タイムパラドックス

kinmokusei

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サターンの目

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アースと宇宙閻魔が消えてもう何時間かしら?


1人ほくそ笑むのはサターンである。


多分気づいたのね?


ムーンに仕掛けた罠。


でもお笑いだわ。


プルートがあんなガタガタじゃ、何も出来ないでしょうね。


美鈴とか言う奴のことはきになるけど、何も出来ないでしょ?


ムーンにつけた目はもう必要ないわね。


でもさすが宇宙閻魔だけあるわ。


あたしがつけた目に気づくなんて。


まぁ、仕方がないわね。


閻魔界も見れたし、ここからが面白いかもだけど、、、。


サターンは呪文を唱える。


これでいいわ。


サターンは甘く見ていた。


これから起こることが、サターンにとって果たしていいことなのか?


それは、サターン自身が決めることだが。


悪である、サターンと、善である美鈴さんが交わる時、聖剣エリシオンによって何が起こるか。


それはあたしにもわからないが。


サターンも被害者であることをあたしは知ったのである。





「痛っ!」

急に声をあげたのはムーンだった。


「どうし、、、!?」


ウラヌスは言葉をムーンにかけて、ムーンの左手を見て驚く。


「それは、、、?血が出ているじゃないですか?!」


ムーンの左手から血が滴っている。


「う、うん。あれ?消えた、、、?」


ムーンは不思議そうに左手を見る。


「貸せ!」


秋時はムーンの左手を見る。


「何もしないで血が出るなんてないはずだ。消えたと言ったな?何があった?」


「何ってたいしたことじゃないよ。ただ、、、」


「ただなんだ?」


秋時はムーンの左手を強く握って離さない。


「痛いよ!」


ムーンは言った。


「秋時様。まずは治療をしないと。」


ネプチューンがすかさず間に入って言った。




その頃あたしはと言うと。


「ムーンについていた目が消えたな。」


え?


宇宙閻魔の言葉にあたしは驚く。


「じゃあ、もう平気ね?みんなの元へ戻りたいんだけれど?」


そうあたしが言うと、宇宙閻魔はひどくうろたえたのであった。






(そろそろ行かねば、、、。)

プルートはそう焦りながら、こぼれ落ちる涙を何度も手でぬぐった。

今は大事な時なのに。

何故涙が溢れるのか分からない。


と。


『ふふふ。プルートの弱点みーけっ!』


突然、直接頭に語りかけかけてくるものがいた。


プルートはすぐ誰だか分かった。


「サターン?!」


そう。

サターンであった。


『涙の理由教えてあげてもいいわよ?』


サターンは何が楽しいのか、上機嫌だった。


「あなたに何が分かるというのです?」


『じゃあいい。教えてあげない。』


「何が知っているのですか?」


『えぇ。あたしは数百年ただ眠っていただけじゃないのよ?』


サターンはおかしそうに笑う。


「知っているなら教えていただきたいものですね?」


プルートはサターンの態度に少し苛立った。


『あら?それが人にものを頼む態度?」


どこまでも、サターンは悪であった。


『お願いしますと、土下座して頼むなら教えるわよ?ふふふ。』


(取り乱してはダメ。)


プルートは自分に言い聞かせた。





「普通、サターンのこと聞くだろうが。なんですぐ戻るなんて言うだよ!」


うろたえながら言うのは宇宙閻魔である。


(まったく往生際が悪いんだから)


あたしはため息をついた。


「きっと長い間あたしたちが戻らないから、気付いたと思って目を消したか何かでしょ?いい加減プルートがかわいそうよ!男なら覚悟を決めなさいよね!」


あたしは、宇宙閻魔に喝を入れた。




その頃、秋時たちは。


「ムーン?言ってみろ!何があった?」


「な、何って?ただ、手に模様が付いてて、消えただけだよ。」


「模様?」


「たいしたことじゃないよ!別に痛くもかゆくもなかったんだから!!」


「血が出てるのに痛くないのか?」


「もうやめましょう!」


割って入ったのは、ネプチューンだった。


「さ、ムーン?手を出して?」


優しく語りかけるネプチューンに、ムーンは少し戸惑う。


「僕は子供じゃない!!」


その態度に怒ったのは秋時だった。





「お前なー!!ネプチューンの気遣いがわからねーのか?そういうところが子供なんだよ!」


「うるさい!僕は子供じゃない!!」


秋時とムーンのやり合いはまさに子供の喧嘩だった。


ネプチューンは思う。


こんな時プルートがいてくれたらと。


ウラヌスも他のみんなもまとめていたのはやはり、プルートなのだ。


それにアース。


ムーンはアースのことを慕っているから。


いったい宇宙閻魔様はアースに何をしているのか?


女たらしのように見えたのは気のせいなのか?


ネプチューンはだんだん不安が増していった。




その頃プルートは。


『まーいっか。詳しくは知らないけどあの人、、、前プルートよ?』


え、、、?


プルートはサターンの言葉で小さな記憶の断片が思い出された。


「前プルート、、、?」


『ふふふ。今度会った時はもっと弱み攻撃してやるからねー。じゃ。』


前プルート?


プルートは忘れていた記憶を思い出した。






その頃サターンは。


「ちょっと惜しいことをしたかしら?」


独り言を呟く。


なぜなら、サターンにはさっぱり分からなかったからだ。


何故プルートがあんなに動揺したのかが。


サターンは数百年の間寝ていた。


記憶なんてある訳ない。


つまり、プルートと前プルートの間に何があったかなんてさっぱりわからないのだ。


前プルートとプルートに言えたのは、一枚の絵が戸棚にあったからだった。


ムーンの手に隠した目から見た時どこかで見た顔だと思い出し、一枚の絵を見つけ出した。


サターンは昔から絵が得意である。


前サターンが描いたのであろうか?


そこには前プルート、と書かれてある。


(もう少し揺さぶりをかけないと分からないわね。新たな弱み。ふふふ。楽しくなりそう。)


あの動揺ぶりからしてただの知り合いではなさそうだと言うことはサターンにも一目瞭然だった。


宇宙閻魔がサターンの目を警戒して離れたのは良かったのかもしれない。


後であたしはそのことを知るのであった。




「いい加減みんなのところに戻りたいんだけど?」


あたしは宇宙閻魔を睨む。


「お前ちょっと態度デカイぞ?俺は宇宙閻魔なんだからな?それ分かって言ってるのか?」


宇宙閻魔はいなおった。


「お前はここにいろ。俺は戻る」


「えっ?なんでよ?」


「お前は俺を怒らせた。だからお説教部屋行きだ。」


うわっ!


まさかの逆ギレ。


でもあたしにはそれだけではないことがわかる。


プルートとのこと知られて恥ずかしいんだ。


「おい!」


その一声で鬼が2人やってきた。


「こいつを説教部屋に連れていけ!」


冗談じゃない。


あたしは死んだけど、生き返って、、、って?


あれ?


あたし、今死んでるの?生きてるの?


自分で混乱してしまった。


「待ってよ!悪かったわよ!謝るから!」


宇宙閻魔は振り向かない。


鬼たち2人に腕をつかまれるあたし。


「ちょっ!離してよ!こら!宇宙閻魔!後で覚えておきなさいよー!!」


果たして後があるのか分からなかったが、あたしはそんな捨てゼリフをはいて連れて行かれたのだった。






(前プルート様、、、。)


その頃プルートは全てを思い出していた。


かつて愛した前プルートのことを。


必ず会いに行く、、、。


そんな約束をしたことも。


前プルートが宇宙閻魔様になることが決まって、あたしの記憶は消された。


いつのまにか涙は止まっていた。


(前プルート様の記憶も消されているのだろうか?)


ふとそんなことが頭をよぎったが、それはないと思い直した。


なぜならプルートの記憶を消したのは前プルートだからだ。


プルート自身が頼んだのだ。


離れるのが辛くて、記憶を消してとわがままを言った。


前プルートの笑顔が目に焼き付いている。


必ず思い出す。


そんな約束をして。


「戻らなければ、、、」


プルートの心は揺れ動いている。


前プルートがまだプルート自身を想っているとは限らないけど。


あの眼差しでまだプルートを包み込んで欲しいと思っていた。


「前プルート様、、、やっと会えた、、、」


プルートはポツリと呟いた。





「やぁ、お待たせ。」


宇宙閻魔はみんなのもとへ戻った。


みんなの視線が宇宙閻魔に向けられる。


「きさまー!奈津はどうした?!」


「そうだよ!アース様をどこへやったんだよ!」


秋時もムーンもケンカごしだ。


「うるさいな。俺は宇宙閻魔だぞ?アースも生意気だからちょっとお灸をすえているんだ。」


「お灸??」


ムーンがそう聞き返すと、宇宙閻魔は言った。


「だいたいお前のせいなんだ。サターンに目を付けられたの分からなかったのか?」


「え、、、?」


ムーンはまた聞き返した。


「その左手からサターンはお前たちのことを監視していたんだよ。」


「なんだって?本当か?」


そう秋時は言い、ムーンは傷ついた左手を見た。


すると。


「それは本当ですか?宇宙閻魔様?」


プルートが戻って来た。


「あぁ。そうだよ。」


宇宙閻魔はニッコリとポーカーフェイス。


あたしがいたらこんなに落ち着いた対応はできなかっただろう。


宇宙閻魔とプルートの視線がぶつかった。






宇宙閻魔はスッとプルートから視線をそらすと、話し出した。


「君たちが聞きたいのはサターンと美鈴のことだと、アースに聞いた。」


プルートは宇宙閻魔をただ見つめる。


「単刀直入に言うとサターンと美鈴は2人で1人の存在だ。そして美鈴は太陽神サンのところにいる。」


「えっ?美鈴は生きているのか?!」


秋時は大声をだして言った。


「まったく。アースと同じ反応だな。サターンに聞かせる訳にはいかなかったので、アースだけ呼んだんだ。サターンの目が消えた今話すがね。」


「俺たちはどうしたらいい?」


ウィンターが言った。


「決まってるだろ!太陽神サンのところに行くだけだ!!」


秋時はそう言うが。


「まぁ待て。サターンと美鈴は2人で1人と言っただろ?どうしてそんなことになったか、そして2人が会ったらどうなるか、知りたくはないか?」


宇宙閻魔はプルートに視線を移す。


「知らなければなりませんね。」


プルートは言った。


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