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2.望
第10夜 織姫と彦星(上)
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「もしかして、水城くんのこと、好きになっちゃった?」
カサネがボブをゆらし、Bランチの列に並ぶ私についてきてこう言った。
学食は相変わらずの喧騒。ただでさえ厨房から上がる湯気でベタベタするのに、長雨がそれを助長していた。窓の外の桜の木も首を長くして梅雨明けを待っているみたい。
「アハハ。なんか蒸し暑いね……」
私はブラウスの胸元をパタパタしてはぐらかす。カサネにその手は通用しないと知っているけど――。
「あ・や・し・い」
ほらね。顔を近づけるカサネの、まだ日焼けしてない首が白い。トレードマークのボブはここ1年、ほとんど変わってない。伸びた分をちまちま切っていて、髪型は二股しないらしい。
気にしないようにすればするほど、水城くんのことが気になった。彼は月面ローバーも、期末試験のヤマの張りも、気さくに相談に乗ってくれた。夜の理科部もなんだかんだいって彼のおかげだ。
このままでは日常生活に支障が出るかも――。なんて思い始めてさえいた。
「あのさぁ、キョウカ」
「ん?」
カウンターで大粒あさりの絶品ボンゴレビアンコをうけとる。
「それ、恋っていうんだよ?」
なぜだか奥歯にジャリっとした嫌な感じがした。
(コイ? ……そんな記号だっけ? アイ、じゃない?)
「ルートマイナス1を虚数単位iと書き、これを使えば――」なんて数学の授業を思い出す。 ルート記号の喉奥に、マイナス記号がひっかかる。足せない、引けない。割り切れない。
「やめてよー。それはアリエナイって!」
ぶんぶん手を振った。
この世は、割り切れない気持ちと、ありえない数に溢れている。
「そうかな? 最近、夜の理科室でさ、2人、なんかいい感じじゃん?」
「いや、アレはローバーの話をしてるだけで」
「あれ、キョウカ、ほっぺ赤いよ?」
「いや、ダメなんだってば。水城くんはさあ」
好きになってはならない理由はいくらでもあった。夜の理科室に居るのだって、要は打算だ。
水城くんがレネさんのことを調べられるよう取り計らう代わりに、先輩との仲を取り持ってもらう。交換条件である。互いの秘密を抵当にした、マフィアの取引。それに――。
「水城くんには、ちゃんと、好きな人いるんだから」
自分に言い聞かせるように強く言って、それから〈本日のデザート〉の結露したガラス棚に手を伸ばす。白いココット皿にはふわとろパンナコッタ。真っ赤なイチゴジャムが香る。
「ふーん。でも、キョウカ。そんなの、ぜんぜん理由になってないからね?」
「えっ!? そうなの?」
「理科部員なら、もっと科学的に考えてみたまえ。ハッハッハ」
「もう、どういうこと?」
「ほーら、そうこう言ってるうちに、来たよ――水城くん」
◯
私とカサネは作戦会議に水城くんを呼びだしていた。学食の中程の、ひときわ騒がしい一角。丸テーブルで女子2人に挟まれ、彼は照れくさそうに親子丼を食べた。
考えて分からないことは水城くんに聞くに限る、というのがここ数ヶ月で会得した私の処世術だった。
「あのさ、先輩のことなんだけど――」
早速カサネが尋ねた。
「天文以外に好きなこととかあるのかな?」
彼は一瞬キョトンとして、でもすぐに状況を理解したみたい。
「ああ、誕生日? なるほどね。それで俺が?」
私は水城くんの顔を見るのが、なんだか恥ずかしい。テーブルの上でプレートが干渉するのさえ、なんだか気まずい。蒸し暑い感じがして、ブラウスのボタンをさわった。
「先輩が『これは!』と心動かされること、何か知らない? ヒントだけでもさあ」
私がモジモジと尋ねると、彼はフフフと笑った。
「手作りのもの、とかはどう?」
「ああ! 手編みのマフラーとか?」
「ハハハ。時期じゃないね。自明……」
私の案をさくっと往なしながらも、水城くんは「うーん」と唸ってまた考え始めた。彼にとってはどうでもいいことのはずなのに、いつだって真剣に、興味深そうに一緒になって考えてくれるのだ。私からの相談を彼が断ったことはない。
「先輩。物欲なさそうだしな……好きな食べ物とかは?」
「はて。うーん……」腕組みする水城くん。
カサネは和風ハンバーグをたいらげ、すぐに視線はパンナコッタに向かう。それを見ていた水城くんは何か思いついた様子。
「甘いもの、けっこう好きなんじゃないかな」
「そうなの!? 意外。あ、でも2人、メロンソーダとか飲んでたっけ?」
夜のファミレスで中間テスト終了を祝ったときだ。
「ハハハ。ほら、夜の天体観測は寒いでしょ? 『そういうときはこれに限る』とか言って」
「何、何?」
急に詰め寄られ、「ちょっと、2人とも。顔、近い……」と水城くんは恥ずかしそうにした。コップの麦茶で親子丼の最後の一口を飲み下すと、彼は神妙な顔で言った。
「――温めた、ようかん」
「それ美味しいの?」
興味津々の私。
「ようかんは高カロリーだが低脂質。しかも、割れない、溶けない。真空パック入りなら、かなりの圧力でも変形しない。しかも大熱容量で、冷めにくい」
ようかんの優れた点とその科学的根拠を、水城くんが次々と解説してゆく。先輩の受け売りらしいが、学会で新作の和菓子を発表するかのようなチグハグさが、なんとも可笑しい。
「先輩に言わせると『宇宙開闢から変わらない完全なる菓子』だってさ」
「プッ。何ソレ? アハハハハ」
大笑いする私とカサネにつられて、水城くんも歯を見せて笑った。
「たぶん、あんこ系、好きなんだと思う」
「了解。あんこ系、ね」
「この前も、昼隊の1年生がゲル化剤の実験で〈ぜんざい-ようかん相転移〉を調べてたときも、羽合先輩、終わり頃に来て食べて帰ってたから」
よし、決まりだ。
ぜんざい、おしるこ、ようかん、おはぎ。主成分はほとんど同じ。どれも大差ない。固体か液体かの違い。こうなってくると、むしろ迷う。
「うーん。季節じゃないけど温ようかんに賭けるか。冷やしぜんざいも捨てがたいナ」
私の悩みは深く、パンナコッタに手をつけられないほどである。
「どうしよう……」
「證大寺さん。しっかりしなよ。7月7日、誕生日会するって先輩には声かけてあるから。ね!」
「え!?」
「だって、ほら。霜連さんに抜け駆けされるのはマズいんでしょ? さすがに5人で集まれば、おかしなことにはならないんじゃない? 論理的に」
カサネが「おおー、水城くん、仕事早いね!」と褒めるのも上の空で、私の胸には、否定しようのない感情が芽生えはじめていた。苦しいけれど、今は前に進むしかなかった。
カサネがボブをゆらし、Bランチの列に並ぶ私についてきてこう言った。
学食は相変わらずの喧騒。ただでさえ厨房から上がる湯気でベタベタするのに、長雨がそれを助長していた。窓の外の桜の木も首を長くして梅雨明けを待っているみたい。
「アハハ。なんか蒸し暑いね……」
私はブラウスの胸元をパタパタしてはぐらかす。カサネにその手は通用しないと知っているけど――。
「あ・や・し・い」
ほらね。顔を近づけるカサネの、まだ日焼けしてない首が白い。トレードマークのボブはここ1年、ほとんど変わってない。伸びた分をちまちま切っていて、髪型は二股しないらしい。
気にしないようにすればするほど、水城くんのことが気になった。彼は月面ローバーも、期末試験のヤマの張りも、気さくに相談に乗ってくれた。夜の理科部もなんだかんだいって彼のおかげだ。
このままでは日常生活に支障が出るかも――。なんて思い始めてさえいた。
「あのさぁ、キョウカ」
「ん?」
カウンターで大粒あさりの絶品ボンゴレビアンコをうけとる。
「それ、恋っていうんだよ?」
なぜだか奥歯にジャリっとした嫌な感じがした。
(コイ? ……そんな記号だっけ? アイ、じゃない?)
「ルートマイナス1を虚数単位iと書き、これを使えば――」なんて数学の授業を思い出す。 ルート記号の喉奥に、マイナス記号がひっかかる。足せない、引けない。割り切れない。
「やめてよー。それはアリエナイって!」
ぶんぶん手を振った。
この世は、割り切れない気持ちと、ありえない数に溢れている。
「そうかな? 最近、夜の理科室でさ、2人、なんかいい感じじゃん?」
「いや、アレはローバーの話をしてるだけで」
「あれ、キョウカ、ほっぺ赤いよ?」
「いや、ダメなんだってば。水城くんはさあ」
好きになってはならない理由はいくらでもあった。夜の理科室に居るのだって、要は打算だ。
水城くんがレネさんのことを調べられるよう取り計らう代わりに、先輩との仲を取り持ってもらう。交換条件である。互いの秘密を抵当にした、マフィアの取引。それに――。
「水城くんには、ちゃんと、好きな人いるんだから」
自分に言い聞かせるように強く言って、それから〈本日のデザート〉の結露したガラス棚に手を伸ばす。白いココット皿にはふわとろパンナコッタ。真っ赤なイチゴジャムが香る。
「ふーん。でも、キョウカ。そんなの、ぜんぜん理由になってないからね?」
「えっ!? そうなの?」
「理科部員なら、もっと科学的に考えてみたまえ。ハッハッハ」
「もう、どういうこと?」
「ほーら、そうこう言ってるうちに、来たよ――水城くん」
◯
私とカサネは作戦会議に水城くんを呼びだしていた。学食の中程の、ひときわ騒がしい一角。丸テーブルで女子2人に挟まれ、彼は照れくさそうに親子丼を食べた。
考えて分からないことは水城くんに聞くに限る、というのがここ数ヶ月で会得した私の処世術だった。
「あのさ、先輩のことなんだけど――」
早速カサネが尋ねた。
「天文以外に好きなこととかあるのかな?」
彼は一瞬キョトンとして、でもすぐに状況を理解したみたい。
「ああ、誕生日? なるほどね。それで俺が?」
私は水城くんの顔を見るのが、なんだか恥ずかしい。テーブルの上でプレートが干渉するのさえ、なんだか気まずい。蒸し暑い感じがして、ブラウスのボタンをさわった。
「先輩が『これは!』と心動かされること、何か知らない? ヒントだけでもさあ」
私がモジモジと尋ねると、彼はフフフと笑った。
「手作りのもの、とかはどう?」
「ああ! 手編みのマフラーとか?」
「ハハハ。時期じゃないね。自明……」
私の案をさくっと往なしながらも、水城くんは「うーん」と唸ってまた考え始めた。彼にとってはどうでもいいことのはずなのに、いつだって真剣に、興味深そうに一緒になって考えてくれるのだ。私からの相談を彼が断ったことはない。
「先輩。物欲なさそうだしな……好きな食べ物とかは?」
「はて。うーん……」腕組みする水城くん。
カサネは和風ハンバーグをたいらげ、すぐに視線はパンナコッタに向かう。それを見ていた水城くんは何か思いついた様子。
「甘いもの、けっこう好きなんじゃないかな」
「そうなの!? 意外。あ、でも2人、メロンソーダとか飲んでたっけ?」
夜のファミレスで中間テスト終了を祝ったときだ。
「ハハハ。ほら、夜の天体観測は寒いでしょ? 『そういうときはこれに限る』とか言って」
「何、何?」
急に詰め寄られ、「ちょっと、2人とも。顔、近い……」と水城くんは恥ずかしそうにした。コップの麦茶で親子丼の最後の一口を飲み下すと、彼は神妙な顔で言った。
「――温めた、ようかん」
「それ美味しいの?」
興味津々の私。
「ようかんは高カロリーだが低脂質。しかも、割れない、溶けない。真空パック入りなら、かなりの圧力でも変形しない。しかも大熱容量で、冷めにくい」
ようかんの優れた点とその科学的根拠を、水城くんが次々と解説してゆく。先輩の受け売りらしいが、学会で新作の和菓子を発表するかのようなチグハグさが、なんとも可笑しい。
「先輩に言わせると『宇宙開闢から変わらない完全なる菓子』だってさ」
「プッ。何ソレ? アハハハハ」
大笑いする私とカサネにつられて、水城くんも歯を見せて笑った。
「たぶん、あんこ系、好きなんだと思う」
「了解。あんこ系、ね」
「この前も、昼隊の1年生がゲル化剤の実験で〈ぜんざい-ようかん相転移〉を調べてたときも、羽合先輩、終わり頃に来て食べて帰ってたから」
よし、決まりだ。
ぜんざい、おしるこ、ようかん、おはぎ。主成分はほとんど同じ。どれも大差ない。固体か液体かの違い。こうなってくると、むしろ迷う。
「うーん。季節じゃないけど温ようかんに賭けるか。冷やしぜんざいも捨てがたいナ」
私の悩みは深く、パンナコッタに手をつけられないほどである。
「どうしよう……」
「證大寺さん。しっかりしなよ。7月7日、誕生日会するって先輩には声かけてあるから。ね!」
「え!?」
「だって、ほら。霜連さんに抜け駆けされるのはマズいんでしょ? さすがに5人で集まれば、おかしなことにはならないんじゃない? 論理的に」
カサネが「おおー、水城くん、仕事早いね!」と褒めるのも上の空で、私の胸には、否定しようのない感情が芽生えはじめていた。苦しいけれど、今は前に進むしかなかった。
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イラスト担当:さんさん
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