悪魔を惑わす喪女の甘言

南野うり

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「…………次はどうすればいいんだ?」
「え、いや、私にも具体的な手順は…………分かった、検索してみよう」

 紬はベッド脇に置いていた携帯電話に手を伸ばした。
 何しろ彼女も初めてだったのだ。前回は本能のままルイの局部を舐め回し挿入しただけで終了した。
 挿入後は、最初はよく分からず動き、そう言えば出し入れするものだったと思い至り、試しに上下に動いてみた、と言うのが真相だ。あの時の強気な言動は、ただの酔に任せたノリと勢いである。

「性行為、手順……」

 フリック入力で打ち込むと、直ぐにたくさんの項目が表示された。

「貸せ。我が見る」
「あ……」

 つむぎから携帯電話を奪ったルイは、意外にも慣れた手付きで操作し、熱心に熟読している。

「ふむ、図解して説明しているものもあって大変解り易かった。試してみよう」
「へ? わっ」

 携帯電話を布団に放ると、ルイは紬を正面から抱き締め、頭頂部に口付けた。
 戸惑い身を固くする彼女を宥めるように、こめかみ、頬と、ゆっくり唇を落として行く。
 流れるような所作で彼女の唇に辿り着くと、彼は優しく顎を支え、そっと触れるだけのキスをした。

「まずは抱き締めたり、口付けをする所から入るのが一般的だそうだ」
「……え゛?」

 その説明は必要か?と紬は顔をしかめるが、ルイは気にした様子も無くもう一度彼女の唇に自らの唇を重ね合わせる。

「綺麗だ……」
「え……?」
「行為中は普段言わないような褒め言葉や愛の言葉を積極的に囁くと良いらしい」
「………………」

 急にかけられた予想外の褒め言葉に驚いたのも束の間、またしても入った余計な解説に、呆れて物が言えない。紬は彼を、ついジト目で見詰めてしまう。

「どうした? 何か問題があったか?」
「いやぁ……調べた事を参考にするのは良いけど、それをいちいち説明する必要は無いと思う。と言うか、解説邪魔」
「そうか。では説明は省こう」

 彼は宣言通り解説を止め、紬への愛撫を再開した。素直に従うルイを、やはり真面目だと紬は思う。
 着衣のまま指で胸の谷間をなぞり、ゆっくりと下りた手で腹部を撫でる。腰に添えられた手は、同じくゆっくりと、円を描くように背中を這っている。
 その間、何度も啄むような口付けが続けられ、これがマニュアルに沿った動きだと解っていながらも、段々と紬の身体からは緊張が解けて行った。

「ぁ……」

 服の上から乳房に触れられ、戸惑いから僅かに声が漏れる。何度か全体を大きく撫でていたその手が、いよいよ服の中に侵入して来た。彼はブラのホックを両手で外す。
 手を前に回すと、いきなり核心部分には触らず、ルイは膨らみの感触を確かめるように優しく触れて来る。
 巨乳と言う程では無いが貧乳でも無い紬のそこは、それなりに豊かで、ルイの大きな手に丁度良いサイズだ。

「……痛くは無いか?」

 紬は首を振る。痛い所か、乳房全体を包み込む手の温かさが心地良い。ゆっくりとした進め方は紬を怖がらせない為なのか、それとも、これも書いてあった事なのだろうか。

「っ……」

 先端の蕾をそっと摘まれ息を呑む。そのまま指先で刺激されると、ジンジンとした痛みにも似た感覚が生まれる。

「は……ふ……っ」
「人間は柔らかいんだな……力加減を誤ると潰れてしまいそうだ」

 柔らかいと感じるのは人間だからと言うより、紬が女だからだ。だが、人間に触れるのも女に触れるのも初めてなルイには分からない。

「……見たい。脱がせても良いか?」
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