1 / 3
裏の裏をつく
1
しおりを挟む「だ~か~ら!別にロファードの事好きじゃねぇって!」
森の中にある小さな邸宅に野太い声が響く。
ルシアは父であるジェイドに反抗的な態度を見せた。
それもそうだ。ルシアの恋愛に関してのデマの噂が広まり、それが収集付かなくなるほど出回り、更にはその相手から求婚の手紙が来てしまったのだ。
ルシアは溜息すらも出なくなってしまった。
高くない身分からの求婚は断れるが、今回は見送らせて下さいなんて言えることが出来ない....どう足掻いても断れない人から来てしまったのだ。
父は震える手で承諾の手紙を送った。
ルシアは絶望で立ってられるのが精一杯だった。
宛先はこの国の次期王子である、ロファード・アルデンテだ。
「ルシア....すまない。」
「す、すまないんじゃねぇーんだよ!!クソ親父~!!!」
ルシアは森全体が揺れるほどの大声を出した。
____
ルシアは大前提として、ロファードを恋愛対象として見たことが一度もない。見れないのだ。
なぜならロファードは自分を過信しすぎている人だ。
要するにルシアのタイプではなく、大嫌いなタイプなのだ。
自分の行った行動には必ず人から賞賛を得たいという、承認欲求。自分が行った行動は全て正しいと思う独善気質。
あとシンプルに自分の顔に浸ってるということ。
全てルシアの癪に触ることであり、政略結婚としても隣にいて欲しくない存在だ。なぜモテてるのか分からない。
前に社交辞令としてロファードと話したことがあるが、全てに嫌悪を感じて逃げたのを好きだから照れて逃げたという都合の良い解釈にされてしまい、今に至る。
考えるだけでもストレスで震えが止まらない。
震える足を手で抑える。
どうしようか、俺は冗談でもアイツの愛の巣には入りたくない。別邸で暮らせるもんなら暮らしたいし、なんならこの結婚も無くなってもいい。
恋愛という感情が分からないのに、変な奴と政略結婚なんてしたら狂ってしまう。一生、恋というものが理解できなさそうな気がした。
きっとロファードは自分のことを好きなやつがいるからソイツを歓迎しよう。だって俺、王様だし!とか思ってそうだ。
お願いだから、マジで捉えないで欲しいと願わずにはいられなかった。
そしてあっという間に結婚式当日になった。
朝から使用人達がバタバタとしていて、こちらまで目が回りそうなほどだった。
訳の分からない花嫁衣装の提案をされ、適当に頷いていたら格好が張り切りすぎていて、慌ててセットされていた髪を解く。長くなった髪を躊躇なく切ったら父が倒れて、使用人の絶望の声が聞こえた。最後の日くらい息子として良い去り方だと感じた。ざまあみろと思った。
バタバタとしていたら、ロファードが控え室に来た。
本当に俺の夫なのかと思うほど冷たい顔をして、こちらを見下しているような顔をしていた。
そして、突然口を開け、俺に言ってきた。
「俺はお前を愛すことはない。俺には生涯共にしたい人がいる」
ロファードはニヤリと口角をこちらに向けた。
絶望した顔を見せると思ったのか、この王子様は。
ということはもう俺は自由だと言われたのと同じだ!
良い展開になってきたのではないだろうか、放ったらかしにされるのも悪くない。さぁ何をしようか。父には禁止されていた狩りにでも行こうか、でも魔術の勉強をするのも悪くはない。頭の中にいる小さなルシア達は確実に舞っている。
俺の人生も確実に良い方向へと向かっている!
ルシアは満点の笑顔でロファードに二つ返事をした。
「はい。心得ております!さぁお幸せに!」
予想もしていない返事に驚いたのか、ロファードは困惑な顔をして、どこかに行ってしまった。
ルシアは想像の世界に入ってしまい、ニヤニヤと笑っていた。
19
あなたにおすすめの小説
手の届かない元恋人
深夜
BL
昔、付き合っていた大好きな彼氏に振られた。
元彼は人気若手俳優になっていた。
諦めきれないこの恋がやっと終わると思ってた和弥だったが、仕事上の理由で元彼と会わないといけなくなり....
BLゲームの悪役に転生したら攻略対象者が全員ヒロインに洗脳されてた
さ
BL
主人公のレオンは、幼少期に前世の記憶を思い出し、この世界がBLゲームで、自身は断罪される悪役だと気づく。
断罪を回避するため、極力攻略対象者たちと関わらないように生きてきた。
ーーそれなのに。
婚約者に婚約は破棄され、
気づけば断罪寸前の立場に。
しかも理由もわからないまま、
何もしていないはずの攻略対象者達に嫌悪を向けられてーー。
※最終的にハッピーエンド
※愛され悪役令息
《一時完結》僕の彼氏は僕のことを好きじゃないⅠ
MITARASI_
BL
彼氏に愛されているはずなのに、どうしてこんなに苦しいんだろう。
「好き」と言ってほしくて、でも返ってくるのは沈黙ばかり。
揺れる心を支えてくれたのは、ずっと隣にいた幼なじみだった――。
不器用な彼氏とのすれ違い、そして幼なじみの静かな想い。
すべてを失ったときに初めて気づく、本当に欲しかった温もりとは。
切なくて、やさしくて、最後には救いに包まれる救済BLストーリー。
続編執筆中
彼はオレを推しているらしい
まと
BL
クラスのイケメン男子が、なぜか平凡男子のオレに視線を向けてくる。
どうせ絶対に嫌われているのだと思っていたんだけど...?
きっかけは突然の雨。
ほのぼのした世界観が書きたくて。
4話で完結です(執筆済み)
需要がありそうでしたら続編も書いていこうかなと思っておいます(*^^*)
もし良ければコメントお待ちしております。
⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。
可愛い系イケメンが大好きな俺は、推しの親友の王子に溺愛される
むいあ
BL
「あの…王子ーー!!俺の推しはあなたの親友なんだーーー!!」
俺、十宮空也は朝、洗面台に頭をぶつけ、異世界転生をしてしまった。
そこは俺がずっと大好きで追い続けていた「花と君ともう一度」という異世界恋愛漫画だった。
その漫画には俺の大好きな推しがいて、俺は推しと深くは関わらないで推し活をしたい!!と思い、時々推しに似合いそうな洋服を作ったりして、推しがお誕生日の時に送っていたりしていた。
すると、13歳になり数ヶ月経った頃、王宮からお茶会のお誘いが来て…!?
王家からだったので断るわけにもいかず、お茶会に行くため、王城へと向かった。
王城につくと、そこには推しとその推しの親友の王子がいて…!?!?
せっかくの機会だし、少しだけ推しと喋ろうかなと思っていたのに、なぜか王子がたくさん話しかけてきて…!?
一見犬系に見えてすごい激重執着な推しの親友攻め×可愛いが大好きな鈍感受け
長年の恋に終止符を
mahiro
BL
あの人が大の女好きであることは有名です。
そんな人に恋をしてしまった私は何と哀れなことでしょうか。
男性など眼中になく、女性がいればすぐにでも口説く。
それがあの人のモットーというやつでしょう。
どれだけあの人を思っても、無駄だと分かっていながらなかなか終止符を打てない私についにチャンスがやってきました。
これで終らせることが出来る、そう思っていました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる