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しおりを挟む神様がいるのなら、僕を“普通の人”に戻して欲しい。
「男同士なんて、気が気じゃないわ。普通の人じゃない。」
母に言われたこの言葉が脳裏から離れない。
普通の人になるんだ、ならないといけないんだ、そう言い聞かせて毎日心で唱えながら過ごした。
だけど、やっぱり好きで、早く消えてほしくて、自分勝手で最低なことをしてるって分かってたけど僕は誰にも言わずに母と一緒にこの街を出た。この街を出れば自分の息子は
“普通の人”になる。そう信じて。
育った街からでは僕は親にすら否定された悲しみと、友達がいない寂しさと、誰にも自分の気持ちを分かってくれない苦しさで学校生活がうまくいくことは無かった。
涙が溢れて眠れない夜、僕は古いスマホに電源を付けメッセージカードアプリを開く。そこには一件だけ通知が来ていた。開かないと全部は読めないが、少しだけなら開かなくても見れる。
“ なんで何も言わずに行ったんだ?お前は本当に.....”
きっと怒ってる、僕のことを恨んでる。嫌いになってくれた方が良い。僕の存在なんか忘れちゃって、足を引っ張る人がいなくなれば良い。
あの日、一人の僕を気にかけてくれた。声を掛けてくれた。
男なのに男らしくないと馬鹿にされていたのを助けてくれた。帰り道、お前は大丈夫だと勇気をくれたこと。
全部、全部蓋をして僕だけしか知らない思い出になれば良い。まだ傷が癒えることはないけど、僕は君だけをわすれずに生きていけば良い。
人が寝静まって静かな夜に僕は近くの川に古いスマホを投げ捨てた。嗚咽が響いて涙が止まらないけど、君が隣にいない世界を生きていくのは辛くて寂しいけど、君は僕がいなくても生きていけるから、楽しくて、女の人と結婚して、可愛い子供が産まれて幸せな人生を送れるから。
僕はそれを願いながら生きていこう。
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