異世界初の悪役令嬢に転生しました~悪役令嬢語しか話せないなんて!どなたか正確に翻訳してくださいまし~

めしめし

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第2章 幼少期

第14話 悪役令嬢ここに誕生ですわ

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パーティ開始の時間になると続々ときらびやかな人たちが、ホールへと集まってくる。
メイドや執事が奔走する足音が私たちが待機する階上の部屋にまで響いてくるのだ。
現在、部屋には父、母、長男のヨゼフィス、私の4人が待機している。
「主役は最後に登場する。」というのが父によるパーティの鉄則だ。
私たちがホールに現れた瞬間、招待された貴族たちの視線が全て私たちに集まるのだ。

あー胃が痛い。
私はその席でも悪役令嬢語で話すんでしょ。
悪いイメージしか出てこないわ。
アルベルトお兄さんみたいにバックレようかしら。

エスコート役に抜擢された私の専属執事のオットーが、私たちに紅茶を準備してくれた。

オットーの紅茶の淹れ方は絶妙だ。
家族の好みに合わせて、入れ方を調整してくれる。
ふんわりと鼻孔をくすぐる柔らかい柑橘系の香りは、私の好きなアールグレイだ。
社交界デビューの緊張を豊かな香りとほのかな苦みで和らげてくれる。
正に今の私にピッタリなチョイスだ。

「さあ、行こう。」
父が真っ先に立ち上がり、私たちも少し遅れてついて行った。

父がホールに姿を現すと、貴族たちが一斉に私たちの方を振り返る。
次の瞬間、彼らは私たちに向かって大きな拍手を贈るのだ。

すでに50人くらいは集まっているのだろうか。
色とりどりのパーティドレスに身を包んだ大人たちの他に、私と同じ年くらいの男の子や女の子も混ざっている。

パーティは立食形式で、ホールの端には調理師たちが腕によりをかけた美味しそうな食べ物が並ぶ。
特にメインのミートローフは私の大好物だ。

もう話はいいから、私に食事をさせてくださいませ。
あっ、サーモンの包み焼もあるじゃない!
あれは絶対に食べるわよ!

「お嬢様、たっぷりよだれが出ていますよ。」
私に耳打ちしてくれたのはエスコート役のオットー。
本来は執事がエスコートすることはないのだが、私が父にゴリ押ししたのだ。

「あの方がメリー嬢ですのね。ギルドの発足にご意見をおっしゃったそうよ。」
「綺麗なお嬢様ね。でもなぜ真っ黒なドレスなの?」
「才女とも噂されている方ですわ。是非ともお顔を覚えていただかないと。でもあの黒いドレスのセンスは疑うわ。」
「ねっ、あなた行ってらっしゃいよ。ご縁を作るのよ。」

私を噂する声があちこちから聞こえてくる。
これが社交界。うざったいったらありゃしない。
聞こえてないと思っているの?それともわざと聞こえるように言ってる?
私はあなた達よりもミートローフの方が気になるのよ!

私と同じくらいの女の子が2人、私に挨拶しにきた。
「メリー様お初にお目にかかります。私たちもこのパーティがデビューなんです。
仲良くしていただきたいですわ。」

「ごきげんよう。アンポワネット家のメリーと申します。私から名乗らせるなんて少々無作法ではございませんこと?(お二人は何ておっしゃるんですか?)」

あーやったよ。いきなり悪役令嬢語炸裂。
待ってあなたたち、それくらいで引いたら私と会話なんて出来ないわよ。

突然の先制攻撃にガクガクと脚が震える彼女たち。
「し、失礼しました。わたしはレオニール伯爵家のブリジットと申します。こちらはデュボア子爵家のセレスティーヌと申します。」

「あらこちらの方、ご自身では自己紹介すらお出来になれませんの?よほど大切に育てられたようですわね(初めまして、よろしくね)。」

秒殺KO。そのまま2人は固まってしまった。

予想通り私を中心に会場がざわめき始める。

そこに別の令嬢が私の前に現れた。

「ごきげんよう。メリー様。わたくしはリシャール侯爵家のドリアーヌと申しますわ。」
「ドリアーヌ様、アンポワネット家のメリーですわ。」

おそらく私と同年代の女性。
社交界も何度も経験しているのだろう。
さきほどの女の子たちよりも自信が感じられる。

「ところでメリー様、本日のお召し物はずいぶん個性的でいらっしゃいますわね。ご衣装が間に合いませんでしたの?」
なるほど、この女は好戦的だ。
同じ侯爵家として優位に立とうとしているのかしら?

「ドリアーヌ様、お気遣いありがとうございます。私、この色が好きなんです。
だってドリアーヌ様のように派手な色でごまかさなければいけないほど、自分の容姿に困ってはございませんわ。(ドリアーヌ様は、素敵な色のドレスですね。)」

尊厳。
ドリアーヌ嬢の尊厳という言葉が、ガタガタ音を立てて崩れていくのが聞こえた。
近くで耳をすましていた女たちも、私の言葉を聞いてフリーズしたようだ。

「悪役令嬢…」
どこからともなく、異世界初の言葉が使用され始める。
一体誰が言ったのかは分からない。
しかし、あちこちで「悪役令嬢」という単語がささやかれるようになった。
まさにこの瞬間に「悪役令嬢」という言葉が誕生したのだ。

「それではごめんあそばせ。」
私は逃げるようにその場を離れて、部屋の隅っこに移動した。

はー。
思っていた通り。
普通に話すことも出来やしない。
こうして私の悪い噂は広まっていくんでしょうね。

執事のオットーがお皿を持って私の元に現れる。
お皿には、大好物のミートローフ、サーモンの包み焼、様々な種類のカナッペが盛られていた。

食事をしながら周囲を見ると、父や母、兄ヨゼフィスは楽しそうに他の貴族たちと談笑している。

あー、羨ましい。
私も普通に話が出来たらどれだけ楽なんだろう。
私の本心は悪役令嬢語に翻訳されて話される。
そんなハイスペックな機能、私全然いらないのに。

「お嬢様はお嬢様らしく振舞ってもよろしいですよ。お嬢様の本当の魅力を理解できる者はこの中にはいらっしゃらないようです。」
私の心を察したのか、オットーの優しい言葉。
堅くなってしまった私のおこげのような心に、熱い中華スープをぶっかけられたようだ。
じゅわーっと香ばしい音と香りを立てながら、私の堅くなな心は柔らかくなっていった。

その時大きな音が聞こえ、一同がその音の方を振り返った。
「いやー遅れてすまんすまん。」
ホールの扉が開いて現れたのが、アイゼンベルグ陛下と2人の息子たちだった。
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