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闘志を燃やす騎士(しょうた)
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翔大はステージでチューニングをしていた時から美名に気付いていた。
隣に居る、アパートで一緒だった男にも。
――美名……
六年前と変わっていない。
いや、もっと美しくなった。
ずっと会って居なかった。
連絡も取り合って居なかった。
美名と会わなくなってからの歳月の間、恋人は何人か居たが、彼女以上に大切に想う女は居なかった。
この間再会した時に、美名があの男と居るのを見て、翔大は決心したのだ。
ミュージシャンとして、勝負を賭けると。
もう自分もバンドメンバーも二十六歳だ。
この先も音楽の道を行くか、それとも諦めるのか。
ずっと、いつかは、いつかは成功してみせる、と音楽をやって来た。
最初は熱狂的にライヴに来てくれていたファンの女の子達も、皆恋人を作り結婚して家庭を持ち、ライヴに足を運ばなくなった。
美名もファンの一人だった。
あの頃、バンドが上手く行かない腹いせに、言い寄ってきたファンの子と一度だけ関係を持ってしまった。
それを美名に知られ、傷付いた彼女は離れて行った。
本当に馬鹿な事をしたと今でも思う。
六年間、バイトに明け暮れバンドを続け、メンバーの脱退、バンド存亡の危機、色んな事があった。
そんな時に美名の言葉を思い出していた。
『世の中にギターと歌が上手い人は沢山居るけど、私が心を掴まれたのは、しょう君だけだよ』
その言葉を支えに音楽にすがり付いていたと言ってもいい。
その美名が、目の前に居る。
本心は、ステージから飛び降りて拐ってしまいたい。
しかし今の自分にはそんな資格は無いのだ。
今日はこのライブハウスで八組のバンドが演奏する。
結果が出せなければ解散して音楽を辞めるという話をメンバーとしていた。
ドラムの立花 由清(たちばな よしき)は、ホストの仕事の傍らバンドをしている。
翔大の提案に、あっさり頷いた。
由清は銀座のホストクラブ「B―BOY」のNo.3で、ホストの稼ぎはなかなかの物らしい。
そっちの方が忙しくて、バンドと両方は無理だという事を良く愚痴っていた。
由清は流されやすい。
良く言えば協調性があるのだが、確固たる自分の意見があっても他人に強く何か言われると
「まあ、いいか」
とすぐに諦める。
ホストになった経緯も知り合いの店長に頼み込まれての事だった。
長身で少女漫画から抜け出た様な華やかで優しげなルックスの由清はあっという間に店の人気者になった。
だが由清はホストの仕事が好きか、と言われたら決してそうではないのだ。
バンドをやっている方が楽しい、と由清は言う。
しかしバンドだけで生活出来る筈もない。
どちらも選べないなら、今日の結果で決めようという事になったのだ。
ベースの倉田 真理(くらた まこと)は、その演奏技術の高さであちこちのバンドから引っ張りだこの男だったが、由清とは真逆で非常に我が強い。
その為、色んなバンドのメンバーと上手くいかず、助っ人的に一時加入しても長続きしない。
ただ、この『junk』の翔大も由清も余り自己主張をする方では無いので、今までなんとかバランスが取れていたのだ。
倉田もベースが上手いし、ルックスも精悍で悪くない。
少々性格に問題がある以外は華のあるベーシストで申し分ないのだ。
しかし、いくらルックスがある程度良くても、演奏が上手くても、それだけでは売れないのだ。
実力だけでなく、運が欲しいと切実に思っていた。
この泥沼から抜け出す事が出来ずに溺れるのは御免だ。
這い上がって見せる。
可能性が低くても、やるだけやるんだ――
そんな決意を胸に臨んだステージだった。
今夜の客の中には業界関係者も紛れ込んでいる。
ステージで一位を取れなくても、印象を残した者勝ちだ。
翔大もメンバーも今自分達に出来る全てを出し切った。
バンドをやってきて沢山場数を踏んできたが、今夜はその中の最高だと迷わず言い切れる。
翔大をそこまで駆り立てたのは、美名だった。
音楽も、美名も取り戻して見せる、という情熱と闘志だった。
美名が真剣にステージを見ているのを、翔大は分かっていた。
ステージを見つめる美名の表情は、六年前に『junk』のライヴを客席から瞳をキラキラ輝かせて見ていた時の物だった。
美名は……
今でも俺のギターと声に魅せられている。
翔大は確信する。
演奏が終り、ステージ裏で楽器を片付けていると見覚えのある業界人風の男がやって来た。
翔大は何かの予感がして男を見据えると、大きな石の指輪が嵌められた手を差し出してきた。
その手の中には名刺。
『音楽プロデューサー
志村 賢一』
「志村賢一……て」
由清も真理も目を剥いた。
言わずと知れた有名な大プロデューサー。
彼にプロデュースされて売れないミュージシャンはまず居ない。
そんな大物が、向こうから出向いてくるとは。
翔大は半信半疑だった。
志村は翔大を上から下まで眺めて溜め息を付いた。
「ふう――ん、素の状態だと普通のお兄さんみたいだけど……ステージでは人格が変わるのね、貴方」
「は、はあ……」
志村はいきなり翔大の尻をバアンと叩いた。
「ええっ!?」
呆気に取られる間に、由清と真理もハグや頬にキスをされた。
「わ、わわわ」
「何すんだこのオッサン!」
由清と真理も相当ビビっている。
志村は底知れない、魅惑的な笑みを浮かべて三人をじっと見た。
「うん、いいわね。絵になるわ貴方たち」
由清はすっかり怯えて真理の背中に隠れているが、真理も志村を睨みながら腰が引けている。
翔大は志村を真っ直ぐ見た。
「それで、志村さんの様な方がわざわざ僕たちみたいな死にかけのバンドに何の御用です?
まさか、ただからかいに来たって訳では無いですよね?」
志村は首を傾げてクスリとした。
「貴方、大人しそうなのに度胸があるわねえ……それに、いい目をしてる」
志村の手がそっと翔大の頬に触れた。
由清が小さく叫んだが、翔大は動じず、至近距離で志村と見つめあった。
「ふふ。本当に素敵ね。夢中になりそうだわ」
志村はゆっくりと手を離すと、腕を組んでまた三人を一人ずつ値踏みする様に眺める。
「スバリ言うわね。貴方達が欲しいわ」
「えええっ無理です」
由清が首を振る。
志村はコロコロ笑った。
「脅かしすぎたかしらねえ。そういう意味じゃないわよ……ミュージシャンとして、貴方達をスカウトしたいのよ」
「え――っ」
「マジか!」
由清と真理が顔を見合わせる。
翔大は鋭い目で志村を見た。
「本気ですか」
「当たり前よ」
「何か裏があるのではないですか?」
「ふふふ……今まで苦労したのね、貴方も。
でも、這い上がりたいのよね?失った物を取り戻したいのよね?」
翔大は頷いた。
「私は至って本気よ。本気で貴方達をデビューさせるわ……ただし、条件があるわ」
「……なんでしょうか?」
その時、舞台裏に美名とあの男が来ているのに翔大は気付いた。
志村は二人を手招きする。
美名はおずおずと歩いて来た。
高く結わえた長い髪がゆらゆら揺れてドレスから伸びたしなやかな足がまぶしい。
由清は目が点になり、真理は口笛を吹いた。
翔大も思わず見とれて居ると、志村が美名の手を取って言った。
「この子をDream adventureからデビューさせるの。貴方達は、まずはこの歌姫のバックバンドをやって貰うわ」
「えっ……」
美名は目を見開いた。
側に居る男も口を開く。
「志村さん……それは」
「綾波君。貴方の考えもあるかも知れないけど、プロデューサーは私よ。私のやり方でやるわよ」
男は押し黙った。
(そうか、あの男は綾波というのか)
翔大は密かに思った。
「冗談じゃないぜ!つまりそのねーちゃんの引き立て役かよ!」
真理が露骨に反感を持った目で美名を睨んだ。
美名は怯えて綾波の手を握る。
綾波も握り返すのを翔大はじっと見ていた。
志村は小さな子供をあやすような口調で言った。
「バックバンドから出世する人達も沢山いるわよ?確かに美名ちゃんのサポートかも知れないけど、貴方達の頑張りによって状況は変わる可能性はあるわ……
それとも、自信がないのかしら?坊やは?」
「……何だと!?」
掴みかかりそうになる真理を由清が必死に止めた。
美名は綾波と指を絡め、不安そうに見詰めると、綾波もいとおしげに視線を返している。
翔大はそれを見て拳を強く握ると、きっぱりと言った。
「――志村さん。そのお話、受けさせて頂きます」
隣に居る、アパートで一緒だった男にも。
――美名……
六年前と変わっていない。
いや、もっと美しくなった。
ずっと会って居なかった。
連絡も取り合って居なかった。
美名と会わなくなってからの歳月の間、恋人は何人か居たが、彼女以上に大切に想う女は居なかった。
この間再会した時に、美名があの男と居るのを見て、翔大は決心したのだ。
ミュージシャンとして、勝負を賭けると。
もう自分もバンドメンバーも二十六歳だ。
この先も音楽の道を行くか、それとも諦めるのか。
ずっと、いつかは、いつかは成功してみせる、と音楽をやって来た。
最初は熱狂的にライヴに来てくれていたファンの女の子達も、皆恋人を作り結婚して家庭を持ち、ライヴに足を運ばなくなった。
美名もファンの一人だった。
あの頃、バンドが上手く行かない腹いせに、言い寄ってきたファンの子と一度だけ関係を持ってしまった。
それを美名に知られ、傷付いた彼女は離れて行った。
本当に馬鹿な事をしたと今でも思う。
六年間、バイトに明け暮れバンドを続け、メンバーの脱退、バンド存亡の危機、色んな事があった。
そんな時に美名の言葉を思い出していた。
『世の中にギターと歌が上手い人は沢山居るけど、私が心を掴まれたのは、しょう君だけだよ』
その言葉を支えに音楽にすがり付いていたと言ってもいい。
その美名が、目の前に居る。
本心は、ステージから飛び降りて拐ってしまいたい。
しかし今の自分にはそんな資格は無いのだ。
今日はこのライブハウスで八組のバンドが演奏する。
結果が出せなければ解散して音楽を辞めるという話をメンバーとしていた。
ドラムの立花 由清(たちばな よしき)は、ホストの仕事の傍らバンドをしている。
翔大の提案に、あっさり頷いた。
由清は銀座のホストクラブ「B―BOY」のNo.3で、ホストの稼ぎはなかなかの物らしい。
そっちの方が忙しくて、バンドと両方は無理だという事を良く愚痴っていた。
由清は流されやすい。
良く言えば協調性があるのだが、確固たる自分の意見があっても他人に強く何か言われると
「まあ、いいか」
とすぐに諦める。
ホストになった経緯も知り合いの店長に頼み込まれての事だった。
長身で少女漫画から抜け出た様な華やかで優しげなルックスの由清はあっという間に店の人気者になった。
だが由清はホストの仕事が好きか、と言われたら決してそうではないのだ。
バンドをやっている方が楽しい、と由清は言う。
しかしバンドだけで生活出来る筈もない。
どちらも選べないなら、今日の結果で決めようという事になったのだ。
ベースの倉田 真理(くらた まこと)は、その演奏技術の高さであちこちのバンドから引っ張りだこの男だったが、由清とは真逆で非常に我が強い。
その為、色んなバンドのメンバーと上手くいかず、助っ人的に一時加入しても長続きしない。
ただ、この『junk』の翔大も由清も余り自己主張をする方では無いので、今までなんとかバランスが取れていたのだ。
倉田もベースが上手いし、ルックスも精悍で悪くない。
少々性格に問題がある以外は華のあるベーシストで申し分ないのだ。
しかし、いくらルックスがある程度良くても、演奏が上手くても、それだけでは売れないのだ。
実力だけでなく、運が欲しいと切実に思っていた。
この泥沼から抜け出す事が出来ずに溺れるのは御免だ。
這い上がって見せる。
可能性が低くても、やるだけやるんだ――
そんな決意を胸に臨んだステージだった。
今夜の客の中には業界関係者も紛れ込んでいる。
ステージで一位を取れなくても、印象を残した者勝ちだ。
翔大もメンバーも今自分達に出来る全てを出し切った。
バンドをやってきて沢山場数を踏んできたが、今夜はその中の最高だと迷わず言い切れる。
翔大をそこまで駆り立てたのは、美名だった。
音楽も、美名も取り戻して見せる、という情熱と闘志だった。
美名が真剣にステージを見ているのを、翔大は分かっていた。
ステージを見つめる美名の表情は、六年前に『junk』のライヴを客席から瞳をキラキラ輝かせて見ていた時の物だった。
美名は……
今でも俺のギターと声に魅せられている。
翔大は確信する。
演奏が終り、ステージ裏で楽器を片付けていると見覚えのある業界人風の男がやって来た。
翔大は何かの予感がして男を見据えると、大きな石の指輪が嵌められた手を差し出してきた。
その手の中には名刺。
『音楽プロデューサー
志村 賢一』
「志村賢一……て」
由清も真理も目を剥いた。
言わずと知れた有名な大プロデューサー。
彼にプロデュースされて売れないミュージシャンはまず居ない。
そんな大物が、向こうから出向いてくるとは。
翔大は半信半疑だった。
志村は翔大を上から下まで眺めて溜め息を付いた。
「ふう――ん、素の状態だと普通のお兄さんみたいだけど……ステージでは人格が変わるのね、貴方」
「は、はあ……」
志村はいきなり翔大の尻をバアンと叩いた。
「ええっ!?」
呆気に取られる間に、由清と真理もハグや頬にキスをされた。
「わ、わわわ」
「何すんだこのオッサン!」
由清と真理も相当ビビっている。
志村は底知れない、魅惑的な笑みを浮かべて三人をじっと見た。
「うん、いいわね。絵になるわ貴方たち」
由清はすっかり怯えて真理の背中に隠れているが、真理も志村を睨みながら腰が引けている。
翔大は志村を真っ直ぐ見た。
「それで、志村さんの様な方がわざわざ僕たちみたいな死にかけのバンドに何の御用です?
まさか、ただからかいに来たって訳では無いですよね?」
志村は首を傾げてクスリとした。
「貴方、大人しそうなのに度胸があるわねえ……それに、いい目をしてる」
志村の手がそっと翔大の頬に触れた。
由清が小さく叫んだが、翔大は動じず、至近距離で志村と見つめあった。
「ふふ。本当に素敵ね。夢中になりそうだわ」
志村はゆっくりと手を離すと、腕を組んでまた三人を一人ずつ値踏みする様に眺める。
「スバリ言うわね。貴方達が欲しいわ」
「えええっ無理です」
由清が首を振る。
志村はコロコロ笑った。
「脅かしすぎたかしらねえ。そういう意味じゃないわよ……ミュージシャンとして、貴方達をスカウトしたいのよ」
「え――っ」
「マジか!」
由清と真理が顔を見合わせる。
翔大は鋭い目で志村を見た。
「本気ですか」
「当たり前よ」
「何か裏があるのではないですか?」
「ふふふ……今まで苦労したのね、貴方も。
でも、這い上がりたいのよね?失った物を取り戻したいのよね?」
翔大は頷いた。
「私は至って本気よ。本気で貴方達をデビューさせるわ……ただし、条件があるわ」
「……なんでしょうか?」
その時、舞台裏に美名とあの男が来ているのに翔大は気付いた。
志村は二人を手招きする。
美名はおずおずと歩いて来た。
高く結わえた長い髪がゆらゆら揺れてドレスから伸びたしなやかな足がまぶしい。
由清は目が点になり、真理は口笛を吹いた。
翔大も思わず見とれて居ると、志村が美名の手を取って言った。
「この子をDream adventureからデビューさせるの。貴方達は、まずはこの歌姫のバックバンドをやって貰うわ」
「えっ……」
美名は目を見開いた。
側に居る男も口を開く。
「志村さん……それは」
「綾波君。貴方の考えもあるかも知れないけど、プロデューサーは私よ。私のやり方でやるわよ」
男は押し黙った。
(そうか、あの男は綾波というのか)
翔大は密かに思った。
「冗談じゃないぜ!つまりそのねーちゃんの引き立て役かよ!」
真理が露骨に反感を持った目で美名を睨んだ。
美名は怯えて綾波の手を握る。
綾波も握り返すのを翔大はじっと見ていた。
志村は小さな子供をあやすような口調で言った。
「バックバンドから出世する人達も沢山いるわよ?確かに美名ちゃんのサポートかも知れないけど、貴方達の頑張りによって状況は変わる可能性はあるわ……
それとも、自信がないのかしら?坊やは?」
「……何だと!?」
掴みかかりそうになる真理を由清が必死に止めた。
美名は綾波と指を絡め、不安そうに見詰めると、綾波もいとおしげに視線を返している。
翔大はそれを見て拳を強く握ると、きっぱりと言った。
「――志村さん。そのお話、受けさせて頂きます」
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