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最初の関門
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ほのぼの鬼畜牧場ゲーム、【フェアリアル】に置いて、主人公のカイサはとても重要な役割を持っている。
ゲーム開始直後、空からカイサが落下するシーンから始まり、救助された後は記憶喪失である事が判明する。
何とか名前だけは思い出したカイサは、世界樹の見守る町【ユグドラシア】に住む人々に受け入れられ、のんびりとした新生活が始まった。
しかし、たびたび巻き起こる事件に関わるうちに、記憶が呼び覚まされていき、全ての記憶が戻った時カイサは──
(兎に角、カイサがキーマンである事はどうしようもない。最悪、街が滅びかねないから現実逃避もしてられないし。)
フィータに救助されたのは昨日の話。
あの後、適当にお茶を飲んで原作と同じような話の流れにする事で、カイサに貸与えられる小屋を確保出来た。
何故か家具が完備してある良物件である。
「まあ先ずは時間を有効的に使っていかないとな。」
【フェアリアル】は初期のステータスが著しく低い。それはもう、ちょっと小突かれただけでHP全損で死亡するし、武器を数回振るだけでも死亡する。
武器に関して正確に言えば、行動力を示す“AP”を、武器を振る・魔法を使うなどの行動で消費するのだ。そしてAPが尽きると、10倍近くのHPを代わりに消費する事で無理矢理にでも行動する事ができるが、結果的にHPが全損する事になる。
ゲーム内では、APが“マナ”とか呼ばれていた。
「レベル上げとスキルアップを優先するべきか、装備を優先するべきか…。」
ステータスを上げるには、単純にレベル上げる方法と農業や釣り、歩行や睡眠成長などの各種スキルをスキルアップする方法がある。
レベル上げやスキルアップを効率的に行うならば強力な装備が必要になり、強力な装備を得るためには相応のスキルレベルが必要だ。
「クソ、【フェアリアル】はこれが楽しいんだよなぁ!街中で安全にスキルアップするのが無難ではあるけど…【微風の森】だったら即突撃してもクリア出来るし、ササっと行くか。」
本来なら、街の住民へ挨拶回りする事、釣りや農業のチュートリアルを受ける事が強制されゲーム内時間で一日拘束をされるのだが、周回プレイ用のためかスキップする事も可能だ。
スキップの条件は簡単で、他に寄り道せずに真っ直ぐ街の出入り口へ行く事。住民に一度でも話しかけるたり、自宅以外の建物に入ったりするとアウトだ。強制チュートリアルが行われる。
「ま、覚悟を決めるしかないよな。」
緊張で僅かに震える拳を揉みほぐし、深呼吸。
昨日、1人の時間が取れた後に色々と考えて実験も行った。
先ずは、夢や妄想と言った都合の良い解釈はせず、ゲームの世界に転生したつもりで行動する事を方針とした。夢なら夢で、現実として【フェアリアル】をプレイすれば良いだけだしな。
次に、システム関連の実験。元々は3人称視点のゲームだが、現在は1人称視点になっている。
しかし、システム周辺は殆ど変化が無いようで、違和感無く使えそうだ。もちろん、“メニュー画面中は時間が止まる”ようなものは起こらなかったが、ショートカット関連は設定出来た。
ちなみに、メニュー画面が目の前に開くわけじゃないしコントローラーで動いているわけでもないからボタン入力も当然出来ない。
不思議な感覚だが、“テレビ画面に映ったメニューをコントローラーで操作する”というのを頭の中で行なっている感じだ。
それから、仮説。
帰る方法に心当たりは無いが、死亡に関してはあまり気にする必要が無いのではないか、という内容だ。
このゲームでは、HPが全損すると街の病院で目覚める事になる。プレイヤー的には死と表現するものの、ゲーム的には気絶に相当するのではなかろうか。
気をつけるべきは、HP全損で“ゲームオーバー”となるタイミングのみで、特定のイベントのみでしか存在しない。
普段はかなり無理をしても問題ない……はずだ。
「その特定のイベントが詰みかねないポイントなんだよなぁ。回避不能のイベントだし。」
普通にストーリー優先で進めれば初見攻略も不可能ではない、くらいの難易度なのだが、牧場ゲームでストーリー優先での攻略を初見で求めるのは…正直コンセプトがブレていると思う。
寄り道はNG、とまでは言えないが、あまり悠長にしている暇がない。
「さてと、【微風の森】攻略における最初の敵を倒しますかね。」
なんだかんだで街の出入り口に辿り着いたところで、身体の向きを街の中にくるりと反転する。
「止まれ、旅人。お前は外に出るにはまだ早い。引き返す事を勧める。」
「いらない。」
「どうしても、と言うなら私が護衛に付く……いや待て、今何と言った?」
「外には出るけど、護衛は必要ないから。」
最初の敵、騎士マール。
趣味で騎士のコスプレをして自警団の真似事をしている、騎士とは何も関係ない少女だ。
戦力としては申し分無いのだが、モンスターを見るとすぐに突っ込んでいくバトルジャンキーで、効率良く攻略するなら選択肢には入らない。
「ティータ様から話は聞いている。流石に無手のお前を街の外に出したとあれば私が怒られるからな。悪いが行かせるわけにはいかない。」
「無手?武器ならほら、ちゃんと持っているから。」
「いつの間に……。」
メニューのショートカットから取り出したショートソードを見せる。
このイベントは一種のチュートリアルだ。かの有名な、“武器は装備しないと使えないぞ”っていうやつ。
返答とは関係なく、ここで武器を装備していないと装備方法をレクチャーしてくれる上に街に戻ってくるまで強制護衛となる。
ここで強制護衛を受けてしまうと、一定時間の経過か【微風の森】のボス戦前で街に戻されて、微ロスに繋がる(2敗)。
「じゃ、そう言う事で。」
「あ、こら待て!」
必要な過程はちゃんと踏んだ事だし、長居は無用だ。街の外へ向かって、移動速度が早いステップを繰り返す。
ゲーム時代と違って効果音は無いものの、走るのとは比べ物にならないスピードで飛び出した。
【微風の森】最初の関門を無事に突破!
ゲーム開始直後、空からカイサが落下するシーンから始まり、救助された後は記憶喪失である事が判明する。
何とか名前だけは思い出したカイサは、世界樹の見守る町【ユグドラシア】に住む人々に受け入れられ、のんびりとした新生活が始まった。
しかし、たびたび巻き起こる事件に関わるうちに、記憶が呼び覚まされていき、全ての記憶が戻った時カイサは──
(兎に角、カイサがキーマンである事はどうしようもない。最悪、街が滅びかねないから現実逃避もしてられないし。)
フィータに救助されたのは昨日の話。
あの後、適当にお茶を飲んで原作と同じような話の流れにする事で、カイサに貸与えられる小屋を確保出来た。
何故か家具が完備してある良物件である。
「まあ先ずは時間を有効的に使っていかないとな。」
【フェアリアル】は初期のステータスが著しく低い。それはもう、ちょっと小突かれただけでHP全損で死亡するし、武器を数回振るだけでも死亡する。
武器に関して正確に言えば、行動力を示す“AP”を、武器を振る・魔法を使うなどの行動で消費するのだ。そしてAPが尽きると、10倍近くのHPを代わりに消費する事で無理矢理にでも行動する事ができるが、結果的にHPが全損する事になる。
ゲーム内では、APが“マナ”とか呼ばれていた。
「レベル上げとスキルアップを優先するべきか、装備を優先するべきか…。」
ステータスを上げるには、単純にレベル上げる方法と農業や釣り、歩行や睡眠成長などの各種スキルをスキルアップする方法がある。
レベル上げやスキルアップを効率的に行うならば強力な装備が必要になり、強力な装備を得るためには相応のスキルレベルが必要だ。
「クソ、【フェアリアル】はこれが楽しいんだよなぁ!街中で安全にスキルアップするのが無難ではあるけど…【微風の森】だったら即突撃してもクリア出来るし、ササっと行くか。」
本来なら、街の住民へ挨拶回りする事、釣りや農業のチュートリアルを受ける事が強制されゲーム内時間で一日拘束をされるのだが、周回プレイ用のためかスキップする事も可能だ。
スキップの条件は簡単で、他に寄り道せずに真っ直ぐ街の出入り口へ行く事。住民に一度でも話しかけるたり、自宅以外の建物に入ったりするとアウトだ。強制チュートリアルが行われる。
「ま、覚悟を決めるしかないよな。」
緊張で僅かに震える拳を揉みほぐし、深呼吸。
昨日、1人の時間が取れた後に色々と考えて実験も行った。
先ずは、夢や妄想と言った都合の良い解釈はせず、ゲームの世界に転生したつもりで行動する事を方針とした。夢なら夢で、現実として【フェアリアル】をプレイすれば良いだけだしな。
次に、システム関連の実験。元々は3人称視点のゲームだが、現在は1人称視点になっている。
しかし、システム周辺は殆ど変化が無いようで、違和感無く使えそうだ。もちろん、“メニュー画面中は時間が止まる”ようなものは起こらなかったが、ショートカット関連は設定出来た。
ちなみに、メニュー画面が目の前に開くわけじゃないしコントローラーで動いているわけでもないからボタン入力も当然出来ない。
不思議な感覚だが、“テレビ画面に映ったメニューをコントローラーで操作する”というのを頭の中で行なっている感じだ。
それから、仮説。
帰る方法に心当たりは無いが、死亡に関してはあまり気にする必要が無いのではないか、という内容だ。
このゲームでは、HPが全損すると街の病院で目覚める事になる。プレイヤー的には死と表現するものの、ゲーム的には気絶に相当するのではなかろうか。
気をつけるべきは、HP全損で“ゲームオーバー”となるタイミングのみで、特定のイベントのみでしか存在しない。
普段はかなり無理をしても問題ない……はずだ。
「その特定のイベントが詰みかねないポイントなんだよなぁ。回避不能のイベントだし。」
普通にストーリー優先で進めれば初見攻略も不可能ではない、くらいの難易度なのだが、牧場ゲームでストーリー優先での攻略を初見で求めるのは…正直コンセプトがブレていると思う。
寄り道はNG、とまでは言えないが、あまり悠長にしている暇がない。
「さてと、【微風の森】攻略における最初の敵を倒しますかね。」
なんだかんだで街の出入り口に辿り着いたところで、身体の向きを街の中にくるりと反転する。
「止まれ、旅人。お前は外に出るにはまだ早い。引き返す事を勧める。」
「いらない。」
「どうしても、と言うなら私が護衛に付く……いや待て、今何と言った?」
「外には出るけど、護衛は必要ないから。」
最初の敵、騎士マール。
趣味で騎士のコスプレをして自警団の真似事をしている、騎士とは何も関係ない少女だ。
戦力としては申し分無いのだが、モンスターを見るとすぐに突っ込んでいくバトルジャンキーで、効率良く攻略するなら選択肢には入らない。
「ティータ様から話は聞いている。流石に無手のお前を街の外に出したとあれば私が怒られるからな。悪いが行かせるわけにはいかない。」
「無手?武器ならほら、ちゃんと持っているから。」
「いつの間に……。」
メニューのショートカットから取り出したショートソードを見せる。
このイベントは一種のチュートリアルだ。かの有名な、“武器は装備しないと使えないぞ”っていうやつ。
返答とは関係なく、ここで武器を装備していないと装備方法をレクチャーしてくれる上に街に戻ってくるまで強制護衛となる。
ここで強制護衛を受けてしまうと、一定時間の経過か【微風の森】のボス戦前で街に戻されて、微ロスに繋がる(2敗)。
「じゃ、そう言う事で。」
「あ、こら待て!」
必要な過程はちゃんと踏んだ事だし、長居は無用だ。街の外へ向かって、移動速度が早いステップを繰り返す。
ゲーム時代と違って効果音は無いものの、走るのとは比べ物にならないスピードで飛び出した。
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