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第2章

流星

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 年季の入った丸テーブルを囲んで、私たち三人は向かい合って座った。

 今日はまもりさんに代わって、長身の彼――流星さんがお茶を淹れてくれた。

「まもりの紅茶なんて飲めたもんじゃねーからな」

 冗談なのかそうでないのかわからない声色で言う流星さん。
 に対し、まもりさんは特に気にした様子もなく隣で静かに微笑んでいる。

 テーブルの上には氷の入ったグラスが並べられていた。
 そこへ流星さんがガラス製のティーポットからお茶を注いでくれる。

 一体何のお茶だろう?
 見た目は麦茶のようにも見えるけれど、ほのかに甘い香りが漂ってくる。

 私がまじまじと見つめていると、流星さんはそれに気づいたのか、

「ピーチティーだよ。うちの店から持って来たんだ」

「うちの、店?」

 おうむ返しに聞くと、彼は一瞬だけ面倒くさそうな顔をして、

「親の店を手伝ってんだよ。古くて汚ねー所だけど、ここほどじゃないし、味はまあまあだから心配すんな」

 別に味の心配をしていたわけではないのだけれど、しかし考えてみれば彼は『あの』まもりさんと付き合いのある人なのだ。
 仲の良い友人同士というのは趣味が似ている場合もある。
 したがって、彼らの味覚が似ている可能性もなくはない。

 私はまもりさんの作る壮絶な味を思い出しながら、

「い、いただきます……」

 と、緊張まじりにグラスへ口を付けた。

 すると、

「……あれ。おいしい?」

「なんで疑問形なんだよ」

 じろりと恐い目で睨まれながらも、私は続けて二口、三口と口へ運んだ。
 あっさりとした酸味が口いっぱいに広がって、ほうっと溜息を吐く。

 そんな私の反応に、流星さんはすでに興味を失っているようで、視線はまもりさんの方へと移っていた。

「で、お前らは今どういう関係なんだ? 付き合ってんのか?」

「!?」

 唐突すぎる質問に、私はピーチティーを噴き出しそうになった。

「い、いきなり何を言い出すんですか!」

 思わず立ち上がって叫んだ。

 流星さんは恐い顔のまま、睨むような視線をこちらに向ける。

「とぼけんな。こんな荒屋あばらやに、何の意味もなく女子高生が一人で来るはずねーだろ」

「そ、それは」

 言われてみれば確かにそうだ。

 何か特別な理由でもない限り、こんな薄暗い森の中にあるボロボロの洋館に足を踏み入れることなんてそうそうないだろう。
 この場所へ来るには、何かそれなりの理由がいる。
 流星さんのように勘繰ってしまうのも無理はない。
 私が流星さんに対してそう思ったように。

「お前、絵馬とかいったな。お前はまもりのことが好きなのか?」

「すっ……!?」

 
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