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Marry me②
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「もう、身体はいいのか?」
「……うん」
稲川はあぐりを抱き締めたまま髪を撫でた。
「よく来てくれたね……」
あぐりは、彼の腕の中、低くハスキーな甘い声をうっとりと噛み締める。
歌っている時も好きだが、話し声も大好きだ。
そして、ベッドで愛する時に時折漏らす苦しそうな呟きの声も。
そっと目元に触れると、大きな黒目があぐりを真っ直ぐに見つめている。
「……こうしてライブに呼んで貰えるの……
何十回目……ううん、何百回目かしら」
「覚えてるよ……今でも。初めて会った時の夜……」
「私、初めて稲川さんを近くで見た時……ごめん。正直に言うね?
"意外と小っさ!"
て思った!うふふ」
「酷いな~
でもあぐりにも相当俺、びっくりしたぞ?
さっきまであんなにしおらしくライブ見てたお嬢さんがさあ~
『なんじゃワレー!』て大立ち回りしてるなんて……」
「え~!そこまで酷くないでしょ~!?」
「違ったっけ?」
転がすような声で二人は笑い合う。
「西本の所はどう?今色々と大変だろ?」
「ああ……うん。どうかな……」
曖昧に笑うあぐりを訝しげに稲川が見つめ、柔らかい巻き毛を指でくるくる弄ぶ。
こうして見詰められるとあぐりは隠し事が出来ないのだ。
一人で抱え込み誰にも言わないで居る事でも、この人には隠せない。
決して言葉で
「話してごらん」と云われるわけではない。
けれど、歳上の大人の男性らしかぬどこか無邪気な眼差しを前にすると、氷が溶ける様にあぐりは心をさらけ出してしまうのだ。
「……あの収録の後帰ってないから……知らない」
稲川は目を丸くした。
「――何だよ、家出?」
「家出って……家じゃないし……ふふ」
「まあ、そうだよな……あいつと喧嘩でもした?」
「あいつって?」
あぐりは勿論それが野村の事なのは解っているが、意地悪をしてみたくなり、わざとすっとぼけた。
稲川は珍しく口ごもる。
「――いや……その……」
その困った様子に愛しさが込み上げた。
(表では虚勢を張る癖に、二人きりの時は別人のような稲川さん……
この間、野村君に啖呵を切っていた癖に――)
「残念ながら、仲良しよ。喧嘩なんてしてない」
「――そりゃ本当に残念だ」
稲川はむくれて機材の上にあった水を口に含んだ。
「そう思う?」
「当たり前だろ」
稲川は、そっぽを向いてふてくされた。
あぐりは、バッグを持つ指に力を込め、深呼吸する。
「――だったら……
拐っていってよ」
稲川は振り返り見つめた。
彼女の瞳には何かの決意が宿っていて、稲川もそれを真剣に受け止める。
二人だけのシンとしたライブハウスの中で、お互いの呼吸だけが響く。
瞬きさえも躊躇われる程の静けさの中で、あぐりが何を次に言うのか稲川は待っていた。
やがて、紅い小さな唇が動いた。
「――私、家へ帰ったの」
「……うん」
「夫と別れてきました」
キッパリと言うあぐりの表情は迷いが無く美しく、こんな場合にも関わらず稲川は見惚れた。
あぐりは稲川を真っ直ぐに見つめ、静かに話す。
「上手くやっていければそれでいいって思ってたの。
毎日が面白くなくて退屈でも、時々貴方に会えて恋人気分を楽しめればいいかって。
でも……私、そういうの面倒臭くなったの」
「――」
稲川は息を呑む。
「私は……時々じゃなくて……いつも貴方と居たい」
「あぐり――」
言葉を詰まらせ、瞳が涙で溢れそうな彼女の頬に触れた瞬間、今まで押さえ込んで来た感情が決壊するかの様に自分を呑み込んで行くのがわかった。
だがそれに逆らう事をするつもりはもう無かった。
「――あぐり」
「はい……」
稲川は、骨ばった指で白魚の様な手を強く握り、唇を落とした。
「――俺と結婚してください」
「……稲川さん……っ」
あぐりは小さな子供が父親に飛び付く様な仕草で抱き付いた。
勢い余って二人はフロアに倒れ込む。
「いてっ頭打った」
「……大丈夫?」
稲川は顔をしかめていたが、あぐりの髪をくしゃりと撫でて引き寄せてキスすると、笑顔を彼女に向けた。
「もう治った」
「何よそれ……ふふっ」
二人はステージの上で、転がったまま笑い合った。
ひとしきり笑うと、稲川はあぐりの額にキスをして、指でクリクリと字を描く様に触れてその感触を楽しんだ。
「……俺、奥さんと離婚したら、会社から見放されてさ……
BEATSもどんどん売れなくなって……
場末のクラブとかで歌ったり、路上でやって小銭稼いだり……
そんな風になるかも知れないけど、いい?」
「稲川さんと一緒なら……何でもいいよ……」
「お~!言ったな!?」
「でも……結婚式だけはしようね?」
「そうだね……俺もあぐりのウェディングドレス見たいよ……
綺麗だろうな……」
「何処か知らない遠い国の教会で……」
「健やかなる時も病める時も?」
「――永遠の愛を誓う、ってね」
冷たいステージで横たわり、煌めくライトを眺めながら二人は指を絡め合った。
※※
その夜のライヴは最高の盛り上がりを見せた。
稲川はステージを縦横無尽に駆け回り、その見事なボーカルでオーディエンスを熱狂させ、アンコールは何と三回行われた。
観客達は公演終了後、皆興奮覚めやらずに稲川への賛辞を口にしていた。
「私、BEATSのファンで良かった~」
「もう、なんて言うか憂鬱だとか吹き飛んだよね!」
「今まで見た中でも最高のライヴだったよな」
「私これからもずっと応援する~!」
あぐりはライヴハウスの後方の一段高い場所に佇み、帰る客たちの様々な呟きを聞いていた。
――本当に素晴らしかった。
高校生の時、初めてBEATSのライヴを見たあの感動と同じだ、と思った。
音と熱狂の余韻に酔っていたら、稲川がバックステージからやって来て、あぐりの手を握って言った。
「――行くよ、あぐり」
「えっ……?
ち、ちょっと!」
会場の中にも、周辺にもまだファンが大勢いて、どよめきが起こる中、稲川は彼女の手を引いて駆け抜けた。
激しく車が行き交う大通りを無理矢理渡り、反対側へと走るが、黄色い歓声が追い掛けてくる。
稲川は軽いフットワークで行き交う人の波を掻き分けながらあぐりの手を引いて走り続けた。
ファンの姿が見えなくなった所で、あぐりは息を切らして立ち止まる。
「――ちょっ……ストップ……!
私は貴方みたいに鍛えてないのよっ?
しんじゃう~」
全身で息をするあぐりを稲川はひょいと抱えた。
「これならいいかな?」
「ちょっと――!恥ずかしすぎる――!」
手足をばたつかせるあぐりの耳元に、稲川は低く囁いた。
「別れたなら……もう、家に帰らなくていいんだよな?」
「う、うん」
「なら……このまま……」
稲川はあぐりを抱いたまま、信号の色が変わっても気に留める事なく車や人を巧みに避けながら走った。
あちこちでクラクションが鳴らされ、稲川の強引さにあぐりは目を白黒させた。
「ちょっと!無茶苦茶―!」
「だって、早く抱き締めたいんだよ」
「――!」
クラクションの鳴る国道の中央分離帯で稲川は立ち止まり、あぐりを降ろしてキスした。
あぐりも目を瞑り、彼のキスを受け止め、溜め息を漏らし、甘い瞬間(とき)に酔いしれる。
唇を離し、額をつけ合ったまま稲川は囁いた。
「――拐って、て言っただろ?」
回りを流れる車のライトがどこまでも続き、それは二人を包む星空の様に美しかった。
「……うん」
稲川はあぐりを抱き締めたまま髪を撫でた。
「よく来てくれたね……」
あぐりは、彼の腕の中、低くハスキーな甘い声をうっとりと噛み締める。
歌っている時も好きだが、話し声も大好きだ。
そして、ベッドで愛する時に時折漏らす苦しそうな呟きの声も。
そっと目元に触れると、大きな黒目があぐりを真っ直ぐに見つめている。
「……こうしてライブに呼んで貰えるの……
何十回目……ううん、何百回目かしら」
「覚えてるよ……今でも。初めて会った時の夜……」
「私、初めて稲川さんを近くで見た時……ごめん。正直に言うね?
"意外と小っさ!"
て思った!うふふ」
「酷いな~
でもあぐりにも相当俺、びっくりしたぞ?
さっきまであんなにしおらしくライブ見てたお嬢さんがさあ~
『なんじゃワレー!』て大立ち回りしてるなんて……」
「え~!そこまで酷くないでしょ~!?」
「違ったっけ?」
転がすような声で二人は笑い合う。
「西本の所はどう?今色々と大変だろ?」
「ああ……うん。どうかな……」
曖昧に笑うあぐりを訝しげに稲川が見つめ、柔らかい巻き毛を指でくるくる弄ぶ。
こうして見詰められるとあぐりは隠し事が出来ないのだ。
一人で抱え込み誰にも言わないで居る事でも、この人には隠せない。
決して言葉で
「話してごらん」と云われるわけではない。
けれど、歳上の大人の男性らしかぬどこか無邪気な眼差しを前にすると、氷が溶ける様にあぐりは心をさらけ出してしまうのだ。
「……あの収録の後帰ってないから……知らない」
稲川は目を丸くした。
「――何だよ、家出?」
「家出って……家じゃないし……ふふ」
「まあ、そうだよな……あいつと喧嘩でもした?」
「あいつって?」
あぐりは勿論それが野村の事なのは解っているが、意地悪をしてみたくなり、わざとすっとぼけた。
稲川は珍しく口ごもる。
「――いや……その……」
その困った様子に愛しさが込み上げた。
(表では虚勢を張る癖に、二人きりの時は別人のような稲川さん……
この間、野村君に啖呵を切っていた癖に――)
「残念ながら、仲良しよ。喧嘩なんてしてない」
「――そりゃ本当に残念だ」
稲川はむくれて機材の上にあった水を口に含んだ。
「そう思う?」
「当たり前だろ」
稲川は、そっぽを向いてふてくされた。
あぐりは、バッグを持つ指に力を込め、深呼吸する。
「――だったら……
拐っていってよ」
稲川は振り返り見つめた。
彼女の瞳には何かの決意が宿っていて、稲川もそれを真剣に受け止める。
二人だけのシンとしたライブハウスの中で、お互いの呼吸だけが響く。
瞬きさえも躊躇われる程の静けさの中で、あぐりが何を次に言うのか稲川は待っていた。
やがて、紅い小さな唇が動いた。
「――私、家へ帰ったの」
「……うん」
「夫と別れてきました」
キッパリと言うあぐりの表情は迷いが無く美しく、こんな場合にも関わらず稲川は見惚れた。
あぐりは稲川を真っ直ぐに見つめ、静かに話す。
「上手くやっていければそれでいいって思ってたの。
毎日が面白くなくて退屈でも、時々貴方に会えて恋人気分を楽しめればいいかって。
でも……私、そういうの面倒臭くなったの」
「――」
稲川は息を呑む。
「私は……時々じゃなくて……いつも貴方と居たい」
「あぐり――」
言葉を詰まらせ、瞳が涙で溢れそうな彼女の頬に触れた瞬間、今まで押さえ込んで来た感情が決壊するかの様に自分を呑み込んで行くのがわかった。
だがそれに逆らう事をするつもりはもう無かった。
「――あぐり」
「はい……」
稲川は、骨ばった指で白魚の様な手を強く握り、唇を落とした。
「――俺と結婚してください」
「……稲川さん……っ」
あぐりは小さな子供が父親に飛び付く様な仕草で抱き付いた。
勢い余って二人はフロアに倒れ込む。
「いてっ頭打った」
「……大丈夫?」
稲川は顔をしかめていたが、あぐりの髪をくしゃりと撫でて引き寄せてキスすると、笑顔を彼女に向けた。
「もう治った」
「何よそれ……ふふっ」
二人はステージの上で、転がったまま笑い合った。
ひとしきり笑うと、稲川はあぐりの額にキスをして、指でクリクリと字を描く様に触れてその感触を楽しんだ。
「……俺、奥さんと離婚したら、会社から見放されてさ……
BEATSもどんどん売れなくなって……
場末のクラブとかで歌ったり、路上でやって小銭稼いだり……
そんな風になるかも知れないけど、いい?」
「稲川さんと一緒なら……何でもいいよ……」
「お~!言ったな!?」
「でも……結婚式だけはしようね?」
「そうだね……俺もあぐりのウェディングドレス見たいよ……
綺麗だろうな……」
「何処か知らない遠い国の教会で……」
「健やかなる時も病める時も?」
「――永遠の愛を誓う、ってね」
冷たいステージで横たわり、煌めくライトを眺めながら二人は指を絡め合った。
※※
その夜のライヴは最高の盛り上がりを見せた。
稲川はステージを縦横無尽に駆け回り、その見事なボーカルでオーディエンスを熱狂させ、アンコールは何と三回行われた。
観客達は公演終了後、皆興奮覚めやらずに稲川への賛辞を口にしていた。
「私、BEATSのファンで良かった~」
「もう、なんて言うか憂鬱だとか吹き飛んだよね!」
「今まで見た中でも最高のライヴだったよな」
「私これからもずっと応援する~!」
あぐりはライヴハウスの後方の一段高い場所に佇み、帰る客たちの様々な呟きを聞いていた。
――本当に素晴らしかった。
高校生の時、初めてBEATSのライヴを見たあの感動と同じだ、と思った。
音と熱狂の余韻に酔っていたら、稲川がバックステージからやって来て、あぐりの手を握って言った。
「――行くよ、あぐり」
「えっ……?
ち、ちょっと!」
会場の中にも、周辺にもまだファンが大勢いて、どよめきが起こる中、稲川は彼女の手を引いて駆け抜けた。
激しく車が行き交う大通りを無理矢理渡り、反対側へと走るが、黄色い歓声が追い掛けてくる。
稲川は軽いフットワークで行き交う人の波を掻き分けながらあぐりの手を引いて走り続けた。
ファンの姿が見えなくなった所で、あぐりは息を切らして立ち止まる。
「――ちょっ……ストップ……!
私は貴方みたいに鍛えてないのよっ?
しんじゃう~」
全身で息をするあぐりを稲川はひょいと抱えた。
「これならいいかな?」
「ちょっと――!恥ずかしすぎる――!」
手足をばたつかせるあぐりの耳元に、稲川は低く囁いた。
「別れたなら……もう、家に帰らなくていいんだよな?」
「う、うん」
「なら……このまま……」
稲川はあぐりを抱いたまま、信号の色が変わっても気に留める事なく車や人を巧みに避けながら走った。
あちこちでクラクションが鳴らされ、稲川の強引さにあぐりは目を白黒させた。
「ちょっと!無茶苦茶―!」
「だって、早く抱き締めたいんだよ」
「――!」
クラクションの鳴る国道の中央分離帯で稲川は立ち止まり、あぐりを降ろしてキスした。
あぐりも目を瞑り、彼のキスを受け止め、溜め息を漏らし、甘い瞬間(とき)に酔いしれる。
唇を離し、額をつけ合ったまま稲川は囁いた。
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