愛しのお兄ちゃん

kinmokusei

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お姉さんができる

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「お父様!!」


「なんだ?かんな?」


「なんだじゃないわよ!どうして言ってくれなかったの?エミに聞いたわよ?」


エミとはあたしのお世話係。


そう!


あたしは神崎かんな。


16歳。


高校1年。


この神崎グループの社長令嬢である。


「あぁ。彩音のことか。だってそれはお前が会社を継がないというから。」


「でも、楽しみなことじゃない?あたし姉妹って憧れていたの!夢見たい!」


「あのな、、、かんな?彩音は、、、」


あたしはお父様の言葉を聞かずに問いかける。


「年はいくつ?」


「確か19だったかな?」


「まぁ!!お姉さまができるのね?嬉しい!お父様ったら仕事ばかりなんですもの!これで夕食も寂しくないわ!」


あたしは喜びの声をあげる。


「あのな。かんな?彩音は、、、」


「あー楽しみ!どんなお姉さまかしら!」


この時もっとお父様の話を聞いていれば良かったと、あたしは後で後悔することとなる。






学校でもあたしは友達の龍堂グループの社長令嬢の藤堂美春(とうどうみはる)に姉ができることを自慢していた。


藤堂グループはあたしの家と二分するくらいの大きな会社だ。


そのせいもあっての昔からの親友である。


「それよりもさ、あの人気にならない?」


学校も終わり美春とあたしは靴を履くと校門のところにいる1人の女の人に目がいった。


あたしは心がおどった。


「もしかしたらお姉さまかも!!」


「えっ?かんな?それはちょっと、、、」


するとその女の人はあたしに気づき真っ直ぐにあたしの方へ向かい歩いてきた。


「美春!やっぱりそうよ!」


「えっ、ええ。」



女の人はあたしの前に立ち止まり、言った。


「バーカ!」


へ?



一瞬何が起きたか分からないあたし。


美春も口をあんぐり開けている。


「彩音様からの伝言でございます。では。」


そのままその女の人は去っていった。






「なっ、、、!!」


あたしは放心状態だった。


「何よ、あれ!!」


美春の言葉で我にかえる。


「彩音様の伝言とか言ってたわよね?意地悪なお姉さまなんじゃない?バカってかなり失礼よね?だいたいあの女誰?」


美春はすごいけんまくで怒っていた。


あたしも頭にはきたけど。


あの人はきっと彩音お姉さまのお世話係の方かもしれないと思った。


(あたし、彩音お姉さまに何かしてしまったのだろうか?)


「この日本を二分する神崎グループと藤堂グループの社長令嬢であるあたしたちにケンカ売るなんていい度胸だわ。さっそく彩音とかいう女のこと調べて、養女の話断った方がいいわよ!!」


美春はそう言ったが、あたしはそれには賛成できなかった。


「いいの!もう1人でご飯食べるのやなんだ。お父様は仕事ばかりなんですもの。もしかしたらあたしが気のさわることしちゃったのかもしれないし。何よりお父様が選んだ人ですもの。大丈夫よ。」


「えー!!かんなは人が良すぎ!」


美春はブーブー言っていたが、あたしはお姉さまという憧れを捨てきれなかったのだ。



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