タイムパラドックス

kinmokusei

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恋の始まりはいつも突然

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あたしはよく大人から大きくなったら美人さんになるね、とか言われる。

初恋は小学2年生の時。

淡い初恋でよく冷やかされたりした。

それが嫌であたしの初恋は終わりを迎えた。

小学5年になり、ほぼ恋とはかけ離れ女の子たちと遊ぶのが楽しかった。

そんな時だった。

小学校へ向かう通学路で遅刻しそうになり急いでいたあたしと歳上の男の人とぶつかった。

その男の人はあたしがランドセルを背負っているのを見て、、、

「ごめんね!今急いでいるから怪我が酷かったらここに連絡して!」

そこには名前がふりがな付きで書かれてあり、携帯番号も書かれてあった。

(そんな大変な傷じゃないのに、、、)

そう思いその男の顔を見た瞬間、あたしはその整った顔立ちにあたまが真っ白になった。

(なんてかっこいいんだろう。)

髪の色は真っ暗だが、おしゃれ。

髪をワックスか何かで逆立てている。

目鼻立ちも良く、薄い唇はピンク色をしていた。

「じゃあごめんね!またね!」

あたしは渡された紙を持ちながら数分動けなかった。

そんなこんなで学校には遅刻してしまったけど。

そんなことどうでもいい。

あたしは紙を見つめながらニヤついてしまう。

なかおかあきとき。

珍しい名前だ。

完全なる一目惚れ。

携帯番号が書かれてあるけど、あたし携帯持ってないし。

そんな酷い怪我じゃないから電話するのもなんか悪い。

今日はいつもより遅く家を出たから会えたのかもしれない。

(明日もまた会えるように遅く出ようかなぁ。)

会えたらいいな。



しかし。

秋時とはあれ以来全く会えなかった。






そんなこんなで2週間が経った。

(現実はこんなものか)

秋時、、、。

どんな顔してたっけ?

かっこよかったことは覚えているけど。

彼の顔は靄がかかったかのように思い出せない。

あんなにときめく想いをしたのは初めてだったのに。

現実はこんなもの。

彼の携帯に電話をかけることも考えたが、できなかった。

そもそもあたしは小学生。

彼は高校生くらいだったから、相手にされる訳もないのだ。

学校が終わり帰り道。

あんなに心躍らせていた自分が滑稽に思えた。


みんなと別れ、1人家へ帰る途中にガソリンスタンドがある。

いつもと同じ帰り道だ。

と。

あれ?

なんかガス臭い気がしたが、気のせいだろうとあたしはとぼとぼ1人歩いていた。

すると。

「危ない!!」

急に抱きついてきた人がいたと思ったその直後。

激しい音と共に熱い熱風に弾き飛ばされた。

え?

え?

何、、、?

視界に入るのは真っ暗な暗闇で、なんでこんなに暗いんだろうなどと考えて、でもあたしを抱きしめている人も風圧に耐えきれずあたしを仕切りに離さないようにしていたが、最後は力尽きてあたしを放してしまう。

暗闇の中あたしはおかしな事が起きている。

そんな事を考えた。

多分ガス臭かったからガソリンスタンドが爆発したのだろうとは思ったが、こんなに暗いのはおかしいからだ。

マンホールにでも落ちたのかとも思ったが、そんな感じじゃない。

あの人は大丈夫だろうかとも考えた。

やっと明るくなって、気がつくとあたしはガソリンスタンドの前で倒れていた。







あれ、、、?

ガソリンスタンドがある。

爆発したんじゃ、、、?

と。

「ひゃーっ!?」

あたしは自分の姿を見て素っ頓狂な声をあげた。

何これ!?

洋服がつんつるてん。

こころなしか、胸も大きくなっている。

あたし1人だよね?

こんな姿誰にも見せられない。

あたしを助けてくれた人はどうしたんだ?

とにかく着替えなきゃ!

助けてくれた人は気になったが、このままで会うことは出来ない。

すると。

「お嬢ちゃん。服をお探しかね?」

おどおどとして周りを気にするかのように現れたのは70くらいのおばあちゃんだった。

「これを着るといい。」

あたしはちょっと不審に思ったが、この姿のままでいるわけにもいかないので洋服を受け取りガソリンスタンドの中で着替えた。

でもまた自分の姿に驚き、眼を見張る。

(あたし、、、成長してる!?)

どうして?

あたしは慌てて外に出てみるとおばあちゃんはもうどこにもいなかった。

少しずつ時間が経つにつれて落ち着いてくると違和感を覚えた。

(人がいない。)

誰もいないのだ。

街並みは変わらないが、今の時間はこの道は人通りが多いはず。

家はある。

しかし、人のいる気配がない。

(なんなの?ここ。)

あたしの知っている町ではない。

とりあえずうちへ帰ろうか?

でもこんな姿だ。

途方に暮れていると。

今までいなかったのに1人の少年が横たわっていた。

あれ?

いつここに?

ついさっき見て違うところを見ている間、1分くらいしか目を離していなかったのに。




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