異世界初の悪役令嬢に転生しました~悪役令嬢語しか話せないなんて!どなたか正確に翻訳してくださいまし~

めしめし

文字の大きさ
11 / 70
第2章 幼少期

第11話 商売を甘く見ないでほしいですわ

しおりを挟む
「平民どころか貧民のあなた風情が、この高貴な私をさらってどうするおつもりでしたの?(どうして私をさらおうとしたのですか?)」

「へっ、お嬢様には何も応えることはねぇな。」
リーダーの男は私の質問に答えようとせず、私の視線を逸らした。

ドンッ。メキメキメキ。
私の足が小屋の床を踏み抜く。
私は片手でリーダーの頭を掴み、強引に私の方へ向けさせた。

「この私が質問をしているのですわ。しっかりと私と目を合わしお答えくださいませ♡
さもないと、今までお支払いになられたローンが無駄になりますわよ。」

ガクガクブルブル。
ピーンと空気が張りつめる。
私たちの様子を見ていた手下たちも一斉に正座をし始めたのだ。

「それで私に『何を』するおつもりでしたの?」

「は、はい。私はお嬢様を誘拐し、アンポワネット侯爵に身代金を請求するつもりでした!」
思わず、立ち上がってしまうリーダー。
声が何オクターブも上ずってしまう。

「この私を誘拐ねぇ、それでお父様においくらほど請求されるおつもりだったのかしら?」

「はい、白金貨100枚を要求するつもりでした。」
白金貨はこの世界では最上位の貨幣で1枚につき100万円相当である。

「あなた、私とアンポワネット家を馬鹿にしていらっしゃるの?10倍を請求しなさい!」

「は、はい!」
リーダーの背筋がピンと伸び、手下たちも負けじと伸びあがった。。

「それで、あなたはそのお金を何にお使いになるおつもりでしたの?
白金貨1000枚はあなたたち庶民にとっては大金です。
アンポワネット家から巻き上げるおつもりなら、それ相応のご使用方法をお考えになられていらっしゃいますよね?」

「身代金10倍はお嬢が言ったんじゃ…?」
突っ込みをいれようとした手下を私はキッと睨みつける。
その迫力に手下は後ろに卒倒してしまった。

ここは笑いをとるところじゃございませんのよ。

リーダーは恐る恐る重い口を開いた。

「はい、私はそのお金を使って、この街に自警団を作ろうと考えておりました。
私たちは元々は雇われの傭兵をしておりましたが、要領が悪く長く務めることは出来ませんでした。
また、街が平和となり私たちは職にあぶれてしまったのです。
しかし、完全に街が平和になったわけではありません。
街の外には恐い魔物も出現し、街の中でも犯罪は絶えません。」

「私を誘拐するような男たちもいらっしゃいますものね。」

「ぐっ」
リーダーは、思わず顔をしかめてしまう。
これではもはやどちらが大人か分からない。

「私たち自警団は、数々の問題や外敵から領民を守り、領民が安心して暮らせるように街の平和を維持したいのです!」
リーダーの鼻がぷくーっとふくらみ、これでもかというほどのドヤ顔を見せた。

「それは高尚な事業をお考えでございますのね。それでその収入はどこから得られまして?」

「えっ、実入りですか!?そ、それは寄付をつのって…」
はぁー、思わずため息が洩れる。
どちら様がそんな怪しいものにお金を出すのでしょう。

「自警団のお仕事はどこから頂けるのでしょうか?」

「えっ、あっ、ああ。それは自分たちで聞いて回ってだなぁ。」
はぁー。怪しい新興宗教団体に間違えられますわ。

「お金の使い道は?そのお金をどうやって分配するんでしょうか?」

「それは、子分たちに均等に分配して…、あ、装備も買わねばならねぇ。」

はぁー。本当に商売するつもりがあるんですの?
私こんなもののために誘拐されそうになってたのね…。
そう考えると、フツフツと怒りがこみ上げてきた。

「あなた達が私にしたことがお父様に知れれば、全員処刑はまぬがれませんわ。」

父の私への溺愛ぶりは凄く、私を傷つけたものにはどんな者でも容赦しないのだ。
以前私の血を吸った蚊に激怒し、風系最強魔法の一つ【サイクロン】を家の中で使用。
蚊を粉々に粉砕させたが屋敷も半壊させ、母から意識を失うまで往復ビンタを浴びせられていた。

虫に対してもそこまでする父が、より悪意に満ちた人間を簡単に許すわけはない。
いくらごまかしてもすぐにバレるでしょう。
彼らが助かるには、父に有用だと思わせなければダメなのだ。

私の一言で、現実に戻ったお馬鹿さんたち。
今ごろガタガタと震えだした。

「あなた達が助かるには、お父様に気に入られるしかないの。もっと真面目に考えてくださらないかしら。」

私の言葉が彼らを更に追い詰める。おいおい泣き出す者もいる始末だ。

「まず収入の確保が全くなっておりません。慈善事業じゃパンも食べられませんのよ。
あなた達は自警団ではなく仲介屋をおやりなさい。
依頼者からの仕事をあなた達が仲介し、依頼者に対して成功報酬を請求するの。
請け負った仕事をあなた達の組合に登録した組合員に紹介し、依頼が成功すれば成功報酬のうち仲介料を引いた額をその人たちに渡します。」

「えっ、姐さん、そんなのズルくないですか?人に仕事を任せて自分は報酬の一部を受け取るなんて。」
誰が姐さんじゃ。

「何をおっしゃっているんですの?あなた達だって自分でお仕事を探すのって大変でしょ?
仕事を頼みたい人を見つけて、仕事をしたい人を繋げる。その手間賃を頂くのよ。
もちろん、登録者にしかお仕事をお渡しいたしません。
その登録者からも登録料を頂くのよ。」

「うおー姐さん。ナイス外道!」
手下が全員立ち上がって、私に割れんばかりの拍手を贈る。
誰が外道じゃ。こんなこと商売の基本なのよ。

「でも姐さん。最初に依頼者を見つける事の方が難しくないですか?まだ得体の知れない我々に依頼をする者はいないでしょうし。」

「お父ちゃん、そんなの貴族様にお金を渡せばいいんだよ。
あいつらお金さえ渡せば何でもやってくれるだろ?
きっと依頼者も紹介してくれるよ。
だよねお嬢様?」

ずっと様子を見ていたオットーがここで口を開いた。
7歳くらいにも関わらず、この悪どい考え方。
将来が楽しみだ。
ていうか、私も一応貴族なんですけど?

「オットー、とても素敵なご意見ですわ。それじゃ、登録者はどう集めるの?
いい方法があって?」

「そんなの簡単だよ。受付におっぱいバインバインの女の子や、獣耳の女の子たちにしてもらったらいいんだよ。
あっという間に登録者が集まるよ。」

出来るわ、この子。
この歳にして「萌え」を知り尽くしているわ。
一体どんな生活をしてきたの?お姉さんちょっと心配。

この調子で私とオットーは意見を出し合い、なんとか商売の形になりそうになった。


・・・・・・・・・・・


私は母たちの元に戻る前に、「迷子になったところをオットーとその父に助けてもらった」作戦をでっち上げ、何度も口裏を合わせたのだ。

中央通りまで戻ってきた私たちは、辺りの異様な雰囲気に気付いた。
先ほどまでの賑やかな雰囲気は一切失われ、お店も全店閉まっている。
往来する人もなく、代わりに兵士たちが隊列を組んでいる。
その中央にいるのは母モリア。
今まで見たことのないような、厳しい顔つきをしているのだ。

「メリーお嬢様!
私を発見したメイドのマルブリットとマーサは、わき目も振らず私に向かってきた。
マーサは私をぐいっと担ぎあげると、ガニ股走りで母の元へと連れて行った。

母の目の前で降ろされる私。
母が血走った目で私を凝視してきた。

「ああ、メリー。見つかって良かったわ。私心配して軍を呼んじゃった。テヘ。」
迷子の子どもを探すために、軍を呼ぶ親がどこにいるのだ。
父も大概過保護だが、母も負けてはいない。

「ところでメリー、あちらの方はどなた?」
母はオットーとリーダーの方を向きながら私にたずねた。

「あのお2人は、迷子になった私をここまで連れてきてくださったの。」

「ふーん。」
そう答える母だったが、その目には一切の感情が感じられなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

乙女ゲームのヒロインに転生したのに、ストーリーが始まる前になぜかウチの従者が全部終わらせてたんですが

侑子
恋愛
 十歳の時、自分が乙女ゲームのヒロインに転生していたと気づいたアリス。幼なじみで従者のジェイドと準備をしながら、ハッピーエンドを目指してゲームスタートの魔法学園入学までの日々を過ごす。  しかし、いざ入学してみれば、攻略対象たちはなぜか皆他の令嬢たちとラブラブで、アリスの入る隙間はこれっぽっちもない。 「どうして!? 一体どうしてなの~!?」  いつの間にか従者に外堀を埋められ、乙女ゲームが始まらないようにされていたヒロインのお話。

転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜

具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、 前世の記憶を取り戻す。 前世は日本の女子学生。 家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、 息苦しい毎日を過ごしていた。 ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。 転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。 女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。 だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、 横暴さを誇るのが「普通」だった。 けれどベアトリーチェは違う。 前世で身につけた「空気を読む力」と、 本を愛する静かな心を持っていた。 そんな彼女には二人の婚約者がいる。 ――父違いの、血を分けた兄たち。 彼らは溺愛どころではなく、 「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。 ベアトリーチェは戸惑いながらも、 この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。 ※表紙はAI画像です

【長編版】悪役令嬢は乙女ゲームの強制力から逃れたい

椰子ふみの
恋愛
 ヴィオラは『聖女は愛に囚われる』という乙女ゲームの世界に転生した。よりによって悪役令嬢だ。断罪を避けるため、色々、頑張ってきたけど、とうとうゲームの舞台、ハーモニー学園に入学することになった。  ヒロインや攻略対象者には近づかないぞ!  そう思うヴィオラだったが、ヒロインは見当たらない。攻略対象者との距離はどんどん近くなる。  ゲームの強制力?  何だか、変な方向に進んでいる気がするんだけど。

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

処理中です...