愛しのお兄ちゃん

kinmokusei

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若葉さんの気持ち

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「今日はここまで!」


(やっと終わった)


さて帰るかな。



「ちょっと、かなさん?」


え、、、?


後ろから声をかけられ、振り向くとそこにいたのは若葉さんだった。


うわっ。


そばで見るの初めて。


いつも遠くから見てたからな。


やっぱり綺麗な人。


「何か、、、?」


あたしはそう言いながら、お兄ちゃんが好きになるのも分かるなどと考えていた。


「ここでは話せないわ。ちょっと付き合ってくれる?」


若葉さんはにっこり笑って言った。


ひゃー。


笑った顔も綺麗。


どこからか色気もあるし。


「はぁ?」


しまった!?


女が女に見とれてどうする!


「じゃ、ついて来てくださる?」


「は、はい!」



それから若葉さん専用の社交ダンスの控え室にあたしは通された。


「紅茶しかないの。大丈夫?」


「へ?あ、ああ、大丈夫です。」


しかし。


若葉さんはいったいあたしにどんな話があるのかしら?





「彩から聞いてるわ。」


若葉さんは、紅茶を出し座ると、真面目な顔して話し始めた。


「妹さんが出来たって。」


「はぁ?」


「でも会わせてくれないのよ。」


あ。


なんだ。


あたしのことは言ってないんだ。


そうだよね。


「名前も教えてくれないわ。」


「はぁ?」


「あなた、彩と仲良くしてるわよね?聞き出してくれない?」


若葉さんは驚くべきこと言った。


「えっ??それはちょっと、、、」


あたしですなんて言えないし。


「そこをなんとか。彩おかしいのよ。最近。妙に張り切ってて。絶対妹とできてるわ。」


「えっ!!で、できてる?!」


「そうよ。好きなのよ。」


それはおかしい。


そんな訳ないし。


「小野寺さんは若葉さんのことが好きだと聞きましたが?」


若葉さんは、ため息を一つつくと、憂鬱そうに言った。


「それは周りが言ってるだけ。彩に妹さんのことを聞い時、とても嬉しそうに笑ったの。その笑顔が忘れられないのよ。」


困ったな。


力になってあげたいけど、、、。


あたしは考え込んだ。





「ね?お願い。名前だけでもいいから。」




結局断われなかったあたし。


(どうしよう。)


「おい!」


「へ?」


顔を上げるとお兄ちゃんの顔が至近距離に。


「ちょっ!?近いよ!」


「今日おかしいぞ?社交ダンスの時何があった?」


あ。


そうだ。


お兄ちゃんは泣き虫彩ちゃんだったんだっけ?


いつもだったらからかうところだけど。


若葉さんのことを考えるとからかう気もおきない。


「かんなさ。今度デートしないか?」


「えっ。やだよー。お兄ちゃんが行くところっていつも、、、」


「本格的なデートだよ。俺がエスコートする。」


「はぁ?いきなり何よ?」


「決まりな。」


にっこり笑うお兄ちゃん。


その笑顔はくったくがなく、昔の泣き虫彩ちゃんだった頃の面影を少し残していた。



若葉さん、、、じゃなければ、お兄ちゃんが彼女にする人ってどんな人?


初めてそんな疑問があたしの頭の中にふとわいた。





「なんなんだよ?」


「は?だって、、、」


あたしはデート当日、TシャツとGパンで、、、。


しかしながらお兄ちゃんは、ビシッとスーツを着て髪もセットしてて。


あたしは何が何やら訳が分からなかった。


「もういい!来いよ!時間がねーんだよ!」


「えっ?やだよ。ちょっとだけ待ってよ。化粧とドレスならある、、」


「いいって。俺の行きつけの店がある。そこでやってもらえばいい。」


いつもの庶民的なデートじゃないみたいだけど。


やっぱり考えてしまう。


(お兄ちゃんの行きつけのお店って大丈夫?)


「さー行くぞ!」


「あっ!!待って財布が、、、」


いつも割り勘なので、財布持つ癖もついたのだが。


「いいって!!早くしろよ!」


「だってあたし食べたいし!」


また自分だけ惨めな思いをするのはごめんだ。


「食い意地はってんなー。大丈夫だから来いよ!」


フワリとあたしをお姫様抱っこするとお兄ちゃんは歩き出した。


ただあたしはTシャツにGパンだったが。





「ちょっ!離してよ!自分で歩くから!!」


あたしはお兄ちゃんのムスクの匂いに少し戸惑っていた。


いつもと少し違うだけなのに。


なんでこんなにドキドキするの?



「やだ!離さない。」


お兄ちゃんはからかってるんだろうけど、その姿で普通の女の子がそんなこと言われたらイチコロだろう。


あたしはこれでもお嬢だから、男の人には慣れているけれど。


みんなあたしの家のお金目当てだと思うと、途端に冷めてしまう。


(お兄ちゃんは違うよね、、、?)


何故か心から願う自分がいた。





「ここ?!」


「ああ。」


お兄ちゃんの車に乗せられてやって来た店。


腕は一流だがバカ高いで有名な店だ。



「無理無理無理!!お金足りない!」


「いいから!ここのオーナーとは知り合いでな。綺麗なって戻って来いよな!」



知り合いって、、、


お兄ちゃんって本当に分からない。


ここって富豪しか来ないような店なのに。



「いらっしゃいませ。」


丁寧におじぎをする、この人はオーナー??


あたしどうなるの?





(うわー)


「お気に召していただけましたでしょうか?」


あたしは首を何度も縦にふる。


「ではチェックをお願いします」


「は、はい」


あたしは自分でもびっくりするくらい綺麗になれたと思った。


鏡でボーッとしながらも請求額を見る。


10万か、、、。


持って来ておいてよかった。


しかし、オーナーは戸惑い顔。


「うちはクレジットしか使えません。そして、言いづらいのですが、桁が、、、」


えっ?


クレジットカードは持ってるけど、、、


ひゃくまん?!


そこへお兄ちゃんがやって来た。


「お?少しはマシになったな。これで。」


そう言ってお兄ちゃんはさっと100万を払ってしまったのだ。


「あ、あの?お兄ちゃん?お兄ちゃんって一体?!」


「うるせー。行くぞ。大事な話しがある。」


戸惑いながら、お兄ちゃんに着いて行く。


車どこかに止めて来たみたい。


この辺ってセレブしか来ないところ。


まさか、、、。


予約の店って?!




やっぱり!!


予約の店は超有名な五つ星レストラン。


予約待ち1年はかかる店。


驚くのはそれだけではなかった。


先に待ってたのは若葉さん。


「どうだ?これで諦めつくか?」


ん?


何の話?

っていうかまずいよー。

あたし若葉さんに頼まれ事してるのに。


若葉さんはあたしを見ると、一つため息をついた。


「仕方ないわね。あたしの負けだわ。かなじゃなくかんなさん?ごめんなさいね。いじわるして。あたし潔いから大丈夫よ。失礼。」


え?

え?

どういうこと?


「若葉が認めるなら確かだな。かんな。俺と結婚してくれ。」


「は?」


あたしの頭はついていかない。


そして。


話を聞くと。
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