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召喚されちゃいました
327★早速、使っちゃいました
しおりを挟むもしかして、体よく証拠隠滅できるチャンスかもと思いながら、そんな会話をしていたら………。
ズシッと重いと言うよりは重厚で禍々しい気配が………なんかヤバイ気がする。
はっとして、その気配を探知しようとしたら………。
ズッズーンという音にバキバキという音が重なり、建物の窓のある壁が壊れました。
そこにあったのは、青い鱗の付いたハイワイバーンの足。
その足が動いているのを見た瞬間、私は掴んでいた《結界石》をあたりに投げて言いました。
「ハイワイバーンより我等を守れ《結界石》よ」
すると、思っていた通りに《結界》が張られましたよ。
ほっとして、ひとつ溜め息を吐き出してから、周りを確認します。
私を含むフレデリカさん達や侍従さん達、それに私の護衛騎士様達も《結界》に包まれています。
迷惑な他国のご一行様達や近衛騎士様達も、それぞれ《結界》に守られています。
とりあえずは、命の危険は無いでしょう。
なんて思っていたら、青い足は左右にガツガツと動き建物を容赦無く壊しています。
これって、中に居る人間達を狙っているとしか思えませんよ。
怖い、マジで怖い………異世界ファンタジーなんて楽しんでいられませんよぉぉぉ~(ガクブル)。
間近で見るハイワイバーンの足は巨大で、踏まれたらって思うと怖い。
足で壁の穴を広げてハイワイバーンの凶悪で巨大な頭を突っ込まれたら、恐怖で気絶する可能性があります。
ハイワイバーンに隷属魔法をかけたときは、アラン様と一緒でしたから、恐怖なんてカケラも感じないでいたんだなぁ~って改めて思いましたよ。
なんと言ってもアラン様は、フルトランスできるドラゴニアンですからね。
ハイワイバーンなんてブレスひとつで殺せますもの。
いくら魔法が使えると言っても、攻撃魔法は風魔法をちょっと習っただけですし、実戦経験なんて無い私に何が出来るっていうのぉぉぉぉ~………(号泣)。
でも、ここで1番身分が高くて《魔力量》が多いのは私です。
この帝国の常識で言うなら、この場に居る人間達を守る義務を負うのは、私なんですよぉぉぉ~。
ここは、怖いけど《結界》から出て、魔法でこのハイワイバーンの血液に一酸化炭素を一気に送り込みます。
酸欠でフリーズしろって思いましたよ。
この前みたいに余裕はありませんから………。
すると、ハイワイバーンの動きが止まりました。
何とか魔法が効いたみたいです。
でも、全身が見えないのは不便ですね。
ついでに、ハイワイバーンの神経に微弱な雷?電流?をイメージして流しておきます。
仮にハイワイバーンの意識が戻っても、思うように動けないようにする為………。
脳からの意思というか命令の信号は、神経に電気?電流?で伝わるモノだったはず………たぶんきっと。
それに、このまま立った状態で居てもらわないと、辺りに二次被害(宮の建物崩壊)が起きてしまうもの。
この巨体で倒れられても困ります。
そんなコトを思って魔法を使ったら、アラン様の気配?
いや違うわ、禍々しくて冷たい気配が一緒だもの。
これって、きっと誘拐されたアラン様の兄上だわ。
ったく、予定外だわ、こっちの準備が整っていないのに現われるなんて………迷惑。
しかしまぁ~………マジ、アラン様にそっくりだわ。
アラン様の方が、より筋肉質な感じがするぐらいね。
ついでに、服装も髪型も違うし、耳に付けているピアスも違うわ。
アラン様との見分けが付かなくて、困ってしまうなんてコトは、これなら無さそうね。
「ハイワイバーンを帝都に転移したのに
被害が無かったからおかしいと思って着て見れば
異世界よりの花嫁が居るとわな」
アラン様そっくりな男が、魔族達に話し掛ける。
青い髪の魔族が、にんまりと嗤いながら私を見て話し出す。
「これはこれはなんという幸運でしょう
これ程の《魔力量》を持つなら、皇子の花嫁に相応しい
良い子がたんと生まれましょう」
「これほど美しい輝きを持つ魂は珍しい
まさに、皇子にふさわしい」
「まだ、幼子のようですが?」
色とりどりの髪の魔族達が楽しそうに会話しています。
魔族でも《魔力量》が結婚の絶対条件なんですね。
微妙に褒められているけど、全然嬉しくない。
じゃ無くって、アラン様の兄上は、予想通り魔族の皇子として育てられたのね。
ラノベと違って、魔族達も髪の色も持っている魔法属性に引っ張られているんですね。
そりゃそうかぁ~黒髪に黒い瞳が魔族の証だったら、いくら異世界から召喚した大切な花嫁だとしても、私達は好まれないもんね。
なんて妙な納得をしていたら、アラン様にそっくりな男が厭そうに顔を顰める。
いくら《魔力量》があっても、私がデブスだからイヤなんだよね………なんて思っていたら、予想の斜め上なお答えが返ってきましたよ。
「確かに、この《魔力量》と魂の輝きは
私の花嫁に相応しいな
姿も小さくて愛らしいし、幼い子故に処女だな
ただ、抱く為に色々とされているのはわかる
不愉快だ
その身体に纏わり付いている男の匂いを
さっさと上書きして、私の子を産ませよう」
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