現影少女

kinmokusei

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本当の気持ち

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「ちょ、、、ファウスト?どういうこと?」

あたしは止まっているアスカを見ながら言った。

「サーヤの魔法が暴走してミリスの気持ちに反応してこうなったんだ。ただそれだけだ。」

「サーヤとパトラは?!」

「魔法使い界へ瞬間移動した。ミリス。もう十分だろう?アスカの気持ちはお前にはない。」

だって、、、。

そんなこと言われたって。

アスカの本当の気持ちは、、、?

あたしにはない、、、。

「来るんだ!ミリス!」

ピカっと光ってあたしは光りに包まれた。

気づいたら魔女の前にいた。

薄暗い洞窟の中。

「おやおや。お前さんかい?それに珍しいお客さんじゃのう。」

魔女はファウストをまじまじと見る。

「こいつをユニコーンに戻してくれ。」

「ほう?それには、、、。」

「ユニコーンの羽はここにある。」

えっ?

「ほほう?これはかなり血統のいいものじゃのう?」

「どうして?どうして羽を、、、?」

「テディ様から預かった。お前の婚約者だ。」

「羽は一枚。この種と交換じゃ。」

「あたしは嫌!嫌だ!」

あたしは暴れたが、、、。

「ミリス。所詮は種族違いの恋だ。しかも相手には気がない。諦めるんだ!」

そういうと種をあたしの影に落とす。

あたしは、、、ユニコーンに戻ってしまった。


愛しいアスカ、、、。

もう会えないの?

「さっ。行くぞ!ミリス。」

ファウストは非情にもあたしを親元へ帰そうとするのだった。






「ミリス!」

家へ帰るなり怒鳴られるあたし。

「おまえって子は、、、。どこまで親不孝なんだい!!」

「とりあえず任務終了ということで。俺は失礼します。」

「あ!ファウスト!待って!あたしは、、、あたしは、、、」

ファウストは振り返ることなく去ってしまった。


アスカ、、、。


「とりあえずテディ様に会いに行くよ!」

「お母さん、、、。どうしてあたしの気持ちわかってくれないの?どうして、、、!!」

あたしは泣き出す。

「あれほど人間は恐ろしいものだと教えたのに。お前は分かっていないんだよ!」

「お金に目がくらんでいるのはお父さんとお母さんでしょ?」

あたしは反論するが、、、。

「おぉ!!ミリス!会いたかったぞ。」

え?


目の前には薄紫色のオーラを放つユニコーンがいた。

「だ、誰?」

「お前の婚約者、テディと申す。」

「!!」

あたしよりふた回りくらい年上だ。

血統はいいかもしれないが、おじさんだ。

こんなのと?

「これはこれはテディ様。今向かうところだったのですが。」

「ファウストが知らせに来てくれた。さぁ。ミリス。私の城へ。」

なんか、頭がクラクラする。

このテディってユニコーン、ロリコン?

ふざけてる!!

「さあ、ミリス。」

「触らないで!!」

近寄ってくるテディにあたしは怒鳴った。

「どうしたんだい?ミリス。」

妖艶だけど、、、どこか気持ちが悪い。

一国の王だよね?


こんなのが王だからユニコーン界はダメなんだ。






「ミリス。怖がることはないよ。さぁ、今からでも遅くない。結婚の誓いを、、、。」

え。

戻って来たばかりで?

「嫌です!!」

あたしはキッパリ言ってテディを睨む。

「もう逃しはしない。捕らえろ!」

テディの一声でお付きのユニコーンたちがあたしを無理矢理城へ連れて行った。

あたしは薬を無理矢理飲まされ意識がなくなった。



「やっと見つけたのだ。前ユニコーン王の娘ミリス。ミリスの体には紫の石が埋め込まれている。前王を殺して手に入れた力だが、まだまだ力が欲しい。ミリスの力が、、、。」

「しかし、テディ様。あまり血統のいいユニコーンには見えませんが、、、。」

「前王が隠しただけのこと。ミリスには無限の力が眠っている。」

テディは1人ほくそ笑む。

「ミリスにはこれから働いてもらわなければならない。ユニコーン界だけでなく魔法使い界や人間界をも手に入れたいからな。」



「ミリス。可愛いミリス。妖艶なその薄紫色のオーラは魔力が強い証拠。この石に封じ込めて新たな世界の為に強く生きてね。」

誰?

あたしは、、、?

薬が効いて動けない。

アスカ。

あたしの記憶はもう消えてしまったかな?

サーヤ。

酷いことされてないといいけど。



誰か助けて!

アスカ。


あたし結婚したくないよ。

誰か、、、!!



すると、、、。

ミリスの体の中から薄紫色の光が漏れ出した。

何?

「ミリス。この力はお前を守る力だよ。」


何?


誰?



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