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領都フルネンディク
12 苺は1月から5月が旬だからイチゴというんです
しおりを挟む「そんな事でいいの?」
「はい!」
「じゃあ、歓迎するわね! で、遠慮なく扱き使わせてもらいますよ!」
「そりゃ、怖いな」
十七歳の年相応嬉しそうに笑うローがカワイイと思ってしまいます。朝は睨まれて威圧感バリバリに警戒されていたのに! 野良猫を手懐けたような気分ですね。衣食足りて礼節を知るとも言いますし、やっぱり美味しい食事は人の心を穏やかにしますね!
でもなんか忘れているような……?
……?
あっ! 知らないフラグだった?! まぁ……誘ったのノート兄様だし……餌付けしたのは私だけど……
イレギュラーはよくある事。確固たる人間関係を築くこと事が出来れば領都にいる事の邪魔にはならないと思いますし。
という事で、市場で買った物、第二弾!
苺です!
言い忘れていましたが、今は四月。前世ではビニールハウス栽培と品種改良が盛んで十一月頃から食べられていましたが、此方の苺の旬は四月から五月なので今が酸味も甘味も申し分ない時期なのです。
そして私がベストだと思う苺の恋人!
それは練乳! (異論は認める)
なので、練乳作りましょ♪
此方には上白糖が無く、黒糖が普通の砂糖です。なので色が濁ってしまいますが、これはこれ。風味豊かな練乳ができます。
材料は、黒糖と三倍の量の牛乳。これだけ。これを小鍋に入れて弱火にかけ木べらで練り練り。鍋の底が見える位まで煮詰まったら、ノート兄様に冷却魔法をかけてもらい完成! 冷却魔法って凄く便利。特にお菓子作りに欠かせない工程だから私も会得したいです。
ヘタを取った苺に練乳をかけて皆に味見してもらいます。
「私、苺の酸っぱさが苦手なのですが、これなら食べれそうです」とシモン。
「採れたて苺がみずみずしいし、出来立て練乳は香りが良いね」とノート兄様。
「…………」黙々と口の中に放り込んでいるのは、ロー。ダメじゃん。
「ロー、感想言わないなら次回から食べさせませんよ?」
「お、おいひいれす……」
「口の中のモノを飲み込んでから喋りましょうね?」
なんだ、このローの残念感。殿下に似たイケメンなのに殿下の洗練された物腰とは偉い違いです。まぁ、殿下も二回しか会ったことないですけどね。
ローに苺を全て食べられる前に、特産のそば粉を使って苺のガレットを作ります。そば粉に卵、塩、サレなら冷水なのですが、デザートなので牛乳を加えて混ぜ、薄く焼き、スライスした苺を並べ練乳を網状にかけ扇型に巻けば、出来上がり♪
クレープなら小麦粉で。すぐ作れてすぐ食べれる。おススメです。
一口食べて、うっとりとするノート兄様とシモン。黙々と食べるロー。三人とも官能評価パネリストには合格できませんね。仕方ありません、アンケート形式にしますか。あと現世特有の農作物は三人だけでなく、老若男女に味見して欲しいから、試食会とかを定期的に開きたいですね。他の人に作れるよう、今まで前世の分量で適当だったレシピもジガーカップベースにして整理する必要がありますね。
やるべき事、固まってきました! 頑張るぞ!
◇◆◇◆◇◆
よく聞くけどよくわからないビジネス用語
官能評価パネリスト;五感(視覚、聴覚、 触覚、味覚、嗅覚)を利用して食品がおいしそうに見えるか、実際においしいか、風味はどうか、食感はどうか、場合によっては、異なった味や臭いを感じないかなどの何らかの評価を行う人の事。特に少量の五味(甘味・酸味・塩味・苦味・旨味)を正しく判別することができる人が選定される。
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