士様の会話を聞いてから、私は１２個用意していた《結界石》をポケットから取り出す。

　直径１cmで１個で半径２ｍ高さ３ｍのドーム型の《結界》を作る《結界石》です。
　効力は、魔法攻撃無効と物理攻撃無効と状態異常無効だけど………。

　どの程度の強度があるか？
　どの程度の時間が維持されるか？

　確認していないんですよね………大丈夫かな？ちょっと不安です。

　ついでに《結界》の中に居る人間達には外が見えるけど、外からは中が見えないというか、カメレオンの様に周りの光景に溶け込んで見えない状態(＝光迷彩)になるようにイメージして作ってみたものだったりします………予定ではそうなんですけど。

　ついでに、アラン様にバレないように、こっそりと作った《魔石》に付与したものなんです。
　だからコレ幸いと、ザナンザ様とワルトランス様に渡してもらい証拠隠滅を目指していたりする。