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領都フルネンディク
21 NYカップケーキを作ろう!2
しおりを挟む「シモン、ご苦労様」
朝一番でお使いを頼んだシモンに労いの言葉をかけると、ウキウキしながら買い物かごを受け取り中身を確認します。
「あ、クチナシの実と注文した薬草は後でローが持ってきます」
「そう」
苺に紫キャベツ、これは普通のお使い。
黄色い果物は何かしら~わくわく。
最初に手に取ったのは、オレンジみたいな色の柑橘系のモノ。後で味見だな。鮮やかな黄色のレモンもある。それから……?
お、これ、この香り、ツヤツヤしてるけどお尻だけベルベットみたいな表皮、ビワだ! こっちに来て始めて見た! でかした!
「ねぇシモン、っこれって何?」
「エリオの実です」
「どこの名産?」
「フルネンディクの東の方です。領内ですね」
「皆どうやって食べてるの?」
「普通に……大きな種があるので皮をむいて齧っています」
なるほど、日本と一緒ね。シロップで煮ても良いし、新発見だわ!
と、別の袋に入ったものを見つけます。
……カラーピーマン?
「これは?」
「カプシアって言ってました。おまけにもらいました」
「へー、果物? 野菜? 皆どうやって食べてるの?」
「わかりません」
そっかー、知らないのかー。うーん、シモンの気質なのか、基本受動的なんだよね。
……新入社員教育は会社の義務。ちょっと考え方の方向転換してもらおうかな。
「シモン、ウチの領の農産物って全部頭に入ってる?」
「すみません……入ってません」
「いい機会だから勉強しましょう。計画書の中に現在流通している農作物の一覧があるから覚えてね。実際のモノを食べて他に調理法や利用できないかを考えるのが私たちの仕事なのだから。
知ってると思うけど、いずれシモンは王都に戻った私やノート兄様の目や耳になってもらわないといけなくなる。その時シモンにしっかりした元になる知識があるかどうか、それが自領の発展のカギになるのよ。
第一段階として今の現状を正確に把握しておくことはとても重要なの。おまけでもらった物でも、シモンが知らない物ならちゃんと調べて知識として蓄えておくのもシモンの仕事だし、自身の武器になる。がんばっていきましょうね」
にっこり笑ってシモンを見る。説教臭くなってしまった……判ってくれたかドキドキする。人を導くのは難しいのだ。
「……私、戻って色々聞いてきます!」
判ってくれた!? 嬉しい!
「ありがとう! お願いね!」
では先に紫キャベツの色素を取りましょうか。紫キャベツからは、赤、紫、青の色素が取れますが、重曹がないので青色色素にはできませんが、少量レモンを加えて赤色定着させます。
まず、紫キャベツの芯を取ってみじん切りにします。
「螺〇丸!」と心の中で唱えます。ノート兄様の教え方が上手だから、無詠唱だよ! あっと言う間にみじん切りになりました。ふふふ、完全にモノにしたな。私。
そしてノート兄様にお願いして氷魔法で一度冷凍させ組織を壊します。フリーズドライですね。次に沸騰したお湯に入れもう一度沸騰させたら、十五分ほど放置します。
その後布巾で濾してノート兄様に水分を飛ばして貰えば紫色色素抽出完了。
少しレモン汁を入れて、赤色色素に定着させます。これをバタークリームに混ぜると、ピンク色のバタークリームの完成!
苺はヘタを取って濡れ布巾で拭いてから、「螺〇丸!」とフリーズドライで苺のトッピングが完成!
後は黄色いフルーツですね。
何だか解らない柑橘類はオレンジでした。薄皮を取るには重曹で軽く煮ればいいのだけれど……如何せん重曹が……。こんなところにも科学の壁が立ちはだかるのです。くー。
仕方ないので半分は輪切りにしてフリーズドライ、残りはマーマレードにしましょう。あっビワはコンポートにしましょう。
ビワを縦四等分に切って、種と種の周りの薄皮と表皮を取ります。切ったビワは変色を防ぐためレモン水に漬けておいて、レモン汁と白ワインを加えた砂糖水で十分煮ます。その後、味は材料が冷える時に染み込むので冷却魔法で完成。
カップケーキもスポンジケーキも焼けたので、熱いうちに型から出して粗熱を取ります。後はデコレーションして完成ですよ!
……あれ? クチナシの実は?
◇◆◇◆◇◆
お話のプロット直しをしたので人物紹介のローの年齢を消しました。それに伴い九話の「錬金術師?! シモンと同い年で?!」のセリフを修正しました。
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