2 / 13
2
しおりを挟むカタカタとキーボードが音を立てる。
今日は休日で二度寝をしてしまうと損した気分になるから、二度寝防止として特に用がないのに作業デスクに座っている。用がないと言ってもそれはざっくりと言ったもので、小さい用件なら何個かある。それに備えて、淹れたてのコーヒーを用意し、電話が来るまで待っていた。
「ごめんね~貴重な休日なのにこんなの頼んじゃって泣。今度ご飯奢らせて」
「別に大丈夫。徹夜してたんだから少し休みなよ。旦那心配してんじゃねーの?」
小さい頃からの腐れ縁で今は主にBL漫画を描いている紗希。徹夜でも終わらないらしく久しぶりに連絡が来た。いつも何回も泣きながら電話が来て手伝わされたけど。長い期間空いていた理由は紗希が結婚して、産休に入ったからだ。だいぶ落ち着いたみたいで、今回は今年こと商業化を目指して頑張っているみたいだ。紗希は仮眠をして、俺がやる事は風景画を描いた名残で白黒の背景をひたすらに描いていくという作業ゲー。引き出しの中から引っ張り出した液タブ。久しぶりに見た気がする。気合いの背伸びをしてリンクを踏み、紗希が指定したページを探していく。腐れ縁という事もあって容赦無い量と修正で溜息が出る。とりあえず出来るところまでやってみよう。和弥はペンをひたすら動かした。無我夢中で描いていった結果、あっという間に日が暮れて紗希が起きてきた。
「流石だね。ほぼ完成じゃん。やり~」
「感謝しろよ。明日仕事だっつーのに」
「感謝してます。とても。」
「ねー....もしもこれが本になって人気になったらドラマ化とかしちゃうのかな!?」
「幻想抱いてる暇あるなら手を動かせ」
ふとドラマという言葉であの人が浮かんだ。
数日後、彼について調べてみたら、沢山仕事をこなす完璧人間になっていたらしい。俺といる時は何もかも不器用だったくせに。...はい、過去の人間は黙ります。悪い癖出てしまった。
思い出してしまう自分に苛立ちが出る。
眠気と闘いながら、なんとかネットに上げれる完成度までいった。その後は、眠すぎてすぐに電話を切り、秒で寝てギリギリ出社してその日は終わった。紗希からの電話が来たのはその一週間後だった。
「ねー....ヤバいよ。和弥!!」
「なに?」
「山田出版から書籍化しないかって連絡来た。マジヤバいよ!泣くよ。」
「おめでとう。頑張れ」
他人事のように電話を切り、紗希と連絡しない時間がまた空いた。数ヶ月経ったある日、ポストの中に紗希宛てから分厚い何かが届いた。
中を見たら、本当に書籍化していて漫画の帯には「実力派漫画家が描く、エロエロ甘切ない青春BL」と大きな字で明るくポップにされていた。幼馴染の夢が叶ったみたいで良かったと、自然と笑顔になった。俺も今年こそはいい人捕まえて幸せになろう。俺も漫画のコイツらみたいに恋愛してもいいんだ。BL本で勇気付けられた俺は自分のこれからの人生の計画について考えた。
____
「えっ....と、ど、ドラマ化ですか、!?!」
511
あなたにおすすめの小説
「これからも応援してます」と言おう思ったら誘拐された
あまさき
BL
国民的アイドル×リアコファン社会人
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
学生時代からずっと大好きな国民的アイドルのシャロンくん。デビューから一度たりともファンと直接交流してこなかった彼が、初めて握手会を開くことになったらしい。一名様限定の激レアチケットを手に入れてしまった僕は、感動の対面に胸を躍らせていると…
「あぁ、ずっと会いたかった俺の天使」
気付けば、僕の世界は180°変わってしまっていた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
初めましてです。お手柔らかにお願いします。
ムーンライトノベルズさんにも掲載しております
生まれ変わりは嫌われ者
青ムギ
BL
無数の矢が俺の体に突き刺さる。
「ケイラ…っ!!」
王子(グレン)の悲痛な声に胸が痛む。口から大量の血が噴きその場に倒れ込む。意識が朦朧とする中、王子に最後の別れを告げる。
「グレン……。愛してる。」
「あぁ。俺も愛してるケイラ。」
壊れ物を大切に包み込むような動作のキス。
━━━━━━━━━━━━━━━
あの時のグレン王子はとても優しく、名前を持たなかった俺にかっこいい名前をつけてくれた。いっぱい話しをしてくれた。一緒に寝たりもした。
なのにー、
運命というのは時に残酷なものだ。
俺は王子を……グレンを愛しているのに、貴方は俺を嫌い他の人を見ている。
一途に慕い続けてきたこの気持ちは諦めきれない。
★表紙のイラストは、Picrew様の[見上げる男子]ぐんま様からお借りしました。ありがとうございます!
2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~
青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」
その言葉を言われたのが社会人2年目の春。
あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。
だが、今はー
「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」
「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」
冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。
貴方の視界に、俺は映らないー。
2人の記念日もずっと1人で祝っている。
あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。
そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。
あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。
ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー
※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。
表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。
美澄の顔には抗えない。
米奏よぞら
BL
スパダリ美形攻め×流され面食い受け
高校時代に一目惚れした相手と勢いで付き合ったはいいものの、徐々に相手の熱が冷めていっていることに限界を感じた主人公のお話です。
※なろう、カクヨムでも掲載中です。
別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。
孕めないオメガでもいいですか?
月夜野レオン
BL
病院で子供を孕めない体といきなり診断された俺は、どうして良いのか判らず大好きな幼馴染の前から消える選択をした。不完全なオメガはお前に相応しくないから……
オメガバース作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる