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宇宙閻魔界へ
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閻魔様の声?
確認する前にあたしたちは地獄の門番の前に立っていた。
「アース!ムーン!オータム!」
待っていたみんなの声で我にかえる。
「閻魔大王様の許しが出た。この道を行くといい。宇宙閻魔界へ続いている。」
最澄様が言った。
「あ、ありがとうございます!!」
生き地獄か。
気になるけど、今はサターンと美鈴さんのことを知らなきゃ!
「行きましょう!宇宙閻魔界へ。」
スプリングが言った。
あたしたちは最澄様の指指した道を進み始める。
「閻魔様ってどういう奴だった?」
サマーが気になっていた様子で聞いてきた。
「会ってはいない。声を聞いただけだ。」
秋時は素っ気なく答えた。
「地獄ってどんなところ?」
サマーは素っ気ない秋時にまたも質問する。
「料理する時はあんまり鍋は熱くしない方がいいな。と言っても俺たちが食べるのはレンスの実だけどな。」
「は?」
サマーの拍子抜けした顔は面白く、あたしは笑ってしまった。
*
「ずいぶんと長いトンネルだな、、、」
地球の地獄から戻り、最澄様に道を教えてもらって、歩き出してもう1時間は経っていた。
秋時を先頭にゾロゾロと歩く集団。
いつまでたってもトンネルをぬけられない。
「いっそのことこのトンネル、ぶっ壊すか?」
短気のサマーは真面目な顔で言った。
「やめなさいよ!サマーは、もう!!」
スプリングが言った。
「しかし、不気味だな。ムーンに感謝だ。月明かりがなければ歩けないところだった。このトンネルは暗すぎる。」
ウィンターはトンネルを見回して言った。
ムーンは5歳児のままの姿で杖で明かりを灯し続けている。
「ムーン?大丈夫?魔力の方は?」
あたしはムーンを見て言った。
「姿を大人にしてないから大丈夫だけど、もってあと1時間半ってとこだよ。」
「1時間半もあれば着くわよね。」
あたしは言ったが、この長いトンネルはそれから1時間半経ってもぬけられなかったのだった。
*
「そろそろやばいな。ムーン休もう。」
秋時がムーンに声をかける。
「まだ大丈夫だよ。」
ムーンは言うが、プルートが言った。
「ダメです。ムーン。少し休みましょう。あとそろそろわたくしたちもレンスの実を食べなければなりませんし。」
食べる、、、?
あたしとムーンと秋時は少し反応した。
レンスの実は食べるもの。
あの地球での地獄が、宇宙でも同じだとすれば、レンスの実は地獄の住人だ。
みんな普通に食べ出すが、あたしとムーンと秋時はなんとなく食がすすまない。
「どうしたのです?」
食のすすまないあたしとムーンと秋時を見てプルートは言った。
「レンスの実はなぜ食べ物なの?地獄の苦しみだよ。」
ムーンは涙を流す。
「よく分かりませんが、食べなければわたくしたちが消滅してしまいます。宇宙地獄とその食べられるために生まれてしまったレンスの実は何か関係があるのかもしれませんね。」
プルートは優しく言った。
*
「どういうことですか?」
プルートの言葉にウラヌスが質問をする。
みんなまだレンスの実に口をつけていない。
「食べ物は地獄の住人なんだ!!」
ムーンは泣きじゃくりながら言った。
ムーンの言葉にみんなキョトンとする。
あたしと秋時とプルート以外は。
「俺は食べない。食欲がないからな。」
秋時が言い、あたしもうなずく。
「あたしもいいわ。」
「僕も食べない!!」
ムーンも言った。
「でも、、、食べないとわたくしたちは消滅してしまうわよ?」
ネプチューンは言った。
「それならばそれもいいだろう。」
秋時は言う。
あたしも覚悟を決める。
それはムーンも同じようだった。
「それなら俺も食べない。」
ウィンターが言った。
スプリングも静かにレンスの実を地面に置く。
ジュピターもマーズもマーキュリーもビーナスも同じだった。
「消滅の期限は3日です。いいのですか?」
プルートがみんなに言った。
*
「へー。地獄って食べ物に生まれ変わることなのか。」
ムーンが泣きべそをかきながら説明した後で、サマーが言った。
あれから3時間。
ムーンは地球で見た地獄の様子を語ったのだ。
秋時は何も言わないし、他のみんなも少し納得がいったようだった。
「確かに食べられるために生まれるってちょっとかわいそうよね?不公平っていうか、、、。でも、地獄の住人なら分かるかもしれない。」
スプリングはうつむいた。
「プルート様は知っていたのですか?」
ウラヌスがプルートに聞いた。
「えぇ。確かではなかったけれど、プルートとして生まれ変わった時に前プルートに聞きました。ずいぶん昔の話ですが。」
「消滅ともなるとわたしたちも地獄に堕ちるのでしょうね?」
ジュピターはため息をつく。
「だけど!!僕たちは神だ!知っていながら食べる訳にはいかないだろ?」
ムーンは大声で言って、また泣き出した。
*
「でも、わたくしは食べました。地獄の住人は、それ相応の罰を受けなければ天国には行けません。ムーン、そしてみなさんどうしますか?」
みんな黙り込む。
「わたくしたちは地獄の住人に、天国への道しるべを灯すのです。さぁ。どうしますか?」
プルートはみんなを見て言った。
「本当に天国へ行けるの?」
あたしは聞いてみた。
「それはその地獄の住人の頑張り次第です。食べ物を食べ、罪深いことをすれば、わたくしたちも地獄へ堕ちるでしょう。しかし、地獄が怖いから食べないというのは、それこそ地獄行きなのです。前プルートが言っていました。」
ムーンは少しびっくりした顔をした。
「僕、、、。地獄の住人のためとか言いながら自分が地獄へ堕ちるのがこわかったんだ。僕食べるよ。レンスの実。」
「そうね。あたしもそう。地獄の住人がすごく苦しそうにしていたから、怖くて。でも、それじゃダメなのよね?」
あたしもレンスの実を手に取る。
そしてみんなレンスの実を食べ出した。
確認する前にあたしたちは地獄の門番の前に立っていた。
「アース!ムーン!オータム!」
待っていたみんなの声で我にかえる。
「閻魔大王様の許しが出た。この道を行くといい。宇宙閻魔界へ続いている。」
最澄様が言った。
「あ、ありがとうございます!!」
生き地獄か。
気になるけど、今はサターンと美鈴さんのことを知らなきゃ!
「行きましょう!宇宙閻魔界へ。」
スプリングが言った。
あたしたちは最澄様の指指した道を進み始める。
「閻魔様ってどういう奴だった?」
サマーが気になっていた様子で聞いてきた。
「会ってはいない。声を聞いただけだ。」
秋時は素っ気なく答えた。
「地獄ってどんなところ?」
サマーは素っ気ない秋時にまたも質問する。
「料理する時はあんまり鍋は熱くしない方がいいな。と言っても俺たちが食べるのはレンスの実だけどな。」
「は?」
サマーの拍子抜けした顔は面白く、あたしは笑ってしまった。
*
「ずいぶんと長いトンネルだな、、、」
地球の地獄から戻り、最澄様に道を教えてもらって、歩き出してもう1時間は経っていた。
秋時を先頭にゾロゾロと歩く集団。
いつまでたってもトンネルをぬけられない。
「いっそのことこのトンネル、ぶっ壊すか?」
短気のサマーは真面目な顔で言った。
「やめなさいよ!サマーは、もう!!」
スプリングが言った。
「しかし、不気味だな。ムーンに感謝だ。月明かりがなければ歩けないところだった。このトンネルは暗すぎる。」
ウィンターはトンネルを見回して言った。
ムーンは5歳児のままの姿で杖で明かりを灯し続けている。
「ムーン?大丈夫?魔力の方は?」
あたしはムーンを見て言った。
「姿を大人にしてないから大丈夫だけど、もってあと1時間半ってとこだよ。」
「1時間半もあれば着くわよね。」
あたしは言ったが、この長いトンネルはそれから1時間半経ってもぬけられなかったのだった。
*
「そろそろやばいな。ムーン休もう。」
秋時がムーンに声をかける。
「まだ大丈夫だよ。」
ムーンは言うが、プルートが言った。
「ダメです。ムーン。少し休みましょう。あとそろそろわたくしたちもレンスの実を食べなければなりませんし。」
食べる、、、?
あたしとムーンと秋時は少し反応した。
レンスの実は食べるもの。
あの地球での地獄が、宇宙でも同じだとすれば、レンスの実は地獄の住人だ。
みんな普通に食べ出すが、あたしとムーンと秋時はなんとなく食がすすまない。
「どうしたのです?」
食のすすまないあたしとムーンと秋時を見てプルートは言った。
「レンスの実はなぜ食べ物なの?地獄の苦しみだよ。」
ムーンは涙を流す。
「よく分かりませんが、食べなければわたくしたちが消滅してしまいます。宇宙地獄とその食べられるために生まれてしまったレンスの実は何か関係があるのかもしれませんね。」
プルートは優しく言った。
*
「どういうことですか?」
プルートの言葉にウラヌスが質問をする。
みんなまだレンスの実に口をつけていない。
「食べ物は地獄の住人なんだ!!」
ムーンは泣きじゃくりながら言った。
ムーンの言葉にみんなキョトンとする。
あたしと秋時とプルート以外は。
「俺は食べない。食欲がないからな。」
秋時が言い、あたしもうなずく。
「あたしもいいわ。」
「僕も食べない!!」
ムーンも言った。
「でも、、、食べないとわたくしたちは消滅してしまうわよ?」
ネプチューンは言った。
「それならばそれもいいだろう。」
秋時は言う。
あたしも覚悟を決める。
それはムーンも同じようだった。
「それなら俺も食べない。」
ウィンターが言った。
スプリングも静かにレンスの実を地面に置く。
ジュピターもマーズもマーキュリーもビーナスも同じだった。
「消滅の期限は3日です。いいのですか?」
プルートがみんなに言った。
*
「へー。地獄って食べ物に生まれ変わることなのか。」
ムーンが泣きべそをかきながら説明した後で、サマーが言った。
あれから3時間。
ムーンは地球で見た地獄の様子を語ったのだ。
秋時は何も言わないし、他のみんなも少し納得がいったようだった。
「確かに食べられるために生まれるってちょっとかわいそうよね?不公平っていうか、、、。でも、地獄の住人なら分かるかもしれない。」
スプリングはうつむいた。
「プルート様は知っていたのですか?」
ウラヌスがプルートに聞いた。
「えぇ。確かではなかったけれど、プルートとして生まれ変わった時に前プルートに聞きました。ずいぶん昔の話ですが。」
「消滅ともなるとわたしたちも地獄に堕ちるのでしょうね?」
ジュピターはため息をつく。
「だけど!!僕たちは神だ!知っていながら食べる訳にはいかないだろ?」
ムーンは大声で言って、また泣き出した。
*
「でも、わたくしは食べました。地獄の住人は、それ相応の罰を受けなければ天国には行けません。ムーン、そしてみなさんどうしますか?」
みんな黙り込む。
「わたくしたちは地獄の住人に、天国への道しるべを灯すのです。さぁ。どうしますか?」
プルートはみんなを見て言った。
「本当に天国へ行けるの?」
あたしは聞いてみた。
「それはその地獄の住人の頑張り次第です。食べ物を食べ、罪深いことをすれば、わたくしたちも地獄へ堕ちるでしょう。しかし、地獄が怖いから食べないというのは、それこそ地獄行きなのです。前プルートが言っていました。」
ムーンは少しびっくりした顔をした。
「僕、、、。地獄の住人のためとか言いながら自分が地獄へ堕ちるのがこわかったんだ。僕食べるよ。レンスの実。」
「そうね。あたしもそう。地獄の住人がすごく苦しそうにしていたから、怖くて。でも、それじゃダメなのよね?」
あたしもレンスの実を手に取る。
そしてみんなレンスの実を食べ出した。
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