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チュートリアル

6話 ゲーマー的思考回路

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 龍神剣を盗まれ、慌てたユウだったが、緑色の髪の眼帯男を追い掛けつつも、早い段階で冷静さを取り戻す。

 (ふぅ~。落ち着け、この程度、想定内・・・だッ!!)

 ユウは、知っていた。



 レトロゲームの、理不尽な難易度をッ!!



 何の前触れもなく起こる、突発的なイベント。

 練習も無しで、ぶっつけ本番なんて当たり前!!

 序盤のイベントだからと手を抜けば、後々、そのイベントの重要性に気付き、1からやり直すなんて良くあるパターン。

 更には、何歳の子供に向けて製作したのか?と、製作陣に問いたくなる様な、謎解き要素や隠し要素の数々ッ!!

 レベル上げを怠れば詰むなんて、全然優しい類いで、初見では絶対見逃すような、分かりにくい伏線の数々ッ!!

 物によっては、ステータスの表記すら、ダミーであったりする鬼畜の所業。

 また、隠しキャラにめちゃくちゃ凝っている場合も多く、後にその隠しキャラがメインの作品が出たりもする。

 が、そんな魅力的な隠しキャラを味方にするには、攻略本無しでは絶対に味方へ出来ないだろうッ!?と言わざるを得ない物が数多く、更に攻略本を見ても、味方にするための、ミニゲーム等で心が折れそうになったりもする。

 思わず、「隠したいのか、隠したくないのか、ハッキリしろやガッデムッ!!」とコントローラーを投げてしまうことも、間々ある。

 つまりッ!!

 何が言いたいのかと言えばッ!!

 こんな序盤での突発的なイベントはッ!!

 ユウ的にッ!!

 何が何でもッ!!

 手を抜けないのであるッ!!



 (長々と、トロールを倒しまくっておいて正解だった!)

 「・・・モード上上下下ッ!!ブレイバー左右左右BAッ!!」

 なんとユウは、龍神剣無しでも、モード術式を発動させられるようになっていた。



~~ 福場 優は語る。 ~~



 "どうして、龍神剣でも、モード術式を扱えるようになれたのですか?

 こう言っては、あれですけど、運動神経とか、良い方ではないですよね?

 ゲーマーですもんね?"

  「あぁ、まぁ、ゲームの世界ですからね。

 大切なのは、タイミングです。

 ゲームって結局、電気信号をどのタイミングで、入力するかが肝なんですよ。

 それは、ボタンの頃からタッチパネルに移行して尚、変わりないんです。

 ほら、プロゲーマーって呼ばれる方々のスティック捌きって、無駄無く、美しい!って思いません?

 それの応用です。

 いや(笑)

 自分をプロゲーマーだなんて、そんな大それた事を言うつもりは、これっぽっちもありません。

 つまりは、電気信号を送る先がゲーム機械本体か、自分自身の神経か、ってだけで、俺のやっている事は、結局変わりないんですよ。

 ましてや、龍神剣が最適解を教えてくれるので、出来るようになるのには、さほど苦労しませんでした。

 もっとも、龍神剣無しでも扱えるようになれるのでは?という発想は、シュノンさんがモード炎雷えんらいを発動なされた時に、閃いたのですがね??」

 "成る程!貴重なお話を、ありがとうございました。"



~~ 本編に戻る。 ~~



 ユウは、纏った風の力を利用して、人混みをするすると躱し、緑色の髪の眼帯男へと接近する。

 一方の緑色の髪の眼帯男も、とっくにユウの追跡には気付いており、どんどん人気の無い方へ走っていた。

 緑色の髪の眼帯男は、路地裏へと入った為、ユウも続けて路地裏へと入った。

 「・・・チッ。」

 しかし、ユウが路地裏へと踏み込んだ瞬間、ユウの喉元に、龍神剣の刃が当てられていた。

 「おっと!こいつは驚きだ!まさか、俺の後をつけて来れるとはな!」

 緑色の髪の眼帯男は、少し愉しそうな表情であった。

 「へぇ~!お前、名前は??」

 ユウは、偽名か、本名か、どちらにするかで一瞬、回答を躊躇う。

 「・・・福場 優だ。」

 「フクバ・ユウねぇ~!・・・あっ!もしかして、フクバが家名か?」

 この返しに、ユウは、確かな手応えを感じる。

 「あぁ、そうだ。」

 「ふ~ん!成る程ねぇ~!よしっ!ならこいつは返してやるよ。その代わりに、ちょっと俺に付き合え!」

 急にユウの肩へと腕を回し、龍神剣を反対の手でもてあそびながら、馴れ馴れしい態度で頼み事をする、緑色の髪の眼帯男。

 「・・・あぁ、良いぜ!」

 (キタコレッ!!隠しキャラゲットか、限定アイテムのゲットのどっちかだろッ!?やっふ~い!!)

 と、心の中で踊るユウ。

 彼は、何処までも、ゲーマー的思考回路である。

 「俺は、アッサン・エルメシアってんだ!宜しく!」
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