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恋心

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振り返ったオリヤにあたしはくぎ付けになった。

茶髪の下の顔は、少し大人びているが、微笑む口元と瞳は少年っぽい。

身長からしてももう20歳くらいになるはずのあたしよりだいぶ年上だと思うのに、なんだろう?

何処か儚げで少し影があるような澄んだ瞳から、あたしは目が離せなくなっていた。

「オレの顔に何か付いてるかな?」

不思議そうにあたしを見る優しげな瞳は少しイタズラっぽく、くるくると表情を変えるオリヤ。

心が読めるの分かる気がした。

きっと心がすごく綺麗なんだろう。

「ねぇ?どうかした?聞いてる?」

ボーっとしているあたしのおでこに、オリヤはデコピンをした。

痛くないけど、心がときめきで痛かった。

あたしはオリヤに心を盗まれてしまったのである。
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