女子高生達と俺

saikororo

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二日目

♯4

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酷い悪夢を見た気がする。

原因は明らかで、目を開けた先の二つの顔のせいである。

二人共に昨日知り合ったばかりの筈なのだが、距離感が酷く近い。

女子高生と知り合いたい、等と言いながらも、根付いた一般常識が完全に枯れる事はない。

俺の何を気に入ったかは分からないが、この距離感がそれを現しているとすれば、昨日の俺はきっと凄かったのだろう。

援助交際で性行為をしない。

そんな簡単で当たり前な事で好かれてもと思う。

凄かった部分が他にあったと思いたいのは傲慢なんだろうか。

「おはよう。とりあえず離れろ」

二人の肩を押し離す。

彼女と猫は挨拶も返さず、ねばつく笑みを浮かべながら台所に向かった。

そこから漂う食事の香りに胃が収縮する。

帰ろう。朝飯を頂きしだい帰ろう。

洗面台を借りて顔を洗い、朝食を三人で囲み、それが終わるまで。

ずっそそう決めていた。

「今日、島田さんの家に行くから」

そう言われ、よく見れば二人とも化粧も済ませている状態。お出掛け前の身形だった。

「いや、一人で帰る。もう援助交際は終わりだ」

「うん。それは同感」

素直に頷く彼女。まぁ、当然続きがあるのだが。

「島田さんは女子高生と知り合いたいと思い至って行動に出たんですよね」

「そうだ」

「うん。でも今はこう思っている筈。いや、思うべきです。継続的に会える関係になりたい、と」

「いや、あの時の気持ちに委ねたのは確かだけれど、理性と常識を手放すつもりはない」

「女子高生と友人になるのは非常識だと?」

「違う。してないとは言え援助交際は援助交際。そこからの付き合いは店と客。友人にはならんだろう」

「なら、昨日のお金を返します」

「そんな問題ではなくだな」

「なら、今朝撮った写真を然るべき場所に提出します」

「・・・見せてみろ」

水掛け論はそれで終戦を迎えた。

下半身を露出し、そこに彼女の顔を強引に擦り付けている様に見える。

そんな弾丸級の一枚だった。   
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