6 / 11
5
しおりを挟む
前世の夢だ。
友達が沢山いた、あの頃。
懐かしいなぁ・・・。
会社に入ってからは、同期はすべてライバルって世界だった。
ああ、この頃の僕に思い知らせてやりたい。
これが、この瞬間が、どんなに幸せだったか・・・
と、急に映像が乱れた。砂嵐のようになって、ぷつっと消える。視界が真っ白になった。
ピー・・・ガシャンガシャン。
機械音がした。
『目標、確認しました。接触します。マスターに引き継ぎます』
聞いたことのあるような、ないような声。
アンドロイドか?機械の音声だな。女の人か・・・って。
あの時の・・・!
『思い出してもらえたかな?』
男の人の、声。耳元に囁かれたような感じだ。深みのあるアルトボイス。50代くらいだろうか。
『どなたですか?』
『案内アンドロイドの総支配マスターだ。マスターとでも呼んでくれ』
ちょっと笑っているような雰囲気で、その人・・・マスターは言った。
『僕に何の用でしょう。もう僕は転生しているんですが』
シャットダウンしたのはお前のせいか?という疑問と嫌味を込めて言ったら、どうやら伝わったようだ。苦笑しているのが感じから伝わる。
『シャットダウンは私の設計ミスだ。今まで、君のような質問をする人はいなかったからね。自分で考える能力を持たせなかったんだよ』
やっぱり、あれは僕の質問のせいだったのか。そうじゃないかとはちらっと思ったんだが。
『だから今回からは、人工知能を持たせた。また君のような犠牲者を出す訳にはいかないからね』
犠牲者って・・・。今の所、そこまで苦労してない気がするけど。
いや、十分してるか。荒野を空腹で歩き回るのは、結構きつかったし。
『そういえば、説明もしていなかったね。死因だけ簡単に言おう。君はヤンキーの乗った自転車に轢き殺されたんだよ』
へえ。自転車なのはうっすら分かってたけど、ヤンキーとは。納得しなくもないな。前くらい見ろよ馬鹿野郎。
ていうか。
「結局マスターは、僕に何の用があって、呼んだんですか?わざわざ夢の中で」
体の感覚が、もうすぐ朝が来ると告げている。目が覚めて仕舞えば、夢は終わってしまう。当たり前だが。
『君に、あげられなかったギフトをあげようと思ってね。本来なら転生した時に、自分で選ぶはずなんだが』
何のことだ?
『もう君には選ぶ時間がないだろう?朝が近い。だから君には、全てをあげようと思う』
「どういう『機械が勝手にシャットダウンしたことに感謝するんじゃないかな。まあ、どう使うかは君次第』
尋ねようとしたら、遮られた。
『ステータスと唱えれば見れるよ。ありきたりだが、良いだろう?特殊能力も、全てつけておくよ』
だから、どういうことだ?さっぱり意味が分からない。
すると、視界がどんどん暗くなり始めた。朝が来たようだ。
『じゃあ、楽しむといい。転生ライフ、謳歌するんだぞ』
その言葉を最後に、僕の夢は終わった。質問も出来ず、意味が分からないまま。
友達が沢山いた、あの頃。
懐かしいなぁ・・・。
会社に入ってからは、同期はすべてライバルって世界だった。
ああ、この頃の僕に思い知らせてやりたい。
これが、この瞬間が、どんなに幸せだったか・・・
と、急に映像が乱れた。砂嵐のようになって、ぷつっと消える。視界が真っ白になった。
ピー・・・ガシャンガシャン。
機械音がした。
『目標、確認しました。接触します。マスターに引き継ぎます』
聞いたことのあるような、ないような声。
アンドロイドか?機械の音声だな。女の人か・・・って。
あの時の・・・!
『思い出してもらえたかな?』
男の人の、声。耳元に囁かれたような感じだ。深みのあるアルトボイス。50代くらいだろうか。
『どなたですか?』
『案内アンドロイドの総支配マスターだ。マスターとでも呼んでくれ』
ちょっと笑っているような雰囲気で、その人・・・マスターは言った。
『僕に何の用でしょう。もう僕は転生しているんですが』
シャットダウンしたのはお前のせいか?という疑問と嫌味を込めて言ったら、どうやら伝わったようだ。苦笑しているのが感じから伝わる。
『シャットダウンは私の設計ミスだ。今まで、君のような質問をする人はいなかったからね。自分で考える能力を持たせなかったんだよ』
やっぱり、あれは僕の質問のせいだったのか。そうじゃないかとはちらっと思ったんだが。
『だから今回からは、人工知能を持たせた。また君のような犠牲者を出す訳にはいかないからね』
犠牲者って・・・。今の所、そこまで苦労してない気がするけど。
いや、十分してるか。荒野を空腹で歩き回るのは、結構きつかったし。
『そういえば、説明もしていなかったね。死因だけ簡単に言おう。君はヤンキーの乗った自転車に轢き殺されたんだよ』
へえ。自転車なのはうっすら分かってたけど、ヤンキーとは。納得しなくもないな。前くらい見ろよ馬鹿野郎。
ていうか。
「結局マスターは、僕に何の用があって、呼んだんですか?わざわざ夢の中で」
体の感覚が、もうすぐ朝が来ると告げている。目が覚めて仕舞えば、夢は終わってしまう。当たり前だが。
『君に、あげられなかったギフトをあげようと思ってね。本来なら転生した時に、自分で選ぶはずなんだが』
何のことだ?
『もう君には選ぶ時間がないだろう?朝が近い。だから君には、全てをあげようと思う』
「どういう『機械が勝手にシャットダウンしたことに感謝するんじゃないかな。まあ、どう使うかは君次第』
尋ねようとしたら、遮られた。
『ステータスと唱えれば見れるよ。ありきたりだが、良いだろう?特殊能力も、全てつけておくよ』
だから、どういうことだ?さっぱり意味が分からない。
すると、視界がどんどん暗くなり始めた。朝が来たようだ。
『じゃあ、楽しむといい。転生ライフ、謳歌するんだぞ』
その言葉を最後に、僕の夢は終わった。質問も出来ず、意味が分からないまま。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜
具なっしー
恋愛
※この表紙は前世基準。本編では美醜逆転してます。AIです
転生先は──美醜逆転、男女比20:1の世界!?
肌は真っ白、顔のパーツは小さければ小さいほど美しい!?
その結果、地球基準の超絶イケメンたちは “醜男(キメオ)” と呼ばれ、迫害されていた。
そんな世界に爆誕したのは、脳みそふわふわアホの子・ミーミ。
前世で「喋らなければ可愛い」と言われ続けた彼女に同情した神様は、
「この子は救済が必要だ…!」と世界一の美少女に転生させてしまった。
「ひきわり納豆顔じゃん!これが美しいの??」
己の欲望のために押せ押せ行動するアホの子が、
結果的にイケメン達を救い、世界を変えていく──!
「すきーー♡結婚してください!私が幸せにしますぅ〜♡♡♡」
でも、気づけば彼らが全方向から迫ってくる逆ハーレム状態に……!
アホの子が無自覚に世界を救う、
価値観バグりまくりご都合主義100%ファンタジーラブコメ!
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる