愛しのお兄ちゃん

kinmokusei

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幼い頃の思い出

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『うわーん』


幼稚園は近くで、歩いて行ってた。


帰り道。


美春とあたしはふと公園から泣き声が聞こえて、入り口で1人の男の子が中の様子をうかがっている。


あたしは人見知りしないので、その男の子に聞いた。


「何してるの?」


男の子は驚いて振り返る。


「えっ?」


「何して、、、あれ?」


あたしは公園の中で1人の男の子が泣いているのに気がついた。



「いじめられているみたいなんだ。」


入り口にいた男の子が言った。


「なによ!見てるだけで助けないの?」


「だ、だって。相手は小学生だし、、、」


「仕方ないわねー!」


「出た!スーパーガールかんなちゃん。」


美春がそう言うとあたしはつかつかと小学生の元へ近づいて行った。


「ちょっと!!やめなさいよ!!」


「あー?なんだよ、お前。」


いじめっ子は3人。


いじめられている男の子は泣いている。


『うわーん』


「あんたも!泣いてないでちょっとはやり返しなさいよ!!」


あたしは喝を入れた。





「生意気なやつだなー!彩はすぐ泣くから鍛えてやってるんだ!邪魔するなよ!」


そう言っていじめっ子の1人があたしを突き飛ばした。


「いったぁ!!なにすんのよ!」


『うわーん』


「なんであんたが泣くのよ!!」


「泣き虫彩が幼稚園児にかばわれてるー。ヤーイ。」

いじめっ子たちがひやかし始めた。


『うわーん』

また泣き出す、泣き虫彩ちゃん。


「あのねー!?あんた仮にも小学生の男の子でしょ?女の子を守れないなんてサイテーよ!!」


『うわーん』


また泣き出す泣き虫彩ちゃん。


「ヤーイ、ヤーイ。泣き虫彩ー!!」


「やめなさいよ!!あんたたちも、小学生だっていうのに子どもね!男の子は女の子を守るものよ!!」


そう言ってあたしはいじめっ子たちを睨む。


「ふ、フン!!今日はこのくらいにしてやる!」


あたしの睨みが効いたせいか、いじめっ子たちはいなくなった。



「かんなちゃん、すごい!」


「さすがスーパーガールかんなちゃんだね。」


いじめっ子たちがいなくなって、美春ともう1人の同じ幼稚園の制服を着た男の子がやって来た。





「まったくー!男の子なんだからすぐ泣かないの!」


すると、泣き虫彩ちゃんはあたしの足を見て言った。


「震えてる。怖かった?」


涙目であたしを見下ろすその瞳は澄んでいた。



「こ、怖くないわよ!」


あたしは強がった。



「僕、小野寺彩、、、」


「泣き虫彩ちゃんでしょ?あたしは泣き虫なんて嫌いだから!男の子は女の子を守るものよ?そんなことも分からないならあんたに未来はないはね!!」


そしてあたしは、もう1人の男の子に視線を移す。


「あ、僕は織戸シュウって、、、」


「名前なんてどうでもいいのよ!情けない男には変わりないんだから!みはるちゃん行こー。気分悪いし。」


「え、う、うん。」





実のところ相当怖かったんだ。


だからこそその思い出はあたしの中から消えていた。


あの泣き虫彩ちゃんと一緒だった男の子が、お兄ちゃんと聖夜さんなんて。


世間って狭いな、、、。



あたしはぼんやり思った。





「かなちゃん?」


「え?」


「ボーっとしてるとまた小野寺が怒るよ?」


「あ、ああ。そうね。でも、、、」


すごい変わりよう。


本当に同一人物?


「小野寺は10年前両親を事故で亡くしたんだ。そして施設に入った。そこでかなちゃんのお母さんと出会った。俺が知ってるのはそれくらい。」


なるほど。


泣かなくなったのはお母様のせいね。


お母様は死ぬ前、よく施設回りしていたし、お兄ちゃんはあたしのお母様にお世話になったって言っていたし。


なんとなくつながった。


あのお墓はきっとお兄ちゃんのご両親のものね。


あたしはお兄ちゃんの後をつけた時に、お兄ちゃんが手を合わせていたお墓を思い出した。


きっとこの社交ダンスも、、、


ゴンッ


「いったぁ!」


「かな!!ボーっとして身が入らないなら帰れ!!今大事な時だと言っただろ!3回目はないからな!!」


お兄ちゃんはそう言い若葉さんのところへ戻って行った。


(くそー。泣き虫彩ちゃんのくせにー。)



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