女子高生達と俺

saikororo

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二日目

♯11

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明日は五時集合。

それを理由に早めの解散を申し出て、それが了承された事に安堵した。

女子高生達の起こす激流に流されている。その最中は気はしないのだが、ふとした時に疲労がやってくる。

平凡を良しとして来た自分には免疫がなかった。

さっさと帰って眠ろう。

旅行何て何年ぶりだろうか。彼女達を抜きにしても普通に楽しめそうだ。

体力と鋭気を養う。それだけを考えていた。様は気を抜いていたんだ。

だから、その光景には驚いた。

他の二人と一緒に電車に乗っている筈の麦が、俺の部屋の前にいた。

「おかえり」

とは言っても、驚いたのは少しの間だけで。

まだ終電までにはかなりの余裕がある。嫌な気分にさせない程度に言いくるめて帰らそうとした。

・・・したのだけれど。

扉の前で座り込んだ麦の露出した肌に玉の汗が浮かんでいるのを見て、そんな気が失せていった。

麦の内面やらは、今一理解できなかったが、なんとなく話をしようかなと思ってしまった。

「・・・部屋、入るか?」

「・・・いいの?」

「今回はうん!じゃないんだな」

「・・・えへへ」

照れ笑う麦を部屋に入れる。

お茶を勧めたが断られ、テーブルを挟んで二人で座った。

ファミレスでの明るさが消え、大人しそうな顔を見せる麦になんて声を掛けていいか悩んだ。

だから待つ事にした。

それがどれ位の時間だったのか覚えていないが、そんな事は些細な事で。

それからどれ位の時間、話を聞いていたかなんてのも些細な事で。

重要なのは、麦の口から紡がれた言葉の羅列と、帰り際の玄関先でのくしゃっとした顔だった。

それは独白だった。

「私達ね、夏が終わったら死ぬんだ」
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