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召喚されちゃいました

357★頑張れ、私

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 私は、アラン様の膝に抱き上げられているのをイイコトに、その首に手をかけて引っ張ります。

 おやっ?という表情を浮かべるアラン様に、私は気合と根性と、監禁などへの恐怖をねじ伏せて、口付けます(心臓バクバク)。

 それも、アラン様の唇に………恥ずかしさで気絶しそう………(号泣)。
 これ以外に何も思い浮かばない、恋愛初心者なんだもの。

 アラン様、なんでここで、そうやって濃厚なベロチューをかましてくれるんですか(怒り)。

 あまりの気持ち良さにくらくらして気絶しそうです………勘弁してください。

 気合で瞳を開けたら、私とアラン様の間に銀色の糸があるのを見てしまいました(恥ずかしさで真っ赤)。

 アラン様の瞳と私の瞳が交差します。
 ふっとアラン様の瞳が笑っています。

 あっ…これは、アラン様が折れてくれたってコトですね。
 こんな表情も、艶があってカッコイイです……激写したいよぉぉ。

 「シオンは
  本当にズルイですね

  父上達の前なのに
  こんなに、羞恥心で

  真っ赤になりながらも
  私を愛していると
  態度に出して………

  私の嫉妬心と独占欲を
  ねじ伏せるんですから………

  今回だけですよ

  あのハインツに
  どんな助力を
  したいんですか?」

 良かったぁ~………いつものアラン様にもどっています。
 ここは、一気に畳み掛けます。

 「まず、起こりうる前提と
  対策の提案をしますね

  アレンドラ王国で
  内乱があると財力と武力
  (=騎士達などを従えている)と

  《魔力》のある貴族や
  大商人達が

  我が帝国に移住したいと
  逃げてくるからです

  大多数の下位貴族や平民達は

  国から国に移動する
  財も力も《魔力》無いから

  正規の道路を通り徒歩で
  国境を越えようとします

  その時は、彼らに取って
  持てる限界量の荷物と
  食料を持ってです

  勿論、長距離を歩くことに
  慣れていない者達や

  体力の無い家族
  (=女子供や老人を含む)を

  連れて、ぞろぞろと来ます

  それも、盗賊や夜盗や魔物に
  襲われながらなのです

  まあ、こちらの集団は
  我が帝国にたどり着くまで
  かなりの時間が掛かります

  内乱から逃亡する彼らが
  たどり着く時間も人数も

  順次ズレが生じるので
  対処する時間は
  ある程度の余裕があります

  たとえば国境に砦を築くとか
  騎士達を赴任させる

  野営陣地を築くなどの
  対処をする時間もあります

  問題は、上位の貴族達です
  こちらに対処する為の
  時間がありません

  グリフォンとかの
  飛翔能力のある生き物を
  使ってでも国境を越えて

  何が何でも
  アルファルーラ帝国に
  入国したいとなったら

  国境付近で小競り合いが
  発生する可能性があります

  それを考えると
  あのキラキラ皇子(仮)達や

  元側妃や、あの王女達と
  その側近一行達は

  すべて眠らせた上で
  送り出すほうが
  良いと思います

  無抵抗状態の彼らを
  隷属契約などをして
  利用するのも

  不穏分子として
  処分するのも
  簡単でしょうから………

  ハインツ達も
  簡単に国王を退位させ

  その側近達も速やかに
  退職させられると
  思うんです

  王位簒奪のみで
  内乱を発生させないように
  するべきです

  騎士達を減らすのも
  余分な経費をかけるのも

  出来るなら
  避けたいと思います」

 ふぅ~…何とか、思っていたコトを言いましたよ。
 後の対処方法は、頭の良いアラン様に丸投げです。

 私は、一般小市民のモブで、オタクな女子高生予定者ですから………。

 「シオンは
  内乱をさせないで

  ハインツに王権略奪を
  成功させたい
  というコトですね

  チカラはあっても
  故国に愛着の無い

  貴族としての義務や責任を
  はたそうとしないで

  我が身のみを大事に思う
  無責任で無能な貴族や
  商人達はいりませんね

  元側妃達を迎えに来た
  と言って

  あの廃嫡皇子達の妃に
  なろうとしていた王女達も

  同じように眠らせて
  返還させましょう

  元側妃の父親
  または兄弟である国王に

  逆らう気力のある者達に
  それぞれの王国を
  任せるのも一興でしょう」

 アラン様、なんでそう斜め上の話しになるんですか?

 にっこり爽やかに微笑んで甘い声で私に口付けしながら、冷酷非常な支配者?な感じのコトを言うんですか?

 それに、一国の運命………いやいや…三国の運命を、一興ですませないでください。

 って、言いたいけど、私は空気の読める日本人ですから、お口にチャックしています。








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