現影少女

kinmokusei

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覚醒

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あたしは、、、?

あれから何日過ぎただろう。

やっと薬の効き目が切れて起き上がれるようになった。

「ミリス。やっと起きたね?」

テディを見てあたしは我に返る。

「挙式は明日にしよう。早い方がいい。」

「嫌よ!あなた何が目的?あたしと結婚したって得るものなんてないでしょ?」

テディはニンマリ笑い、

「得るもの?君を得られるだけで良いのだが、、、?」

そう言った。

あたしを?

何だろう?

このユニコーンは危険だ。

あたしは直感でそう思う。

「花嫁をこの牢屋に入れておくのは気が引けるのだが、逃げられては困るのでな。わるいが、明日までここにいてもらうよ?」

テディはそう言って去って行った。

どうしよう。

明日には挙式なんて、、、。



「やぁ!ミリス!」

え。

小さな窓からいきなり声をかけられた。

「ファウスト!?」

「ちょっと色々調べててね。ミリスを助けに来た。」

「え?どうして、、、?」

「テディの悪巧みを阻止しなければならないだけだ。」

何?

話が見えない。

あたしが戸惑っていると。

「とにかく逃げるぞ!」

「う、うん。」

ファウストが魔法の杖を振るとあたしは城の外に出ていた。

「ユニコーン界は危険だ。魔法使い界へ行き話そう。」

「サーヤは?パトラは元気?」

「今、説教されてるよ。」

ファウストは少し笑って言った。



数時間後。

「テディ様!大変です!!ミリス様が、、、!!」


あたしはその頃魔法使い界にいた。






魔法使い界に着くなり、ファウストはあたしの胸の辺りを杖を光らせて見ている。

「やっぱり。」

(何だろう?)

「あの、ファウスト?どうしたの?」

あたしは訳が分からないままファウストに聞く。

「お前の体には封印された水晶が埋め込まれている。何か呪文のようなものを知らないか?」

「へ?呪文?何それ?」

「知らないならいい。呪文が分からなければ解けない封印だからな。テディは知ってるのか、、、多分知ってるいるのだろう。あの様子じゃ、、、。」

「話が見えないよ。封印って何?」

ファウストは少し考え込んでから、驚くべきことを言った。

「ミリス。お前はユニコーン界前王の娘だ。」

え、、、?

あたしが?

そんなバカなことがあるはずがない。

「ちょっと、ファウスト?何バカなことを言うのよ。」

あたしは笑い飛ばすが。

「まー俺も半信半疑だったが、テディの話を聞いたんだ。間違いない。」

「、、、?」

「ミリスの力を得てユニコーン界だけじゃなく、人間界、魔法使い界も征服する気でいる。」

征服?

「ちょ、待って!あたしはただの村娘よ?血統も良くない。あたしにそんな力があるはずがないわよ。」

「じゃあなんでテディはお前と結婚したがる?」

ゔ、ゔ。

「それは、、、分からないけど、、、。」

「とにかく親父に言うから着いて来い!」

「う、うん。」

魔法使い界は緑色の空をしていた。

不思議な植物?が生え海も緑色だった。






「まずい!」

「えっ?」

ファウストはほうきで、あたしは羽で飛ぶこと10分くらい。

城らしきものがあるのが見えた。

が。

「もう勘付いたか。隠れるぞ、ミリス!」

「う、うん。」

城にはユニコーンが三頭来ていた。

「テディの奴。」

何やらファウストは考え込んでから、驚くべきことを言った。

「これなら人間界の方が安全かもしれない。魔女のところに行くぞ!」

「!!でも、、、。」

「いいから来い!人間界ではユニコーンは自由に動けなくなる。早くしろ!」

「う、うん!」

アスカ、、、!!

また会える。

別れが突然過ぎて、そしてアスカの気持ちが作りものだったと知って、、、。

走馬灯の様にアスカとの思い出が蘇る。

ユニコーン界に戻り魔女のところに着くのは早かった。

羽を渡し人間の姿になり、ファウストの魔法で人間界へ。

「あの、、、」

「なんだ?」

「アスカはあたしのこと忘れているのかしら?」

「お前、まだ諦めてないのか?あいつはサーヤの魔法で、、、」

「分かってる!!分かってるけど、、、」

ファウストのほうきに乗っていると、、、。

「ファウストー!!」

後ろから声が聞こえる。

振り返るとサーヤとパトラだった。

「この忙しい時に、、、!!」

「見て見て!ほうきに乗れるようになったの!」

「サーヤ人間界で何してるんだ?」

途端にサーヤは元気をなくす。

「また追放されたんだ!!どうだ?すごいだろ?」

パトラが言った。






(また追放って、、、。)

「サーヤ本当は俺たちを捕まえに来ただろ?」

え。

「勘が鋭いわねー。」

サーヤは笑った。

(えぇ?何それ!)

「あれだけのことをやっといてまた人間界に追放なんてありえないからな。」

(なるほど。もっともな話だ。)

「事情があるんだ!テディはミリスの隠された力が目当てなんだよ!」

「隠された力?」

サーヤは驚いて目を見開いた。

「とにかく降りよう。話はそれからだ。」

「ゔ、うん。でも、、、。」

「何だよ?」

「降り方分かんない、、、えへへ。」

「はぁ?」

あたしは前を見て、、、。

「2人共!前、前に、、、!!」

気がつくと大きな木にぶつかった、、、。

「いってぇ。」

「止まれた!!痛いけど、、、。」

「サーヤはヘッポコだからな!どうだ?すごいだろ?」

パトラの言葉が虚しく響く中、ファウストはテディの悪巧みをサーヤに話した。

「ふーん。」

しかし、サーヤは気のない返事。

「あのなぁ!世界の危機なんだぞ?」

サーヤは何か怒っているようだ。

「ミリスのためなら何でもするのね!」

単なるヤキモチである。

世界の終わりなんかよりそっちの方がサーヤにとっては大事らしい。

「サーヤ、ファウストは世界の危機のために、、、」

「ミリスは黙ってて!」

なんだか緊張感が台無しである。

「とにかくテディの元へミリスを行かせるわけにはいかないんだ。」

ファウストも鈍い男である。

サーヤが怒っている理由が分かっていない。

「ミリス!ちょっと来て!」

「サーヤ、、、。」

「サーヤだからダメだって、、、!!」

「少し話すだけよ!」

(あーあ。なんだか面倒、、、)

あたしは心の中で思うのだった。






「ミリス!今回は状況が状況なだけに許してあげるけど、ファウストと何かしたら許さないからね!!」

サーヤは必死だ。

あたしはアスカが好きなのに、、、。

でも素直にヤキモチをやいているサーヤは可愛いと思えた。

「話はそれだけ。」

「ゔ、うん。」


この時の約束をあたしは軽く考えすぎていた。



サーヤはあたしたちを追いかけて来たんだ。

サーヤはあたしとファウストが知らないことを知っていた。

それは数時間前に遡る。


「ミリスを見つけたらこの呪文を唱えるのだ!分かったな!」

テディの言葉だった。


きっとファウストが言ってた封印を解く呪文だろう。

サーヤは悩みの中にいた。

ファウストはミリスを特別に想っている。

(ファウストが自分以外のことに首を突っ込むなんて今までなかったもの。)

世界の危機だがなんだか知らないが、サーヤはファウストの心が動いているのが一番の大問題なのである。


そこにつけ込んだのがテディだった。

「ファウストを取られたくないだろう?」



(ミリス一回だけなら許すわ。)



「これ以上ファウストとミリスが仲良くなってもいいのかい?」

頭の中でテディの言葉がぐるぐる回っている。


(一回だけなら、、、。)


サーヤは心の中で思った。



「とりあえずこれからどうするかだ。」

あたしとサーヤはファウストの元に戻って来た。

「あ、あのアスカに、、、」

アスカの名前が出ると途端にファウストの顔色が変わる。

「ダメだ。」

あたしはサーヤの気持ちに気づきもせずアスカのことばかり考えていた。






「ミリス!起きろ!」

え、、、?

「何?ファウスト、、、?」

あれから山の奥に家を魔法でファウストが出し、そこで寝ていた。

「しっ!サーヤが起きる。逃げるぞ!」

「え。なんで?サーヤを置いていくの?」

「そうだ。サーヤは魔法使い界の追っ手だからな。このまま一緒にいる事は出来ない。居場所がバレる。」

ファウストはそう言うけど、、、。

「さあ、早く!」

「う、うん。」

ファウストがほうきを出し今まさに飛び立とうとした時だった。

「ミリス、、、!!約束したのに!!」

サーヤだった。

「サーヤ。違うの。これは、、、。」

「何が違うの?2人でどこへ行こうと言うのよ?」

「サーヤ、、、」

サーヤはテディに言われた事を思い出していた。

ファウストを取られたくはない。

ただそれだけだった。

「ミリスが悪いのよ?約束破るから、、、。」

サーヤの様子がおかしい。

そう思った瞬間だった。

「オープン!!心の扉を開きたまえ!!」

え。

胸が、、、。

「ミリス?」

あたしの体が震えて薄紫色のオーラが体内から放出される。

「サーヤ、、、!!まさか、、、!」

ファウストが怒鳴る。

「そうよ?封印解除の呪文よ。」

「なんてことを、、、。」

ファウストはあたしを抱きかかえようとするが、バチッと弾かれる。

体が熱い。

あたしは、、、どうしちゃったの?

アスカ、、、!!

あたしは、どうなるんだろう?

最後にアスカに会いたかった、、、。


あたしはそのまま意識を失った。





その数時間前。

アスカはまだ起きていて、真っ暗な夜の空を眺めていた。

なんだか大切なことを忘れている気がする。

まだ一週間くらいしか経っていないのに誰かとずっと一緒にいた気がするのだ。

なんだか楽しく過ごしていた気がするのに。

まるで魔法にでもかかったような、、、。

(まさかな。

魔法使いなんているわけない。)


寝る気にもなれなくてずっと起きていた。


すると。

山の奥で薄紫色の光が見えた。

「なんだろ?」

思わず呟く。

誰かが呼んでいる気がする。

アスカは慌ててその光の見えた場所に急いだ。






薄紫色の光を放ちながらあたしは気を失っている。

そこへ数十頭のユニコーンたちが舞い降りて来た。

「さぁ!覚醒だ!ミリスを殺せ!」

驚くべき発言をしたのはテディだった。


「殺すって、、、!!ちょっと話が違うじゃない!!」

サーヤは驚きテディに向かって言った。

「曲がりなりにも婚約者でしょ?ミリスのことが好きなんじゃ、、、!!」

テディはニンマリ笑い、自分の角で合図を送る。

他のユニコーンたちが角をあたしに向ける。

「ちょっときいてるの?話が違う!!」

「うるさい魔法使いだ。死にたくなければ黙れ!」

あたしはこの声を知っている。

お父さん、お母さん。

幼いあたしに水晶を封印して、、、!!

『これは願い石よ?ミリス。願い事は何?』

お父さんとお母さんの声が聞こえた気がした。

あたしは、、、。

あたしの願いは、、、。

「早く殺せ!!」

ファウストはミリスを守るため時間を止めようとする。

そこへ、、、。

「なんだ!?なんの集まりだ、、、?」

アスカがやって来た。

「構わん!ミリスを殺せ!!」

薄紫色の光に包まれている少女。

ユニコーンの軍団。

(俺はこの少女を知っている。)

「ミリスー!!」

アスカが叫ぶ。

ファウストは、、、。

「バカな、、、!!記憶は消したはず、、、。」

しかしながら今はそんなことを考えている時ではない。

今にもユニコーンの角で串刺しにされそうになっているミリスをどう守るか?

アスカがいては魔法は使えない。



あたしの願い、、、。


それは、、、。



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