女子高生達と俺

saikororo

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二日目

♯5

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顎か腹部を殴打。

相手が怯んだ隙に携帯を奪取、もしくは破壊し画像データを抹消。

個人情報流出はしていない。後は逃走し外出は極力避ける。

現状からの脱出は難しくはない。

性別の差による基本的筋力の差もあるし、年齢もそうだ。

ただ、それはしない。

女性への暴力もそうだが、未成年へ自ら接触した負い目。

何より彼女達二人は愛らしく魅力的であり、偶発的に出来た関係とは言え、失うには惜しいと思っているからだ。

高校生と友人。

甘美な響きだと思ってしまった。

これから生涯を社会人として歩み続けるのだから、常識や概念から解き放つ時間があっても良いと思う。

そう自分に刷り込みながら、自宅へ二人を案内した。

全身から吹き出て止まない汗は、きっと夏だけが原因ではないのだろう。

「なんかイメージ通りだね」

「うん」

二人がどんなイメージを持っていたかは容易に予想が出来る。

物が少なく、彩りがない。

男一人での暮らしに必要な物は調理器具のみ。旨いものを腹に入れれば他には何もいらない。

俺の叔父が言っていて、それに俺は感銘を受けていた。

「いいんだよ、これで」

「・・・ふーん。でもこの部屋は凝ってますね。ベッドもキングサイズだ」

「あ、おい。寝室は見るな」

彼女達が無断で覗いた襖で仕切ったもう一間は、自分の聖域だった。

「・・・なんか、えっちだね」

「卑猥」

寝具は一流の物を揃えた。

照明からティッシュケースまでも。

俺は島耕作に憧れている。彼が女性と夜を過ごす度に心が踊った。

この部屋は、そんな男に似合う様に勝手にイメージした、男の聖域なのだ。

普段は居間に布団を敷いて寝る程に大切にしている空間だ。いつかこの部屋に似合う男になりたいと日々思っている。

「・・・お茶くらい出すよ。居間で待ってろ」

「あ、その前に脱衣所借りていいですか?」

「・・・構わんが」

脱衣所に引っ込む彼女達。

嫌な予感がしたが、今は気にせずお茶の準備をする事にした。どうせ止められないしな。
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