現影少女

kinmokusei

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真実を映す鏡

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とりあえずあたしは奥の部屋に通された。

「ミリス。仮面とれよ。」

ジン王子が言った。

あたしは首を大きく横に振る。

「ミリス、、、。それじゃあ涙をぬぐってあげられない、、、。」

セクター王子も言う。

「いいんです。サーヤさんの言うことは本当のこと。あたしとアスカでは身分だけじゃなく、、、いえ、身分が違い過ぎますから。」

危うく本当のことを言いそうになってあたしは戸惑う。

身分だけじゃなく、種族も違うと。

「サーヤだって分からないものだよ。いきなり現れて、いきなりアスカが父上に紹介したんだからな。」

ジン王子はため息をつく。

「いきなり?」

あたしの心臓がドクンドクン鳴り出す。

「そう。ミリスとそう変わらない。ミリスに出会う2日くらい前だった。」

セクター王子も言う。

「とにかく仮面とれよ。」

あたしは戸惑う。

「いいから!とれ!」

「はい、、、。」

あたしは仮面を取る。

多分酷い顔をしているだろう。

「ミリス、、、お前何者だ?」

え。

前には大きな鏡。

鳩が二羽とユニコーンが映る。

「え?な、何?これは、、、!!」

あたしは動揺して、後ずさる。


「引っかかりましたわね?」

鳩が二羽逃げていく。

振り向くとそこにはサーヤさんがいた。





「その鏡は真実を映す鏡よ?あなたユニコーンだったのね?」

何が起こっているか、頭がついていかない。

真実を映す鏡?

ジン王子とセクター王子は鳩に変わっちゃうし。

あたしの正体バレちゃったし。

「パトラが教えてくれたのよ?変な人間がいるって。」

パトラ?

あの鳩??

「あなた、、、一体、、、?」

「あたしは魔法使いよ?ジンやセクターはいいとして、アスカが疑い深くてね。魔法をかけたの。」

なるほど。

動揺はしていたが、アスカがサーヤさんを選んだ理由が分かった。

「何のためにそんなこと、、、。」

「決まっているじゃない?この王国をあたしの王国にするためよ。」

なっ、、、!!

「それなのにあなたがやって来た。はっきり言って邪魔!とっとと帰りなさい!」

「そんなことはどうでもいい!ジン王子とセクター王子はどうしたの?みんなは?」

サーヤさんはあざ笑い言った。

「少しの間眠ってもらっているだけよ。それよりミリス?正体バラされたくないわよね?その姿、魔女に影を人間にしてもらっているようね?」

魔女と魔法使いって違うのかしら?

もしユニコーンに戻されちゃったら、、、。

「残念だけどあたしはあなたを元に戻すことができないのよ。正体バラされたくなかったらみんなにはあたしのこと言ったらダメよ?」

ポンっ。

真実を映す鏡が消える。

ホッとしたような、、、。

でも!

どうしよう!!





王国を自分の物にする?

そんなのダメ!!

「なんでそんなこと、、、?」

「魔法使い界にもどるためだ!どうだ?凄いだろ?」

え?

パトラが喋った。

「パトラ!」

サーヤさんはパトラの言葉を遮るが。

「サーヤはヘッポコ魔法使いだ!どうだ?凄いだろ?」

は?

「失敗ばかりして魔法使い界を追放されたんだ!どうだ?凄いだろ?」

あの、、、?

自慢してるけど、自慢になってない、、、。

「魔法使い界に帰るには大きな成功が必要なの!!」

真っ赤な顔して言うサーヤさん。

「あの、、、?王国をどうやって自分の物にするんでしょう、、、?」

あたしはちょっと気が抜けてしまった。

「そ、それは今考えているところよ!!」

「使える魔法は眠らせることと催眠術をかけることだけだ!!どうだ?凄いだろ?」

パトラは自信満々に言う。

しかし。

やっぱり自慢になってない。

「空もまともに飛べないんだ!!どうだ?凄いだろ?」

あたしは思った。

この王国は大丈夫だろう。

それに。

「王国を自分の物にしても悪い印象与えるだけだと、、、。」

「食べるものがなかったのよ!」

「はらぺこだったんだ!どうだ?凄いだろ?」

ヘッポコ魔法使いサーヤ。

そしてパトラ。

あたしはなんだか笑ってしまった。






「何笑っているのよ!」

「いや、だって。」

あたしは笑いが止まらない。

「笑い過ぎよ!!」

サーヤさんも言っている間に笑い出した。


少ししてから。

「ミリスはなんで人間の姿にしてもらったの?」

「う、、、ん、、、。」

あたしは一部始終を話した。

なんだかサーヤさんが悪い魔法使いには見えなかったからかもしれない。

「そう。政略結婚は嫌よね!アスカが好きなのかー。あたしもひとりぼっちでさみしくてずいぶん嫌味な事言ってごめんね!」

「サーヤさん!あたしもごめんなさい。」

「サーヤでいいわよ。歳も変わらないし。」

え?


「あー!!今意外って顔したわね?」

「え、えぇ。もっと歳上かと思ってて。」

「失礼ね!あたしはまだ16よ!」

でもやはり歳上だった。

「そろそろ魔法が解けちゃうわ。」

「え?」

「あたしとパトラとミリス以外の皆んなの時間をとめてるのよ。」

え。

「そろそろ解けちゃう。」

「ヘッポコだからな。どうだ?凄いだろ?」

パトラは自慢するが、けなしてるよと思うあたし。

「ミリス。友達ね!安心して!あたしは好きな人いるから!」

サーヤは嬉しそうに笑った。






舞踏会場に戻ると。

「みんな止まっている、、、。」

「まだ解けてないのね?おかしいわね?」

え。

「何しろヘッポコ魔法使いだからな!どうだ?凄いだろ?」

解けなかったらヤバいんじゃ、、、?

「解く魔法の呪文みたいなものはないの?」

「あるにはあるんだけど、、、。」

「じゃあその呪文を、、、。」

サーヤは動揺している。

「おいら本当は黒猫だったんだ。サーヤに魔法で鳩に変えられて戻れなくなった。呪文はやめた方がいいと思う。どうだ?凄いだろ?」

パトラの言葉に少しめまいがした。

「解けるまで待ちましょうか、、、。」

あたしは呆れて言った。

「あたしの魔法はたまに効きすぎちゃうのよ。そのうち解けるわ!」

サーヤは明らかに動揺している。

なんか不安しかないんだけど。

「時を止める魔法は初めて使ったから。慣れてないだけよ。」

余計不安なんだけど。

「サーヤ。好きな人ってどういう人?」

あたしは話題を変えた。

「それは、、、。」

サーヤの顔が途端に赤くなる。

「魔法使い界の王子様よ?凄くハンサムで魔法も上手なの!あたしは、、、その王子様と結婚したくて、、、。魔法を使ったの。」

う。

話題を変えたつもりだったんだけど。

「失敗したんだ!どうだ?凄いだろ?」

やっぱり。

あたしはため息をついた。






「それが原因で魔法使い界を追放されたんだ!どうだ?凄いだろ?」

うーん。

しかし。

「魔法が解ける気配ないんだけど?」

「だ、大丈夫よ!少し効きすぎただけよ!」

すると、、、。

「サーヤ。またやったな?」

天から声が聞こえてきた。

「ファウスト!!」

え?

「今そっちへ向かっている。少し待ってろ!」

「、、、はい、、、。」

「だ、誰?」

あたしは驚いて言った。

「あたしの好きな人。」

サーヤは少し落ち込んでいるようだった。

それから10分くらいして。

「サーヤ!!あれだけ魔法を使うなって言っただろ?」

ほうきを持って現れた青年。

「ファウスト、、、。ごめんなさい。」

かなりのイケメン。

王子様って感じだ。

「あ、あの、、、?サーヤはお腹が空いてて、仕方なくで、、、」

あたしは言ったが。

「君も。ユニコーン界にはもうバレている。迎えが来るぞ。人間の記憶は私が消す。それまでは時間を止めておく。」

え。

迎え?

記憶を消す?

「そんな!ダメよ!ミリスはアスカが好きなのよ?だから命を削ってまで人間になったのに!」

サーヤが言った。

「婚礼の儀式が待っているんだ!人間とユニコーンとで結ばれる訳がないだろ!!」

その言葉はあたしの心にグサリと刺さったのだった。





「サーヤも魔法使い界に戻って来い!人間界でこれ以上問題おこされても困るからな!パトラまずお前を元の姿に戻してやる。」

そう言うとファウストはステッキを振りパトラに魔法を使った。

ぽんっ。

パトラが黒猫に戻る。

「あの姿も良かったのに。空飛べるし。」

パトラ呟いた。

「次はお前だ。ユニコーンに戻す。」

え。

「ファウスト!!ダメよ!ミリスはアスカが、、、。」

サーヤが怒鳴った。

「サーヤ。ミリスは婚約するんだ。人間になんてうつつを抜かしてる場合じゃないんだよ!」

「ミリス!逃げて!!」

サーヤがファウストに掴みかかる。

あたしはいきよいよく走り出した。

「あ!こら待て!!」

「ダメったらダメよ!」

サーヤとファウストがもみ合い、あたしは逃げる。

アスカと一緒にいたい。

ユニコーンに戻る訳にはいかない。

政略結婚なんて、、、。

絶対嫌!!

あたしは走った。

アスカ、、、!!

心の中で何度もアスカの名前を叫んだ。




「ここまで来れば、、、。」

息を切らし座り込んだ。

しかし。

「俺からは逃げられないよ。」

天から声が聞こえてきた。

どうしよう。

ユニコーンに戻されちゃう。

どうしよう!!





あれ、、、?

あそこで止まってるのってアスカ?

あたしはアスカに駆け寄る。

止まっている。

「ミリス。どこにいても無駄だ。」

天からの声。

あたしはアスカに抱きつきキスをした。

さよならを覚悟して。

すると、、、。


「あれ、、、?ミリス?」

え、、、?

時が動き出した。

「いつの間にここへ?」

不思議そうなアスカ。

「それより俺はミリスに食べて欲しくて野菜を、、、?ミリス?何故泣く?」

あたしは涙を流していた。

天からの声は聞こえない。

どうなったかよくわからない。

「アスカ、、、。あたしは、、、。」

「ミリス!!」

そこへサーヤがやってきた。

「誰だ?君は?」

へ?

「ミリス!ちょっと、、、。」

あたしはアスカから離れサーヤのところへ行く。

「あたし魔法使い界に帰ることになって、、、。ミリスの姿を変える魔法はやっぱり魔女のところへ連れて行かないといけないみたいなの。ごまかしてあたしだけきたの。あたしの記憶は消されちゃったみたいね。とりあえずうまく言ってファウストを魔法使い界に連れて行くからここに居て!じゃ!」

サーヤはそれだけ言ってまた戻って行った。

その場しのぎか、、、。

これからどうしたら、、、。






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