先生、死に場所を探しています。

葵愛利華

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第1章

4話:「助けて」って言えよ

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榊悠馬side…

林田は、相変わらず1人でいた。 
(また、顔の痣増えたな。)
林田の顔の痣は、消えては新しいのが出来てを繰り返していた。痣が出来るほどの暴力、絶対辛いはずだ。なのに、あいつは俺に「助けて」を言わない。
2回「助けて」と言われたが、それきりない。

放課後
「林田、お前毎日いじめられてるだろ?」
林田は、何故わかる?とでも言いたげな顔をするが、すぐに笑ってみせる。
「そうですけど、それが何ですか?」
気の強い女だ。
「お前、苛められてんならなんで俺に助けを求めない?」
「先生に助けを求めて以来、暴力が酷くなりました。それに私は、一人でも平気です。今までだって1人で生きてきました。」
「お前、強いな。」
そう言うと、林田は下を向き駆けていく。
「失礼します。」
今まで林田の座っていた椅子、そして机を見ると机に1滴の水が落ちていた。しかし、飲み物なんてどこにも置いていない。
(あいつっ!)
そう思い、俺も走り出す。
林田が、屋上に走っていくのが見えた。

屋上に着き、林田のところに静かに近づく。
彼女は、泣いていた。
「助けて。1人は、寂しい。辛いよ。ううっ!」
俺は、林田のとこに向かっていた足を止め、Uターンして再び走り出す。
(絶対にもう二度と、あいつを泣かせないって決めたのに!)
「くっそおおお!」
俺は、大声で叫ぶ。
(林田を傷つけるこの世界なんて、消えてしまえばいい!)

次の日の放課後、俺は林田を虐めている女子達を呼び出した。
「なんで、君たちがここに呼ばれたかわかる?」
「分かりませぇーん。」
身体をくねくねひねる女子に、吐き気を覚える。
「…君たち、林田を虐めてるだろ?」
「えー、そんなことしてませぇーん。」
「やめて欲しいんだけど。」
俺は、言葉を続ける。
「だから、虐めてねーって。」
「俺は、君たちが実際に林田を虐めているのを何度も、目撃している。」
「気の所為じゃないんですか?」
俺は、女子達の適当な返しにだんだんいらだちを覚え、ボロを出す。
「おいっ、テメーらは相変わらず顔だけじゃなくて、性格もブスなんだな?」
「何っだよ!榊、あんた今まで本当の顔隠してたね?!」
「悪いか?」
「クッ!」
女達は、走り去っていく。その背中を見つめながら、俺は不安になる。いつか、彼女が消えてしまうんじゃないか…って。
(はぁ…俺、馬鹿だな。)
自嘲気味に笑いながら、地面に転がる石を蹴った。
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