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マカロン
③
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『いやああああっ!』
叫ぶと同時に夢から醒める。目に飛び込んできたのは落書きだらけの壁。そして柔らかく綺麗な茶色い髪。
ほなみは、三広に抱き締められていた。
「……み、つひろ、君……?」
「ごめんっ!うなされてたから……ついっ」
三広は慌ててほなみを離すが、勢いで後ろにつんのめり頭から床に落ちた。
「三広君っ!」
「いってえー!」
三広はうずくまり頭を抱えた。
ソファから降りて彼の頭を触ってみると、彼の小柄な身体がビクンと動き、大きな瞳がほなみを見つめた。
「……三広君てよく転ぶの?この間はぶつかってたし……」
小さな形の良い頭を点検するように触れてみたら、瘤が出来ていた。
彼の顔が耳まで赤くなっている事に気づき、ほなみは手を離した。
「しばらく痛むかもしれないね」
「う、うん……」
「私についててくれたの?……ありがとう」
「いや、当たり前だよ!浜田さんも亮介も心配してたし」
「眠ってる時、何か変な事言った?」
「……ううん」
「……そう」
きっと彼は嘘をついている、とほなみは思った。まるで現実のような生々しい夢だった。嘲笑う花たちの声が鼓膜の奥に張り付いているようで、思わず身震いをする。
「今日は、ほなみちゃんに頼みがあって来たんだ。」
三広が背筋をシャンと伸ばし、真剣な顔になる。
「私に……頼み?」
「祐樹の事だけど……」
その名前を耳にして、身体じゅうが総毛立ってしまう。
「ニュースで知ってるかもだけど……怪我よりも深刻な問題があってさ……」
「……どうしたの?」
「歌おうとすると声が出ないんだ。医者が言うには何かの精神的な要因じゃないかって……」
「!」
「祐樹は……ほなみちゃんが居てくれたら良くなるんじゃないかな?あいつ惚れっぽいっていうか遊んでばかりだったけど、ほなみちゃんには違うような気がするんだよ……少しの間だけでも……東京に来て祐樹を元気づけて欲しいんだ……」
ほなみの唇が小刻みにわななき、涙まで出てきてしまった。
――西君。
あんなに音楽に真摯で素晴らしいピアノを弾いて、人を魅了する声を持っているのに……
ステージに立つ為に産まれてきた様な人なのに、私のせいでそんな事になっているなんて……!
叫ぶと同時に夢から醒める。目に飛び込んできたのは落書きだらけの壁。そして柔らかく綺麗な茶色い髪。
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三広は慌ててほなみを離すが、勢いで後ろにつんのめり頭から床に落ちた。
「三広君っ!」
「いってえー!」
三広はうずくまり頭を抱えた。
ソファから降りて彼の頭を触ってみると、彼の小柄な身体がビクンと動き、大きな瞳がほなみを見つめた。
「……三広君てよく転ぶの?この間はぶつかってたし……」
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彼の顔が耳まで赤くなっている事に気づき、ほなみは手を離した。
「しばらく痛むかもしれないね」
「う、うん……」
「私についててくれたの?……ありがとう」
「いや、当たり前だよ!浜田さんも亮介も心配してたし」
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「……ううん」
「……そう」
きっと彼は嘘をついている、とほなみは思った。まるで現実のような生々しい夢だった。嘲笑う花たちの声が鼓膜の奥に張り付いているようで、思わず身震いをする。
「今日は、ほなみちゃんに頼みがあって来たんだ。」
三広が背筋をシャンと伸ばし、真剣な顔になる。
「私に……頼み?」
「祐樹の事だけど……」
その名前を耳にして、身体じゅうが総毛立ってしまう。
「ニュースで知ってるかもだけど……怪我よりも深刻な問題があってさ……」
「……どうしたの?」
「歌おうとすると声が出ないんだ。医者が言うには何かの精神的な要因じゃないかって……」
「!」
「祐樹は……ほなみちゃんが居てくれたら良くなるんじゃないかな?あいつ惚れっぽいっていうか遊んでばかりだったけど、ほなみちゃんには違うような気がするんだよ……少しの間だけでも……東京に来て祐樹を元気づけて欲しいんだ……」
ほなみの唇が小刻みにわななき、涙まで出てきてしまった。
――西君。
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