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僕は、果てしない暗闇の中を飛んでいた。ヒュウヒュウと、風が耳元で唸っている。下が見えたらきっと怖いのだろうが、上も下も見渡す限りの暗闇なので、全然怖くない。
どこまでもどこまでも、暗闇が続いている。
僕は、死んだのか?
まあきっと、そうなのだろうな。あれだけの痛みで、死なない方がおかしいくらいだ。
死ななかったとしたら、打ち所がそれだけ良かったということだな。死んでいる気しかしないが。
僕の場合は、頭も打ったし。
そういえば、今はさっぱり痛みがないな。死んだからだろうか。死んだら魂だけになって、全てのものから解放されるとか言うし。
頭の打ったあたりを触ってみる。触れるのは髪の毛だけ、できていそうなたんこぶすらなくなっていた。
全身も調べてみたが、同様。
ていうかこれは、どこへ向かっているんだ?
かなり長いこと飛んでいる(?)が、全然どこかに着きそうな気配がない。
そもそも、ここはどこだ?
と、急に。
本当に突然、声がした。
『若山諒。東京都出身、埼玉県住み。身長182センチ、体重62キロ。○○小学校卒業、✖️✖️中学校卒業。▶︎▶︎高校卒業。バーガーショップでのバイト経験あり。大学卒業歴はなし。高校卒業後すぐ、親の店を継ぐ。そこで客に見初められ、一流企業に就職。営業で巧みな話術を活かし、顧客担当率100%まで登りつめる。4月13日、自動車事故で死亡』
女の人の声だ。でも棒読みで、まるで機械みたいだ。アンドロイドか何かか?
しかも、全て合っている。僕の人生そのものだ。
なぜ、こんなことが分かる? 個人情報の覗き見か? いや、死んだ後だぞ? そもそも、誰が喋ってるんだよ。
「誰ですか?」
尋ねてみても、答えはない。
やはり、機械なのか? 確かにそれなら、辻褄が合う。個人情報は普通にコンピューターさえあれば引き出せる時代、全て知られているのも無理はない。
「あなたは何ですか?」
問いを変えてみた。反応が変わるかな、と思って。
『私はナビゲーションシステム・371843です。死者の案内をしております』
驚いたことに、答えが返ってきた。死者って・・・。亡くなられた方とか、もう少し言いようあるだろ。
まあ、答えを機械に求めても無駄なことは、だいたい分かっているけど。人工知能じゃなければ。
「あなたは具体的に、どんなことを僕にしてくれるんですか?」
『371843とお呼びください』
無機質な返答。
「なら371843、どんなことを具体的に僕にしてくれるんですか?」
『まず、説明です。あなたが亡くなった時の状況、体の損傷レベル、周りの人の反応。そして、あなたが死んだ後どうなったか。次に、提案です。転生、成仏、その他のご案内を致します』
説明は別にいらないとして、提案の方は良いな。転生なんて選択肢、あるんだ。
マンガとかその手の小説ではよくある設定だが、こんな所で実際に選択肢として出てくると、ちょっと気がひけるな。残してきた親戚とか友達を見守ってた方が良いんじゃないか、とか。勝手に転生しちゃって良いもんなのか、とか。あ、でも自分の人生は自分のだしな。守護霊になるとかもっと非科学的だ。
「説明すっ飛ばして、提案から入ってもらうとかってことは、出来ませんかね?」
無理な気がするけど、聞いてみた。だって、いちいち体の損傷レベルの話とか聞きたくない。グロ画像なんか見せられたくもないし。いやグロくもないか?
『不可です。あなたの提案を受け入れることは出来ません』
ですよね。
ていうか、死んだらどんどんテンションが上がってる気がするな。ノリも良くなってるのを自分でも感じている。
もちろん、生前に比べての話だが。
と、急に闇の中に変な音が鳴り響き始めた。
シューッ、シューッ、シューッ・・・
同時に、ピーピーという電子音も聞こえ始めた。
どうなったんだ? 異常か? まさか、提案だけしろって言ったことで提案を不可にしますとか⁉︎ いや、機械なんだ、そんなはずはない。不可です、って答えられた時点で人工知能だろうし。柔軟な対応はできるはずだ。
じゃあ、何なんだ? ただの故障か?
『あなたの提案を受け入れることは出来ません。あなたの提案を受け入れることは出来ません。あなたの提案を受け入れることは出来ません。あなたの提案を受け入れることは出来ません』
シューッ、シューッ、シューッ・・・ピーピーピーピー・・・
『システムエラーが発生しました』
やはり異常が起きたようだ。てかどー考えてもこれ僕のせいだよな。
『コードを確認します』
『指令を確認します』
『コードNo.37184358043346777532345677222299900769623893146806314790853468909235708542246789097867766756654685465465467567546546754675467547889908390390342785476489980327458947945789654893426862486723984565689547895893689585778です』
ふっ。
急に、暗闇が濃くなった。さっきまで指先などの近い所は見えていたのに、全く見えない。真夜中の停電というのは、こんな感じなのだろうか。経験したことが無いから、分からないが。
『システムエラーを修正する為、一旦シャットダウンします』
ん? なら、案内のいなくなった僕はどうするんだ?
『シャットダウンまで、5秒、4秒、3秒、2秒、1秒・・・』
おい、どうするんだってば。
『シャットダウンします』
機械の音声が冷静に告げた、直後。
ドカァァァァァン・・・・・
凄まじい爆音と共に、僕は吹っ飛ばされた。
空中に浮いている為地面に当たったりなどは無いが、頭を直撃した強すぎる爆風に、意識が飛んだ。
ーーー無機質な、機械の声。
ーーー『シャットダウンしました。再起動を行います。また、先ほどのデータは消去されました』
どこまでもどこまでも、暗闇が続いている。
僕は、死んだのか?
まあきっと、そうなのだろうな。あれだけの痛みで、死なない方がおかしいくらいだ。
死ななかったとしたら、打ち所がそれだけ良かったということだな。死んでいる気しかしないが。
僕の場合は、頭も打ったし。
そういえば、今はさっぱり痛みがないな。死んだからだろうか。死んだら魂だけになって、全てのものから解放されるとか言うし。
頭の打ったあたりを触ってみる。触れるのは髪の毛だけ、できていそうなたんこぶすらなくなっていた。
全身も調べてみたが、同様。
ていうかこれは、どこへ向かっているんだ?
かなり長いこと飛んでいる(?)が、全然どこかに着きそうな気配がない。
そもそも、ここはどこだ?
と、急に。
本当に突然、声がした。
『若山諒。東京都出身、埼玉県住み。身長182センチ、体重62キロ。○○小学校卒業、✖️✖️中学校卒業。▶︎▶︎高校卒業。バーガーショップでのバイト経験あり。大学卒業歴はなし。高校卒業後すぐ、親の店を継ぐ。そこで客に見初められ、一流企業に就職。営業で巧みな話術を活かし、顧客担当率100%まで登りつめる。4月13日、自動車事故で死亡』
女の人の声だ。でも棒読みで、まるで機械みたいだ。アンドロイドか何かか?
しかも、全て合っている。僕の人生そのものだ。
なぜ、こんなことが分かる? 個人情報の覗き見か? いや、死んだ後だぞ? そもそも、誰が喋ってるんだよ。
「誰ですか?」
尋ねてみても、答えはない。
やはり、機械なのか? 確かにそれなら、辻褄が合う。個人情報は普通にコンピューターさえあれば引き出せる時代、全て知られているのも無理はない。
「あなたは何ですか?」
問いを変えてみた。反応が変わるかな、と思って。
『私はナビゲーションシステム・371843です。死者の案内をしております』
驚いたことに、答えが返ってきた。死者って・・・。亡くなられた方とか、もう少し言いようあるだろ。
まあ、答えを機械に求めても無駄なことは、だいたい分かっているけど。人工知能じゃなければ。
「あなたは具体的に、どんなことを僕にしてくれるんですか?」
『371843とお呼びください』
無機質な返答。
「なら371843、どんなことを具体的に僕にしてくれるんですか?」
『まず、説明です。あなたが亡くなった時の状況、体の損傷レベル、周りの人の反応。そして、あなたが死んだ後どうなったか。次に、提案です。転生、成仏、その他のご案内を致します』
説明は別にいらないとして、提案の方は良いな。転生なんて選択肢、あるんだ。
マンガとかその手の小説ではよくある設定だが、こんな所で実際に選択肢として出てくると、ちょっと気がひけるな。残してきた親戚とか友達を見守ってた方が良いんじゃないか、とか。勝手に転生しちゃって良いもんなのか、とか。あ、でも自分の人生は自分のだしな。守護霊になるとかもっと非科学的だ。
「説明すっ飛ばして、提案から入ってもらうとかってことは、出来ませんかね?」
無理な気がするけど、聞いてみた。だって、いちいち体の損傷レベルの話とか聞きたくない。グロ画像なんか見せられたくもないし。いやグロくもないか?
『不可です。あなたの提案を受け入れることは出来ません』
ですよね。
ていうか、死んだらどんどんテンションが上がってる気がするな。ノリも良くなってるのを自分でも感じている。
もちろん、生前に比べての話だが。
と、急に闇の中に変な音が鳴り響き始めた。
シューッ、シューッ、シューッ・・・
同時に、ピーピーという電子音も聞こえ始めた。
どうなったんだ? 異常か? まさか、提案だけしろって言ったことで提案を不可にしますとか⁉︎ いや、機械なんだ、そんなはずはない。不可です、って答えられた時点で人工知能だろうし。柔軟な対応はできるはずだ。
じゃあ、何なんだ? ただの故障か?
『あなたの提案を受け入れることは出来ません。あなたの提案を受け入れることは出来ません。あなたの提案を受け入れることは出来ません。あなたの提案を受け入れることは出来ません』
シューッ、シューッ、シューッ・・・ピーピーピーピー・・・
『システムエラーが発生しました』
やはり異常が起きたようだ。てかどー考えてもこれ僕のせいだよな。
『コードを確認します』
『指令を確認します』
『コードNo.37184358043346777532345677222299900769623893146806314790853468909235708542246789097867766756654685465465467567546546754675467547889908390390342785476489980327458947945789654893426862486723984565689547895893689585778です』
ふっ。
急に、暗闇が濃くなった。さっきまで指先などの近い所は見えていたのに、全く見えない。真夜中の停電というのは、こんな感じなのだろうか。経験したことが無いから、分からないが。
『システムエラーを修正する為、一旦シャットダウンします』
ん? なら、案内のいなくなった僕はどうするんだ?
『シャットダウンまで、5秒、4秒、3秒、2秒、1秒・・・』
おい、どうするんだってば。
『シャットダウンします』
機械の音声が冷静に告げた、直後。
ドカァァァァァン・・・・・
凄まじい爆音と共に、僕は吹っ飛ばされた。
空中に浮いている為地面に当たったりなどは無いが、頭を直撃した強すぎる爆風に、意識が飛んだ。
ーーー無機質な、機械の声。
ーーー『シャットダウンしました。再起動を行います。また、先ほどのデータは消去されました』
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